小説 黒豹とかたつむり

「黒豹とかたつむり」第19話 本心と本能 *官能シーンあり

 薄く唇を開くと、棚田の舌が入り込んでくる。じっくりと感触を確かめるように。
 紗矢も舌を出し、表面をなぞり合うと腹の底にまで官能が走り抜ける。膝を立ててそれを逃がし、棚田の首に腕を回して髪の生え際を撫でた。
 棚田の手が枕を抜けて、紗矢の首から肩に到達する。肩を抱えるようにして体ごと引き揚げられ、枕を背もたれにして上半身がゆったりと起こされた。
 目が合うと、棚田は自ら前髪をかき上げて見せた。
「電気落としていい?」
「ああ。少しだけ……紗矢を見てたい」
 紗矢は手を伸ばし、枕元のスイッチを捻る。ゆっくりとオレンジ色が濃く、暗くなる。
 肌の色が落ちた影で浮かび上がるよう。
 じわじわと熱を帯びてゆく彼の目は太陽の黒点のようになった。表情がよく見える。
 紗矢がどきどきする胸をしずめようと胸元を撫でていると、棚田がその手に手を重ねてきた。顔をじっくり覗き込んでくる。
「……どうして忘れてたんだろう」
「何を?」
「きみの顔。……表情は覚えてたのに」
 棚田の手が耳ごと頬を撫でた。溶けてしまいそうなほど温かい手に撫でられ、紗矢は思わず目を閉じてしまう。
「……今は?」
「よく見えてる。目も、頬も、唇も」
 棚田は一つ一つ確認するかのように、指先でそっとなぞってゆく。ぽっ、ぽっ、と火が灯されていくような、くすぐったさのある感覚に紗矢は目を開け、その棚田の手を撫でた。
「……がっかりしてない?」
「してない。立体的に見える」
「立体的?」
「眼鏡をかけてると、どこか平面に見える。街並みも自然も。本当の目で見てない感じだった。今はやっと見えてる気がする。……色んなものが、しっかり輪郭を持ってる」
 棚田の指先はどんどんおり、紗矢の顎から服越しに鎖骨、谷間をなぞった。だがそこに下心は感じない。
 紗矢は棚田の目を見つめ、その指先に視線を落とす。へその辺り。
「……美人だったんだな」
「何それ? 美人だって思ってなかった?」
「いや、思ってたさ。ただはっきり見えてなかった。視力が悪いわけじゃない……はずだけど」
「どきどきするからとか? 好きな人の顔って、まともに見ると感動して心がおかしくなりそうだもん」
「あぁ、なるほど……紗矢がしょっちゅう目を潤ませる理由が分かったよ」
 棚田は我が意を得たり、と口の端を不敵に持ち上げてみせた。紗矢は慌てて彼の手を止める。
「は? え? 嘘、ちょっと」
「否定するのか?」
「しないけど……もう、からかわれると反抗したくなるの。やだなあ、棚田さん、好きな子はいじめるタイプ?」
「いじめはしない」
 棚田はそう言うと、紗矢の背中に手を入れ、ぎゅっと抱きしめた。
 強く立ち上るのはタバコではなく、彼自身の匂いだ。草原にいるかのような、スカッとするような青い匂いと土の甘い匂いに似ている。
「好きなやつは全力で守る」
 力強い言葉に、紗矢は胸が震えるような感じがした。彼の背中に手を回し、服に皺がよるほど強く握りしめる。
「うん。信じてる」
 そう応えた声が震えていることに自分で気づき、一度息を吸い込む。棚田が気遣わしげに顔をあげ、紗矢の髪を撫でた。
「私も……あなたのこと、守るから」
 喉が詰まったように感じる。だが苦しいのではない。心地よい熱さでいっぱいな感じだった。
「……それは心強いな」
 棚田の手がゆったりと髪を撫でる。目元は柔らかく、黒目は濃く。
 紗矢が棚田の頬に手を伸ばし、顔を近づけると彼はそっと目を閉じた。背中に回された手が紗矢を引き寄せる。
 唇が触れあう。
 何度もそうしたはずなのに、どうしてか初めてキスをしたみたいだ。驚くほど心臓が跳ね上がり、唇を滑らせるとじんとした熱が高まっていく。
「……あ……」
 焼けるように熱い喉から息がのぼってきて、吐き出すと棚田がそれすら逃がさないように深く唇を重ねる。
 棚田は重心を移動させ、紗矢を枕に沈ませると覆い被さる。腕を抜いて紗矢の体を撫でた。
 ふっと唇が離れ、目が合う。紗矢は黒目がちな彼の瞳が、混じりけのない黒を濃くして鏡のように自分をうつすのを見た。
 彼の目にも同じように見えているのだろうか。
 紗矢は棚田の目元を撫で、そこに口づける。膝を立てて脚を開くと、そこに彼の体が割り込んだ。
 棚田の手が腰に触れ、服の裾から入ってぐいっとめくり上げる。
 紗矢は両手をあげて服を抜き取った。薄いキャミソールも脱ぎ捨てると、ワインレッドのブラが表れる。棚田はブラごと両胸を寄せ、谷間に鼻を埋めるとそこに口づけを落とす。
 紗矢は心臓が力強く打つのを感じながら、スカートに手をかけた。お尻を持ち上げると棚田がそれに気づいて脱がせてしまう。
 紗矢は棚田の黒いシャツのボタンに手をかけた。
「脱がせてくれるのか」
「うん。じっとしてて」
「無理な相談だな」
 棚田の返事に紗矢は肩をすくめた。一つ二つ、とボタンを外すが、棚田に脇の辺りを舐められた時には思わず「あっ」と上擦った声を出してしまう。
 棚田が紗矢を見上げた。
「ここ……好きだろ?」
 棚田の手が肩をすうーっと撫でた。産毛が立ち上がるほどの快感に紗矢は唇を噛んでしまう。
「うぅっ」
「さっさと脱がせてくれ」
 棚田は紗矢の肩を指先でくるくると撫でながら、柔らかい脇を舌でなぞる。
 紗矢は目を強く閉じ、手を下ろすとボタンを外す。ぷつっ、と全て外し終えると、腹部どうしが触れあう。そのままシャツをはだけさせ、腕から抜き取るとバサッと床に落ちる音がした。
「目開けろ」
 棚田の声はいつもより低く、じっとりとした重みを持っている。紗矢はふうっと息を吐いて目を開けた。
「……感動して心がおかしくなりそう?」
 棚田はそんなことを言って、表情を和らげた。
 紗矢は何のことか思い出し、頬に熱をあげると同時に視界が潤むのを感じる。
「……うん」
 頷くと棚田の手が頭に乗り、髪の感触を確かめるように動きながらまたキスが落ちてくる。
 唇は自然と開き、舌の表面が擦れあう。ぬるっ、と唾液が交わってぬちゅぬちゅなった。
「……棚田さんは?」
「……そうだな、意味はわかる」
「素直じゃないなあ」
「しょうがない。紗矢ほど素直な心をしてない」
「じゃあ、棚田さんが素直になるまで待つとしますか」
「そうしてくれ」
 棚田の言い様に紗矢は気持ちが軽くなった感じがした。ふふふ、と笑うと再び口づけを受け入れる。
 棚田の手がそろそろとおりて、背中にまわった。そのまま胸を突き出すように固定され、あっと思った瞬間には露出している白い乳房に彼の唇の感触を得ていた。
「ん……!」
 ふっ、と熱い息が谷間にかかる。肩紐がずらされ、カップから乳房がこぼれた。覆うもののない不安感に思わず背を丸める。棚田の頭を抱きしめる格好になった。
 棚田の手が背中を探ったかと思うと、ぱっと開放感があってすぐに枕に背を押しつけていた。棚田にまっすぐ見おろされる形になり、紗矢は指先を緩く噛んで胸を隠す。
「隠さないで、見せろよ」
「……隠すとかじゃ……ないの」
 そろそろと手を開けば、すっかり自由になった両胸が頼りなくふよんと揺れた。
 棚田はじっと紗矢の胸を見つめ、舐めるように視線を往復させる。紗矢は棚田の熱いまなざしに、体が焼かれてしまう感じがして首を横にふる。
「そんなに見つめないで」
 そう言ったが、棚田はそれには応じず胸に触れてきた。緩く掴んで揺らしている。すっかり起ち上がった乳首が指の間に入り込むと、じんとした熱に色を濃くした。
 その乳首をくにくにと摘ままれ、紗矢はいよいよ息を荒くする。
「うぅ……!」
「腕あげて」
「え……?」
 棚田の言うとおりに両腕を頭の上に挙げる。棚田の舌が脇を舐めた。電流が下腹部に走り、腰が軽く跳ねてしまう。
「あ……は、うっ」
「いい声だ」
「やだ……」
 棚田はもう片方の乳首を口に含み、じゅうっ、と吸った。
「あっ!」
 いきなりの強い刺激に、紗矢は棚田を押しのけようと腕を伸ばす。が、その手をやすやすと掴まれると頭上に押さえつけられてしまう。
 棚田は宥めるように唇で顔をなぞった。
「ん……ふ、うぅ~っ」
 棚田の唇が触れた部分がじんじんと熱にしびれている。首筋に吐息と熱い舌を感じていると、紗矢は違和感に気づいて目を開けた。
「あっ、何して……」
「じっとしててくれ」
 棚田が着ていたシャツだ。袖の部分が紗矢の手首に巻かれ、きつくはないが抜けそうになく縛られる。
「ほ、本当にするのっ?」
「こういう時は素直じゃねえな……」
 棚田の手がそろっと頬から首を撫でた。それにもすらじーんと反応する。体が急速に熱くなった。
「首まで真っ赤にして。嫌じゃないんだろ?」
「え、待って待って……あっ!」
 棚田は紗矢の自由を奪ったのを良いことに、彼女の脇や乳房を音を立てて吸い上げた。
 手首を緩く縛られている。その事実に喉がはれぼったく感じるほどの何かを味わった。
 背筋がぞくぞくし、腰が不安定になったよう。
 いわゆるMというやつか。
 紗矢は頭が沸騰しそうなほどの恥ずかしさに首をぶんぶんふった。
「やだ……っ」
「本気で嫌なら蹴ってくれ」
 そう言って、棚田は紗矢の脇をくすぐり、じゅうっ、とこりこりに硬くなった乳首を吸っては丹念に舐める。上から下へ、下から上へ。
 ぴんと尖ったそれが舌でうりうりと責められると、ショーツの中で若芽がぴくぴく反応しだした。
 ショーツが熱い果汁のような愛液のせいで濡れ、張り付いて重い。
「あぁ……」
 耐えかねて出した声は鼻にかかって、今まで聞いたことがない甘えるような響きを持っていた。
 一度口が開かれると閉じる方法を忘れてしまったようで、紗矢は与えられる快楽に絶えず上擦った声をもらした。
 そんな彼女の姿に気づいてか、棚田はもう片方の乳首も唾液でたっぷり汚しながら、左手の人差し指を紗矢の唇に触れさせる。
 紗矢は舌でそれを招き入れ、口内に誘い込むと節だったたくましい指に舌を絡める。指の腹で舌の表面をなぞられると腰がびくりと跳ね上がった。
「ん……んん……っ」
 棚田の親指が唇を撫で、紗矢が目を開くと瞳を強く押し広げてこちらを見つめる彼の目とぶつかる。
 その欲情にまみれた熱い視線に、紗矢は体の奥から熱いものが溢れるのを感じる。
「あっ……!」
 腰を動かすと、棚田がめざとくそれの意味に気づいたらしい。腰を掴まれ、棚田の体が下腹部に降りていく。
「濡れてるな」
 ショーツ越しに秘部をじっくりと見つめられる。紗矢は腕を下ろし、両手を組み合わせると顔を隠していやいやをした。
「み、見ないで……っ」
「無理言うなよ……脱がすぞ」
 ショーツに手がかけられ、武骨な指が丁寧に下ろしてゆく。ぬるり、とクロッチ部分に絡まる愛液が、垂れて太ももを濡らした。
「うぅ……ん」
「すごいな。沼みたいになってるぞ」
「言っちゃ嫌……!」
 棚田が笑ったのが聞こえ、目を開けると彼の気さくな笑みが見える。
 頬にまた熱が上がり、紗矢は再び顔を隠すと両脚を持ち上げてすり寄せた。
「もう……ずるいよ……」
「どっちがだよ。こっちも我慢してるんだ、脚開けよ」
「やだ……」
「分かったよ。ならそのまま」
 棚田は紗矢のお尻から手を入れ、ひょいと両脚を浮かせると付け根にキスをした。
「あっ」
 ひくん、と浮いた脚が頼りなげに反応し、棚田の手が足首をしっかりと捕らえる。
 そのまま膝に、膝の内側にも唇が触れ、舌で辿られる。
「ううっ」
「脚も感じる?」
 棚田は口で足首を咥え、するり、と秘部に手を滑らせた。熱い若芽に指が触れ、体の奥から溶けそうな快楽を味わう。
「あっあ……っ!」
 自然と脚が力をなくし、広がってゆく。棚田は内ももを撫でながら、開いていく脚を押さえてそこに顔を近づけた。
 ふっと熱い息がかかり、若芽がぶるっと震える。紗矢は手で隠せないもどかしさに唇を噛んだ。
 ひくひくと穴が収縮と弛緩を繰り返す。愛液がそこから押し出され、お尻まで濡らした。
「ん~……っ!」
「我慢するなよ。イきたかったらいつでもイけ」
 くいっ、と棚田の指先が器用に花ヒダを広げた。じんじんする感覚に奥がまた切なく疼く。
 早く欲しい。
 棚田の舌が花ヒダの内側をべろりと舐めあげた。どろどろに溶けそうに熱い快楽に、背中が仰け反る。
 小さな若芽の皮が剥かれ、そこに指を押しつけられた。くいくいと刺激され、紗矢はたまらず声をあげる。
「あぁっ……もう……!」
 紗矢は手首に巻かれている棚田のシャツを噛んだ。このままだとあられもない声が出てしまう。
 じゅるるっ、と溢れる愛液がきつく吸い上げられる。ふくれて鎮火を望む若芽も同時に押し込まれ、たっぷり濡らした指でくくっ、と擦られると、弾けるような快楽が一気に押し寄せて紗矢の体を跳ねさせた。
 腰が強く跳ね、内ももにぎゅっと力が入る。
 棚田は彼女の震えが収まるまで、太ももを抱くようにしていた。
 彼の指を包む花ヒダはじゅぷじゅぷと名残惜しげに収縮し、やがてのぼせたように重くなる。
 棚田は指を離し、内ももやお尻まで流れていた愛液を丁寧に舐めとる。
 敏感になったそこはそんな愛撫にもすら反応し、焼き付けられるかのよう。紗矢は息を細かく吐いて、首を横にふる。
 目尻にひんやりしたものが溢れ、涙だと気づいたのは耳に流れた時だ。
「はあ……あぁっ」
 ようやくまともに呼吸が出来る。紗矢はゆっくりと上体を起こした。脚ががくがくしている。
「楽にしてていいぞ」
「……ふふ。気づかってくれてるの?」
「……それは……ああ」
 棚田は紗矢の秘部に中指を沿わせ、手のひらを天井に向けるとそろーっとなで上げた。
「んうっ」
 重い愛液が彼の指に流れ、鋭く痛みに近い感覚が体の奥に響く。
 紗矢が体を枕に預け、その感覚にまた涙を浮かべていると、そろそろと武骨な指先が穴に入り込んだ。
「っ……!」
 一度達したばかりのため、内壁は感度も鈍く、重い感じがするが、スムーズに彼の指を飲み込んでしまう。
 だが中を浅く探られても感じにくい。
 もっと奥。
 もっと奥に。
 もっと奥に欲しい。
 棚田が指を入れたまま、体を起こして紗矢の頬に手を置いた。手のひらがぴったりと張り付いて、ようやく自身が汗ばんでいると気づく。
 棚田と目が合った。ぎらつく瞳のその奥に、心を溶かしてしまいそうな柔らかい光を湛えている。
「こっち来て……」
 紗矢がそう誘うと、棚田は唇を開いて紗矢の唇を覆う。ねっとりとした彼の舌が、まとわりつくように紗矢の口内を探る。
 危うい熱が生じ、腰ががくんと力をなくしベッドに深く沈み込むと、棚田の手が肩を撫でた。
「ふ……うっ」
 棚田は紗矢の首筋に顔を埋め、皮膚の柔らかい部分に歯を立てた。その瞬間、しびれるような快楽が力をなくした腰に流れ、びくりと跳ね上げる。
「あぁっ……!」
 棚田の荒い息づかいが聞こえてきた。鎖骨にも歯の感触があたり、身をよじると今度は乳房に。
 脇から手が入り、さっと持ち上げられるとそのままベッドに胸を押しつける格好にされた。
 棚田の手は溝の出来た背筋を撫で、肩甲骨には口づけが。ぞくぞくっ、と遮るものがないままに官能がお尻にまで流れてくる。
 紗矢はシーツをぎゅっと握りしめた。ちかちかする不確かな感覚の中、はっきりと色濃く存在する彼の体温がやけに頼もしい。
 促されるまま膝を立て、腰を持ち上げる。力の入らない腰は揺れ、それを止めようとすると怪しげにくねる。
 棚田がはあ、と息を吐いて腰からお尻をなぞった。
「いやらしい……すげえ格好だな」
「いじわる言わないでよぉ……誰のせいだと思ってるの?」
「分かってるよ」
 棚田の手がお尻の割れ目にそって入り込んでくる。
「あぁ……! やめてっ……」
「またイキそう?」
「違っ……また疼く……っ! もう我慢出来ない……!」
 早く欲しい、奥に欲しい。
 両腕を突っ張って体を起こす。髪が乱れたまま振り向くと棚田に懇願した。
「もう挿れて……っ!」
 棚田が唸るように息を吐き出した。
「いいな、今の……すっげえ効く……」
 ジジジッ、とジッパーがおりる金属音が鼓膜に響く。ガサガサといつもより荒っぽくコンドームの封を切る音がして、それがつけられたモノが視界に入り込んだ。
 赤黒く走る血管の、力強い脈動。
 ぼやける視界の中でそれがギラギラと見える。
「う……っ」
 と、思わず脚をすり寄せて腰を引いてしまう。
 棚田の手がそれを掴み、いとも簡単に脚を開かせた。
「またエロい汁がこぼれてきてる。そんなに欲しかったか? ん?」
「っうぅ~……っ! 今日いじわる……!」
「興奮してるくせに……」
 腰をぐいっと引き寄せられ、秘部にモノが触れた。火傷しそうなほどに熱い。
 彼もきつく興奮しているのだと分かって、紗矢の体の奥が切ないほどに疼いた。
「挿れるぞ」
 棚田が彼のモノの先端を花ヒダに沿わせた。ぬちゅっ、と粘りの強い音がした。秘部全体が呼吸するようにうねり、彼のモノに絡みつき、誘うように蠢く。
「ひ……あっ」
「クソ、やべぇ……紗矢、感じすぎだ」
「言わないで……っ!」
 紗矢は耐えきれずに体を倒し、シーツに頬をつけてしまう。棚田に掴まれたままの腰が浮いて、そのままずぷずぷっ、とモノが入り込んだ。
「……うぅうっ!」
「きっつ……っ」
 うめくような棚田の声が背中にふってくる。
 紗矢はシーツを握りしめ、はあはあと息を吐き出す。心臓がどきどきとうるさい。このまま焦らされると死んでしまいそうだ。
「奥……来てっ」
「わがままだな……ほら」
 ぐぐっ、と腰を引き寄せられる。中がざわざわ動いて、彼のモノを押し出すかと思えば更に奥へ誘う。棚田がはあっ、と息を吐き出した。
「ん、うぅっ……」
「もう少しだ。そのまま……」
「ああっ!」
 ずぷぷっ、とモノが一気に入り込んだ。奥のきゅんとなく熱の根源に当たると、全身がぶるっと震えるほどの快楽に包まれた。
「ふぅううっ……!」
「軽くイったか?」
 棚田は紗矢の腰を掴み、ぎりぎりと秘部を密着させたまま上半身を折る。背中にふっと彼の息がかかり、背筋が飛び跳ねそうなほどの快感を得た。
「い……うっ、う……」
「何? 言ってみろよ、どうされたい?」
 棚田は肩甲骨を吸い上げ、そんなことを訊いてくる。紗矢はシーツを涙で濡らしながら首を振る。
「あ……っう……いっぱい……奥っ」
「言葉になってねぇな……」
 紗矢の返事に棚田はふっと笑う。上半身を起こし、紗矢の腰からお尻を持つと、内壁を擦りながら奥をとんとん突き始める。
 たっぷりと潤んだ中は、棚田のモノを締め付けているのにその動きを助けている。紗矢は好きな男性に体の内側を開拓されることに、たまらない幸福感を味わった。
「うっ……んむぅ……っ」
「これ、好きか?」
 紗矢は必死で頷く。頬が擦れたが、痛みを感じる暇がない。棚田のモノが出て行かないようきつく締め付け、一方開かれていく中の感覚に不思議な快楽を味わう。
「……気持ちいいっ……好き……っ」
「なら、もっとしてやるよ……」
 たくましいモノがずるずる……とギリギリまで引き抜かれ、ガッと奥まで貫かれる。
 紗矢は喉がひりつくような興奮に、両腕を前に突っ張って背を仰け反らせた。
「……あぁっ……! う、んん……棚田さん……気持ちいい?」
 再びモノが奥から離れていく。棚田は背中に口づけた。
「ああ……気持ちいい。こんな……紗矢……俺のための女みたいだ……」
 棚田の満足そうな吐息が背中にかかり、肩がぶるっと震える。
 良かった、と口にしたが、声にならなかった気がした。
 棚田の気配がふっと離れ、何か寂しい気持ちになってシーツをぎゅうっと握りしめる。恥骨に棚田の手が触れ、あっと思うとそのまま深い深い部分に彼のモノが触れ、ずりずりと擦りつけられた。
「……!!」
 声にならない声が喉をひりつかせて出て行く。
 奥を彼のモノで焼き付けられているみたいだ。はっきりと存在が感じられ、その力強さに息を詰めた。
 腰ががくがく震える。
「……ぁ……うっ……!!」
「……溶けそうだ。どこまでが自分のか、わからねぇな……」
 ぐちゅっ、とかなり粘着質な音がして、棚田のモノが奥から離れていく。紗矢はたまらず口を開いた。
「こ……ここ、いて……」
 そう口にすると、恥ずかしくなるほど中全体が締まる。モノの形をはっきりと理解出来るほどだ。
 棚田が深く息を吐き出すのが聞こえた。
「……動くなって?」
「くっついてたいのっ…………離れたくない……」
「……それは俺もだ」
 返事ともつかない独り言のような声が聞こえたかと思うと、棚田の手が腹から入り、紗矢の体を起こした。
 彼の膝にまたいで座り、背中が胸板にくっつく。後ろから抱きしめられると鼓動が近くなった。
 体重のためにモノがぐんぐんと中いっぱいに突き立てられる。紗矢は安心感と満足感で溶けるような息を吐き出した。
「あぁ……すごく……嬉しい……」
 棚田の腕がしっかりと抱きしめてくる。肩をじんわり撫でられ、視界がまた潤んできた。
「これだと顔が見えない。……こっち向くか」
「うん」
 紗矢は繋がったまま、体を回転させる。棚田と向き合う格好になって腰を下ろすと、目がしっかりと合った。背中をしっとり撫でられ、彼の胸板から肩へ手を移動させると、自然と笑みが浮かんでくる。
 甘える猫のように頬を肩口にすりよせる。棚田が喉をならして笑った。
「……可愛いな」
 武骨な指が生え際から髪を撫でた。くすぐったさの中に滲む心地よさに紗矢は目を細める。
「ふふ。腕こんなだから、抱きしめられないけど……そうね、アレなら出来る」
「アレ?」
 紗矢は背筋を伸ばし、棚田の頬をよけると、しっかりとした輪郭の耳にふっと息を吹きかけた。
 棚田の肩がびくりと反応し、慌てたように腰を強く抱かれる。
「何するっ」
「お返し、お返し。気持ちよくしてもらったから」
「まだ、いい。イってないだろ」
「二人で気持ちよくなろうよ。耳、好きでしょう?」
「そりゃ、嫌いじゃないけど……待て待て」
 棚田は紗矢の手を取ってそんなことを言うが、本気でやめさせたいなら出来るはずだ。
 彼の目元や頬が赤く、耳までじんわりそれが広がっていくのが見える。
 ぷっくりしている耳たぶが、やけに可愛かった。
「噛んだりしないから、大丈夫……」
 そう耳の奥まで届くように囁きかけると棚田のモノが中で膨らんだ気がした。
 腰が重いが耳たぶにちゅう、と吸い付く。棚田が波打つような息を吐いた。それにどきりとして紗矢は腰を揺らす。
「フェラされるのと、耳愛撫されるの、どっちが好き?」
「どっちも慣れてない……」
「本当?」
 意外だ、と紗矢は思った。
「主導権を握られるのが嫌でね」
「だから縛ったのね」
 そう言って彼がするように舌を這わせる。棚田の息が乱れ、腰の手が背中に移動した。
「左と右、どっちが好きなの?」
 そう言って指を耳の穴に入れ、くすぐる。棚田は息を吐き出すと紗矢の目を見つめた。
「……今度当ててみろ」
 そう挑発的な視線を寄越し、彼もまた紗矢の首筋に歯を立てた。
「ひゃ……っ!」
 血管のそばを薄く歯でなぞられる。肩が跳ね上がるのを押さえられ、喉や鎖骨あたりにも同様の刺激を与えられた。
 止めようとしてもやめてくれない。
 身動きの取れない状態での緩いがじわじわ迫るような愛撫に紗矢は体を強ばらせた。
 口を開けばおかしな声が出そう。
「エロいな、これだけでまた中が濡れてる」
 紗矢が逃げるように体を捻って背を仰け反らせると、棚田はこれ幸いとばかりに胸元にも同じように歯を立ててなぞる。
 胸の頂きでつやめく乳首はまたきゅんと硬くなり、棚田の目がそれを捕らえたかと思うと紗矢の目を見つめてきた。
 獲物を見つけた爛々と輝く目だ。
 ふうっ、と荒々しい息が谷間にかかり、紗矢は背筋に熱が流れたような感覚にぞくぞくと腰を震わせた。
「そんなに見つめないで……っ」
「そのおねだりは聞けない。見つめても見つめてもやっぱり足りない気がする……」
「あっ……」
 棚田はぐいっ、と腰を動かす。奥がじんじんと甘く響いた。
「ん……!」
 上擦った声が漏れる。
 棚田は紗矢の顎を持つと、顔をあげさせ唇を重ねる。舌が絡まりあうと、舌の熱さがそのまま中にも流れる感じがした。
 棚田の手が肩をしっかりと抱く。
 腰の律動に合わせて声が上がってくる。
 体中、至る所に置かれているロウソク全てに火が灯されていくようだった。
「あっあっ……あぁっ!」
 紗矢がたまらず嬌声をあげると、棚田は彼女の頬を撫でて言った。
「イキそうか?」
「い、イキそうっ」
「なら……俺の名前言ってみろ。君をイかせるのが誰か……ちゃんと刻み込めよ」
 言い様とは裏腹に、棚田の声はどこか穏やかな熱さがある。
 紗矢は頷いて、視界いっぱいぼやける中で棚田の目を見た。
 縛られたままの両手で彼の胸元に手を添える。 背中に手のひらの体温が感じられた。
「柊一……っ」
 背に回された手に力がこもる。
「柊一っ……好きだよ、大好き……っ」
 頬に添えられていた手によって促され、くっと顔をあげるとしっとりとした唇が重なる。
 そのまま背中からベッドに倒れ込み、隙間もないほど肌を密着させた。
 全身の脈動すら重なるような一体感があって、お互いの気配で膜を張ったような浮遊感に包まれる。
 こんなに近いのに、吐息すら遠い。
 ぐちゅぐちゅかき回される水音が聞こえ、肌がぶつかる音がするが、膜越しのことのように感じられる。
 意識がぼうっとする中、お互いの体温だけがお互いを支配していた。
「紗矢……あぁ、もう出る……!」
 うわごとのような声が聞こえ、紗矢は棚田の腰に脚を回した。離れないようにぎゅっと力を込め、体の最奥で高まる溶岩のような熱い流れに身を任せる。
 ずっ、ずっ、と溶岩が引きずり出され、彼のそれで中がいっぱいに満たされる。
 どろどろに溶けそうな、不確かな意識の中、一気に弾けそうな快楽に全身が小刻みに震えだす。
「あうぅっ……イくぅ……!」
「出るっ……ぐっ!」
 ぐぐうっ、と最奥で触れあったその時、噴火するようなエネルギーが背骨から頭のてっぺん向かってほとばしった。
 気づくと体がビクビクと跳ね上がり、中で棚田のモノがドクンドクン打ち震えていた。
「……はあっ」
 と大きく息を吸い込んだのはどちらだったのか、唇が重なり、どちらがどちらか分からなくなるほど深く求め合う。
 舌が離れていっても、唾液が二人の口をつなげていた。
 ようやくはっきりと息をし、目を開けると、目元を赤くしてこちらを見つめてくる棚田の目が見えた。
 瞳が宇宙のように黒く、光を包んでいる。
 そっと彼の頬に触れ、もっと近くに、と誘う。棚田の顔が近づいて、前髪が額にぶつかったが気にならない。
 紗矢は、そのまま彼のまぶたに口づけた。

 

次の話へ→「黒豹とかたつむり」最終話 もうひとりじゃない

 

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