【鏡中夢幻】 第12話
沙羅は男装して鹿鳴館に忍び込む。 すっかり慣れたものだが、徐々にこの世界に馴染まなくなる感覚があった。 時々頭痛がして、手足が浮くような感じがするのだ。 ここに働く人の名簿を盗み見て、薩摩隼人 ...
【鏡中夢幻】 第11話
「失敗した。アレクサンダーがどこへ行ったか、分からない……」 クララ女王がつぶやいた。 「子供さえ出来れば良いのよ、そうすれば王家は続き、財産も守れる……でも……たとえそうなっても、大 ...
【鏡中夢幻】 第10話 ※官能シーンあり
翌日、沙羅はアレクを見送るとすぐに鹿鳴館に向かった。 男装にもすっかり慣れ、新聞を手に忍び込む。 クララ女王がアレクにその名前を授けたのだ。彼女には何かある。 幸い鹿鳴館には人が ...
【鏡中夢幻】 第9話
それから3日後のことである。 鹿鳴館は新たな客を迎え入れた。 イギリスの近くにある小さな王国・ミストウィルド(架空の国)の若き女王クララその人である。 はちみつ色の輝く髪は細かに ...
【鏡中夢幻】 第8話 ※官能シーンあり
その日はアレクの休みだった。 どこかへ出かけようか、と誘われ、アレクの気に入りの場所を、と沙羅は言った。 (もし彼が頻繁に出入りしているなら、彼を知っている人がいるかもしれない) ...
【鏡中夢幻】 第7話
朝目覚め、鏡に顔をうつす。 顔に触れて、少し引っ張ってみると、痛みを感じる。 崎本は「過去の世界」と言った。現実と繋がった世界。夢ではないから気を付けるように、と。 では彼女は誰 ...
【鏡中夢幻】 第5話
ハッと目が覚めると、そこは自分の家だった。 アイボリーのカーテン、白の壁紙、淡いグリーンのラグ。 見慣れたはずのそれら。 自分の家だ、現実に戻ってきたのである。 沙羅は目じりに ...
【鏡中夢幻】 第4話
鶏の声で沙羅は目覚めた。 アレクは後ろからしっかりと沙羅を抱いている。今はまだ眠っているようだ。 流れるような黒髪が沙羅の肌を撫で、乳房にかかった。 彼の方を向くようにし、その顔 ...
【鏡中夢幻】 第2話
長髪を後ろで束ねた先ほどの男性は、植物で染めた緑色の着物を着ていた。 見た目から年齢は30代といったところだろうか。年上に見える。 彼が案内したのは洋風建築だったが、米俵も見た沙羅はここが日本で ...