【鏡中夢幻】 第8話 ※官能シーンあり
その日はアレクの休みだった。 どこかへ出かけようか、と誘われ、アレクの気に入りの場所を、と沙羅は言った。 (もし彼が頻繁に出入りしているなら、彼を知っている人がいるかもしれない) ...
【鏡中夢幻】 第6話 ※官能シーンあり
家に帰り、鏡を見つめる。 やや歪んだ鏡面はいびつに光を反射させ、膝を抱える沙羅をうつしていた。 崎本はエドガーと同じように、一瞬で消えてしまった。 探しても彼は見つけられなかった ...
【鏡中夢幻】 第5話
ハッと目が覚めると、そこは自分の家だった。 アイボリーのカーテン、白の壁紙、淡いグリーンのラグ。 見慣れたはずのそれら。 自分の家だ、現実に戻ってきたのである。 沙羅は目じりに ...
【鏡中夢幻】 第3話
翌朝、沙羅は早くに目が覚めた。 風景はやはり小さなシャンデリア、虎と龍の絵。 ここは夢じゃない、と言った崎本――エドガー・フィンチと名乗っていた――の言葉が思い出される。 「それは ...
【鏡中夢幻】 第2話
長髪を後ろで束ねた先ほどの男性は、植物で染めた緑色の着物を着ていた。 見た目から年齢は30代といったところだろうか。年上に見える。 彼が案内したのは洋風建築だったが、米俵も見た沙羅はここが日本で ...
鏡中夢幻
寄稿文の翻訳・校閲担当の沙羅は「NO」と言えない性格が災いし、周囲から仕事を押し付けられ過労気味…… そんな気弱な性格を直したいと思いながら、休暇で訪れた不思議な骨董店で出会った店主・崎本に銀で出来た ...
【鏡中夢幻】 登場人物
守屋 沙羅 出版社で翻訳家としても働く努力家で真面目な現代の女性。 NOと言えない性格が災いして社畜気味。 休暇を取るよう言われ、訪れた骨董店で鏡をもらい受ける。 この鏡から別の世界へ行 ...
【鏡中夢幻】 第1話
月の下で樹々が風に揺られてざあざあと音を立てていた。 朱に塗られた鳥居、参道を照らす松明の火。 下駄をからころ鳴らして石畳を歩き、近づいてくる祭囃子を聞く。 誰かと手をつないでい ...
【コキュートス -月下のバレリーナー】第10話
「コキュートス。ギリシャ神話の冥府に流れる川。裏切者を許さぬ氷地獄のこと」 旬果はパソコンを開き、検索をかけていた。 ネイサン・ブラックモアの名前を。 それと、彼の顧客である企業も ...
【コキュートス -月下のバレリーナー】第9話
「コキュートス。ギリシャ神話の冥府に流れる川。裏切者を許さぬ氷地獄のこと」 無事に帰国して数日が過ぎたころ。 旬果は頭を抱えていた。スマホがなくなったのである。 それと、今回の出張 ...