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心理 音声読み上げあり

ギリシャ神話「アポロンとダフネ」に学ぶ「それは愛ではない」

「それは愛ではない」

読み上げ ©VOICEVOX:四国めたん

 

 

オリンポス1の美男子と言われているのが今回の主人公・アポロンです。
医療・芸術・弓術などの才能を持ち、予言の神でもあります。
数多の女性にとっても憧れの対象……のはずが、意外とフラれることも多い!?
トロイ戦争においても、カサンドラという王女であり自分の巫女を愛し、予言の才能を与えたにも関わらず彼女もアポロンの元を去ってしまう。
結果、カサンドラを何を言っても信じてもらえないという呪いにかけるという復讐も……。
そんなアポロンの最も有名な失恋話といえば、ダフネとの恋物語。

 

幕開け・傲慢になるアポロン
人類を恐怖に陥れた大蛇。
アポロンは大蛇を1000本の矢で射殺します。
強力な敵に勝利した後、アポロンは傲慢さに満ちていました
弓の名手でもある愛の神エロスを、アポロンはからかい始めました。

「可愛い坊や、君の武器は役に立ったかい?」

アポロンは、エロスの弓の名手としての名声を妬んでいました。
大蛇パイソンを倒した後、彼は自分こそが弓の名手と呼ばれるにふさわしいと驕ったのです。

「私はあの大蛇を殺し、疫病を封じた。だがエロス、君の弓矢はまるでおもちゃのようだ」

からかわれたエロスはアポロンに復讐を決意します。

「アポロン、あなたは他のすべてのものを攻撃するかもしれませんが、私の弓はあなたを射抜きます。あなたの栄光と私の栄光は同等に価値を持つ。思い知るが良い」

エロスの弓矢には2種類あり、一方は触れた者は次見る者に恋してしまう恋の金の矢。
もう一方は相手を嫌ってしまう鉛の矢。
エロスは鋭く輝く先端を備えた金色の恋の矢で彼の胸を射ました。
この矢は肉体を傷つけることはありません。本当の傷は肉体的なものではなく心のものだったのです。
アポロンはそれを思い知ることになります。
そしてエロスは鉛の矢で精霊の美少女ダフネを射抜きます。
ダフネはとても美しく、多くの男たちが彼女を求めにやって来ました。
しかし、彼女は狩猟と処女を守護する女神アルテミスに従っていました。そのため、ダフネもまた処女の誓いを立てていました。
ダフネの父親である川の神ペーネウスは、孫を欲しがっていたともされていますが、ダフネを尊重しているようでもあります。

 

第1章・アポロンとダフネの出会い。
エロスの復讐は残酷でした。アポロンの心を痛めつけます。
ダフネを見た瞬間、アポロンは彼女を強く求めるようになりますが、ダフネは彼に嫌悪感を抱きます。
アポロンは予言の能力を持っているにも関わらず、恋は盲目。
自分と彼女の未来がまるで見えません。
まるで感情を制御できませんでした。
さらにダフネが実際よりも美しく高潔に見えます。
彼は何度も彼女を褒め始めますが、ダフネは彼の存在にさえ耐えられませんでした。

 

第2章・逃げ惑うダフネと慢心するアポロン。
いよいよ彼女はアポロンの前から逃げ出します。

「待ちなさい、ダフネよ。私はあなたに恋い焦がれているのです。私はあなたの敵ではありません。あなたを愛する者です。私をあなたに従わせているのは愛なのです!」

逃げ続けるダフネにアポロンは続けます。
どのような女性も彼の求愛をここまで拒んだことがあったでしょうか。
自分は輝ける神アポロンだというのに。

「愚かなダフネ。あなたは自分が誰から逃げているのか知らないし、理解できないのでしょう。
ゼウスこそが私の父です。
私には全てを予知する力があります。
音楽を奏でれば右に出るものはいません。
医術を持って全ての病を治すことが出来ます。
しかし、愛はどんな薬草によっても癒されることはなく、美が彼らを癒すこともできません。私に憐みを与えてはくれないか」

 

第3章・絶望と変身
逃げ続けるダフネでしたが、徐々に体力がなくなっていきます。
ついに戦士でもあるアポロンに追いつかれ、その体をつかまれます。
恐怖に青ざめるダフネ。
ついに父親である神に助けを求めました。

「お父さま、助けて!どうか私を違う姿に変えて下さい!」

ペーネウスはアポロンの手にしっかりと握られていた娘を助けました。
ダフネは変身します。
彼女の髪は葉になり、腕は枝になり、足は根になりました。
アポロンが彼女の顔を見る前に、彼女はその姿を完全に変えたのです。
ダフネが立っていた場所にあったのは、美しい月桂樹でした。

 

最終章・アポロンの愛
ダフネが変身した後も、アポロンの愛は枯れることはありませんでした。
彼は失恋に心を痛めながらもこう告げます。

「私の花嫁になれないのなら、せめて私の聖なる樹となり、私の髪を飾り、偉大な芸術家を見守ってはくれないか。私が永遠に若くいるように、あなたもまた永遠の若さを保っていられるように」

月桂樹は枝を揺らし、その葉を彼に落とすことで頷いて見せました。
アポロンが描かれる時、月桂樹の冠をかぶっているのはここから来ています。
ノーベル賞などの文化的な分野で優勝者が月桂樹の冠をかぶるのもここにならって、と言われているようです。

物語は以上となります。

 

ここからは勝手に考察。

読み上げ ©VOICEVOX:四国めたん

 

悲恋のたびに記念品を作るのが好き、とも言われているアポロン。
果たして彼の愛は愛だったのでしょうか?

私が思うに、はっきり言うと、彼がダフネに抱いたものは完全に下心。欲望。
愛ではありません。

彼女が欲しい。
彼女を自分のものにしたい。
彼女にキスがしたい。
彼女とセックスがしたい。
自分だけを見て欲しい。

人を好きになれば、誰でもこのような衝動を持つでしょう。
それは確かです。
しかしダフネは彼を嫌いました。
にも関わらず無理に迫るのはただの欲求の押しつけ。彼女を尊重しようという気持ちはありません。
さらに自分がいかに優れた者か、と説き伏せようとしています。(これは文人が書いたシーンではありますが)
かなりナルシシズムが出ており、ダフネのことを愛していると言うより、「ものとして所有したい」ようでもあります。

 

「我々が愛と思うもののほとんどは愛ではない」
という、ラ・ロシュフコー公爵の名言があります。
これは恋人や夫婦に限らず、親子兄弟友人という近しい関係でも起きるものですね。
「自分の言うとおりにして欲しい」
「自分のことを考えて欲しい」
「ああなって欲しい」
「こうなって欲しい」
「こうであるべき」
「ああであるべき」
「どうして自分の思いに気づいてくれないのか」
「わたしはこんなに尽くしているのに」
結局裏に隠れているのは自己中心だった……その可能性は非常に高い。
(ただ親子になると、生きるすべを教えないといけないというものも絡んでくる。欲なのか教育なのかの見極めが非常に難しいところ)

 

愛は対象を自由にする。
自由……自由というと何か違う気がしたのでちょっと色々言葉を探してみました。
「解放」だろうか。
愛は対象を解放する。
苦痛から解放する。
支配から解放する。
欲望から解放する。
その人がその人として輝けるよう、その人そのものを愛する。解放する……というか???
愛を例える言葉があまりに難しいため
「無償の愛」
「慈愛」
とシンプルな言葉にまとめたのかもしれません。
言葉にするのはあまりに難しい。

 

アポロンがダフネを本当に愛したのなら、彼女に自分の好意を押しつけ、自分のものになるよう迫るのではなく、エロスの呪いを解いた上で彼女の意思を尊重すれば良かったのかもしれません。

 

それでもここまでなら「いや結局悪いのエロスでは?」
という感も否めません。
実はエロスも自分でも矢にあたり恋に落ちましたが、(この物語です→ギリシャ神話「エロスとプシュケ」に学ぶ女性の成長の旅路
その愛情はむしろ細やかで、妻の心が開かれるよう尽くしました。
自分の正体、顔すら明かさずに勝負しました。
しかしこの物語でのエロスはかなり残酷。
心を傷つけることがどれだけむごいか。
アポロンがエロスに一言謝れば良かった気も、しないではありません。

 

さらにアポロンの負の側面は他のお話でもちらほら……双子の妹・アルテミスの恋路を邪魔したことでも有名なのです。
彼女の初恋を阻むため、その相手であるオリオンが死ぬよう仕向けたという物語。
しかも射殺す役目をアルテミス本人にさせたのです。
アポロンが言うには「お前は父上に処女の誓いを立てたにも関わらず、それを破るというのか」
とのこと。
大抵は可愛い妹の恋人であるオリオンに嫉妬したため、恋路を邪魔したとされています。
でもアポロンの言うことにも説得力はあります。
どっちが正しいのでしょうか。

 

そんな感じで、アポロンはけっこうおぼっちゃま気質というか、「自分の思い通りにしたい」感じで描かれがち!?
そんなところも魅力になることもありますけどね。
少女漫画とかではワガママな俺様主人公と芯の強い心優しい少女……みたいな。あるあるな設定な気がします。

 

誰もが憧れる美青年なのに、負の側面もある……というのも、彼は太陽神と同一視されているからかもしれません。
(このあたりけっこうややこしい。
一応、ヘリオスという神が太陽神。
アポロンの乗る馬車が太陽という説もあるので、彼自身が太陽かどうかは不明。
でも一般的にアポロンが太陽神で、双子の妹は月の女神と認識されている)
医術の神であると同時に、疫病の神でもある……

太陽は近づく者を焼いてしまいます。
しかし同時に、全ての命に平等な光を与える存在でもあります。

彼もまた、誰のものにもなってはいけなかったのかもしれませんね。

 

いかがでしたか?
傲慢を許さないギリシャ神話。
確かに傲慢こそが全てを狂わせる元凶であることは多いものです。
私も調子に乗りやすいので気を付けないとなあ、と改めて感じ入った次第です。
日本でも「おごれるものひさしからず」とありましたね。

物語が面白い!と感じられたら幸いです。

それでは、ありがとうございました。

 

 

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