母性神話の罠:理想の押し付けが女性を苦しめる理由
「母性」という言葉を聞くと、優しさと無償の愛を連想するかもしれません。
しかし、それは本当に自然なものなのでしょうか?
母性とは、単なる本能や社会的役割を超えた、複雑で多面的な概念です。一般的に「母性」と聞くと、子供への愛情や育児への献身が思い浮かびますが、これは生物学的なホルモン作用と社会的な期待の両方が関係しています。
イライラしたり、悲しくなるのはなぜ?
1. 体調や睡眠不足
妊娠中や子育て中は体調の変化や睡眠不足も大きな要因です。特に育児中は夜中に起きることが多く、ホルモンバランスに悪影響を及ぼしやすいです。質の良い睡眠をとりにくいことで、集中力や気力が奪われやすくなります。
2. 精神的・肉体的ストレス
妊娠中や子育て中は、肉体的な負担も増えます。身体が変化することで不快感や痛みを感じたり、育児のプレッシャーや孤独感を感じることもあります。
3. 社会的プレッシャーと期待
社会や周囲の期待、特に母親としての役割に対するプレッシャーが、イライラを引き起こす要因として挙げられます。完璧な母親像に対する期待に応えられないと感じることで、感情的な負担が増し、イライラすることがあります。
これが重要!母性とホルモンの関係
母性の形成には、ホルモンが重要な役割を果たします。特に関与するのが以下のホルモンです。
- プロゲステロン:妊娠中に増加し、子供を守るために攻撃性や防衛本能を強める。プロゲステロンは妊娠中に増加し、子供を守るための防衛本能を高めます。そのため、母親は普段より神経質になりやすく、時には攻撃的な気分になることもあります。しかし、それは決して ‘母親失格’ というわけではなく、むしろ自然な生理現象なのです。
- オキシトシン:出産や授乳時に分泌され、愛着や信頼感を生み出す。
- エストロゲン:女性らしさを強調するホルモンであり、育児そのものよりも、優雅さや柔和な印象を与える。
野生動物においても、出産後の母親が神経質になるのはプロゲステロンの影響です。これを「子供を守るためだから仕方ない」と受け入れる人がほとんどでしょう。
しかし、人類の社会では「優しく、愛情深い母親」が理想とされ、この本能的な変化が受け入れられにくくなっています。
現代社会と母性のギャップ
大昔、人間は家族やコミュニティの中で子育てをしていました。しかし、核家族化が進んだ現代では子供が第一子の場合、親世代は初めて子育てするにも関わらず、その責任を全て引き受けることになり、特に母親はその責任の大半を任されてきました。
- 母親の自己犠牲を美化する文化: 「子供を最優先にするべき」「母親は強くあれ」といったプレッシャーが、育児のストレスを増大させています。
- 理想と現実の乖離: 現実には、ホルモンバランスの変化や疲労により、常に優しくいられるわけではありません。
赤ちゃんとの付き合い方もまだわからない状態なので、常に答え(抱っこの仕方や好き嫌いなど)を手探りですから、子供に対しイライラすることもあるでしょう。
- 社会のサポート不足: かつては祖父母や近所の人々が育児に関わることが当たり前でしたが、今では母親一人にその責任の大半がのしかかっています。『お母さんなんだからしっかりしなさい』という言葉は、サポートのない環境で孤立する母親にとって、ますます追い詰める言葉になってしまいます。
このようなギャップが、母親たちを追い詰める大きな要因になっています。
「母性」は押し付けるものではない
優しくて愛情深くなるのはエストロゲンの作用で、これは母性ではなく女性性を高めるホルモンです。
求めているものが正反対だったのです。
「理想の母親像」を押し付ければ押し付けるほど、女性は追い詰められていきます。
無理に増えたプロゲステロンは髪や肌の艶を奪い、肥え太りやすくなって肉体に負担がかかります。その後の健康的な肉体に戻るのにも時間と労力がかかります。
そのためホルモンは無理に操作するものではありません。お乳の出はリラックスに関わる為、プロゲステロン過多だと出にくくなります。
母親から出ている匂いは赤ちゃんにも影響があります。適度に女性的な方が、結局母親にも子供にも良いのです。
「母性」とは一つの固定された概念ではなく、人それぞれ異なる形で表れるものです。
父性愛を持った女性もいるし、母性愛を持った男性もいます。
両方を持っている人がいてもそれは普通のことです。
どういった性質を持っていても、それは皆普通なのです。
- 完璧な母親像に縛られないこと: すべての母親が同じように愛情深く、忍耐強いわけではなく、個々の状況や性格によって異なります。
- 母親自身の健康と幸福も大切: 育児はマラソンのようなもの。母親自身が心身ともに健やかであることが、結果的に子供にとっても良い影響をもたらします。
- 社会全体で育児を支える: 育児は母親一人の責任ではなく、家族や社会全体で支えるという考え方も必要です。
今すぐできるセルフケア
母親になったばかりの女性ができるセルフケアとして、心と体の負担を軽くし、ホルモンバランスを整える方法をいくつか提案します。
🔸 深呼吸とストレッチ
- 育児の合間に、肩や首を回したり、深呼吸するだけでもリラックス効果があります。
「不快な気分よ出ていけ」と思いながら息を吐き、「新鮮な空気よ脳に入れ」と思いながら息を吸います。何度か繰り返せば、すっきりした気分を実感出来るようになります。
– 骨盤周りをほぐすストレッチもおすすめ。
🔸 温かい飲み物でホッとする時間を作る
- カフェインゼロのハーブティーや、鉄分・カルシウムが摂れるホットミルクでリラックス。
- 温かい飲み物をゆっくり飲むことで、副交感神経が優位になり落ち着けます。香りを楽しむのは薬膳の視点からもとてもおすすめです。
🔸 昼寝や「横になる時間」を確保する
- 赤ちゃんと一緒に昼寝をするのも◎。
- 眠れなくても目を閉じるだけで疲れが取れやすくなります。目元を温めるグッズもお勧めです。
2. 心を整えるセルフケア
🔸 「今の自分で十分」と言い聞かせる
- 完璧な母親でなくても大丈夫。「できる範囲でやればいい」と自分に言い聞かせるだけでも心が軽くなります。
🔸 育児の不安やイライラを書き出してみる
- 誰かに話せなくても、ノートやスマホに気持ちを吐き出すだけでスッキリすることも。
🔸 好きな音楽や動画を流す
- 赤ちゃんが寝ている間や授乳中に、自分の好きな音楽を聞くのも気分転換になります。
3. 生活習慣を見直すセルフケア
🔸 栄養のある食事を意識する
- ホルモンバランスを整えるために、タンパク質・鉄分・ビタミンB6(ナッツ類、バナナ、鶏肉)を意識して摂取。
🔸 家事は「手抜きOK」と割り切る
- 料理は誰かに任せたり、冷凍食品や宅配サービスを活用し、掃除はロボット掃除機に頼るのもアリ。
🔸 「助けを求めること」に罪悪感を持たない
- 夫や家族、お母さんのためのコミュニティや行政のサポートを積極的に活用することも大切。
4. スキンシップを活用したセルフケア
🔸 赤ちゃんとのスキンシップを楽しむ
- スキンシップは母親自身のオキシトシン(幸せホルモン)も増やし、気持ちが落ち着く効果があります。
🔸 パートナーや家族とのハグ、手をつなぐことを意識する
- 夫や親しい人とハグするだけでも、安心感が増しストレスが和らぎます。
セルフケアは「できるときに、できる範囲で」が大切です。小さなことでも、自分を労わる習慣を取り入れてみてくださいね。
💡まとめ
母性はホルモンの影響を受けながらも、社会的な価値観によって大きく形作られています。現代の母親が育児に対してプレッシャーを感じるのは、「理想の母親像」と実際の生物学的な変化がかけ離れているからです。
母親自身が過度な無理をせず、社会全体で子育てを支えることこそが、本当の意味での「母性」を尊重することにつながるのではないでしょうか。母性とはひとつの型にはめられるものではなく、個々の母親が自分らしく育児をしていくことこそが大切です。母親ひとりに全てを背負わせるのではなく、社会全体で支えていくことが求められています。
私の従妹は妊娠中、出産後、と両親と妹たちのいる実家にほぼ入りびたりで、手厚いサポートを受けられたためか2か月ほどで充分活動的になり、他府県まで遊びに行くほどでした。
そもそも「完璧」なんてないのですから、家族が幸せならOK。自分への許容範囲をもっと広げて良いのではないでしょうか。
