腸活に偏らない方が、腸のためになる!?

腸を整えることは、体に良い影響をもたらし、精神にもプラスに働きます。しかし、東洋医学の視点から見ると、腸活だけに偏ることで生じるリスクもあります。

腸と脳がつながっているのは事実ですが、ほかの臓器も同様に脳と関係しています。
腸だけが特別視されるのは、やや偏りがあるかもしれません。

東洋医学における「腸」と全身のバランス

東洋医学では、身体は「五行(木・火・土・金・水)」のバランスで成り立っていると考えられています。腸活の中心となる「腸」は、大腸(肺)と密接に関係しており、「金」に属します。

しかし、「金」が過剰になると、「木」に属する肝(肝臓)の働きを抑制する作用があります。
そのため腸活に偏ると、肝臓の働きが弱まり、結果として疲れやすさやイライラ、不眠などの症状が出ることがあります。

そして小腸は心臓に含まれます。
心臓が強くなってしまうと、それが向かう先は肺。つまり小腸を大事にすると、皮肉なことに大腸を攻撃してしまうということです。

そして腸活に良いとされている食材は、ほとんどが肺・大腸に良く、ついで心臓・小腸に良いものなのです。腎臓と肝臓は無視されていると言って良いでしょう。

これは相性の悪い組合せなのです。

腸活に良いとされている食材一覧

(横に書いているのはそれぞれこの臓器に良い影響与えるよ、というもの)

納豆 脾
キムチ 肺
キウイフルーツ 腎臓
きのこ 脾臓
ヨーグルト 肺
りんご 脾 心臓
玄米 脾
豆乳 肺
オリーブオイル 肺
にんにく 脾 肺
たまねぎ 脾 肺 心臓
チーズ 肺 肝臓 脾
豆類 脾
ごぼう 肺
大麦 脾
ひじき 腎臓
アスパラガス 肺 心臓 肝臓 腎臓
ねぎ 肺 胃
バナナ 胃
コーヒー 心臓
アボカド 肝臓
オリゴ糖 脾

肺が9 心臓が4 脾臓が10 腎臓が3 肝臓が3

こうして見ると、腸活食材の多くが「肺」や「脾」に偏っています。
これは、発酵食品や食物繊維が多く含まれる食材の性質上、自然とそうなりやすいためです。
一方で、腎や肝に良い食材は比較的少ないため、意識的に摂取する必要があります。

腸活の影響とリスク

1. 食事の偏りによる影響

腸活で推奨される食材には、発酵食品(ヨーグルト、納豆、キムチ)や食物繊維が豊富な野菜が含まれます。

これらの食品は「金」や「火」の性質を持ち、腸の働きを助けますが、過剰に摂取すると「木」のバランスが崩れ、肝の機能が低下する可能性があります。

2. 腸の冷えと代謝の低下

発酵食品や生野菜を多く摂ると、腸が冷えやすくなります。東洋医学では、「冷え」は血流を悪化させ、代謝の低下を引き起こすとされています。特に女性は冷えによる影響を受けやすく、月経不順や体調不良の原因となることもあります。

3. 腹式呼吸との関係

腸活とあわせて腹式呼吸を推奨するケースもありますが、女性の場合、過度な腹式呼吸が横隔膜や内臓に負担をかけることがあります。特に妊娠中の女性は、腸の動きが活発になりすぎると胃の圧迫感が増し、呼吸困難や貧血を引き起こすことがあります。

腹式呼吸は意外と難しく、また万能な呼吸法とも言い切れません。まずは胸を開くところから始めないと、姿勢や筋肉を痛める可能性があります。無理はしないようにしましょう。

4.大腸ばかりじゃない!腸活だって人それぞれ……

便通に良いとされる食材の多くは、肺を潤すものが多いです。
「これを食べるとうんちがどっさり出る(大根率高め)」という情報はあちこちにあるけれど、便秘にもさまざまなタイプがあります。
例えば、肺の乾燥による便秘だけでなく、小腸の機能低下が原因で便秘になる場合も考えられるでしょう。
この場合、単に食物繊維を増やすのではなく、消化を助ける食材(玉ねぎ、お酢、柑橘系、オリゴ糖、発酵食品など)を取り入れることで、腸の働きをサポートする必要があるかもしれません。
便秘対策としての腸活を考える際は、自分の体質や原因に合わせた食材選びが大切になってくるでしょう。

体質チェックはこちら。参考程度にご覧ください👉和漢薬膳の体質チェックであなたの体を知りましょう。

それから、「よく噛んで食べる」ことも大切です。

バランスを取るためのポイント

腸活を行う際は、以下の点に注意しましょう。

  1. 腸活食材の摂りすぎに注意
    • 発酵食品や食物繊維だけでなく、肝を助ける緑黄色野菜や鉄分も意識的に摂取する。
    • 腎臓のために黒色食材も摂る。
    • 脾臓に関しては、食材の多くは自然の甘味を持っているので神経質にならなくて良い。
  2. 温める食材を取り入れる
    • しょうが、にんにく、シナモンなど、身体を温める食材を適度に加える。(妊婦さんはスパイスNGです)
  3. 呼吸法や運動のバランスを意識する
    • 腹式呼吸だけでなく、胸式呼吸や軽い運動を取り入れ、全身の巡りを整える。

まとめ

腸を大切にする。それは間違いなく良い事です。

しかし東洋医学の視点から見ると「全身のバランス」を考慮することが大切です。腸だけに注目せず、他の臓器や体の冷えにも目を向け、バランスの取れた健康管理を心がけましょう。