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Tale of Empire -蛇王の秘宝編ー 小説

Tale of Empire -蛇王の秘宝編ー 第5話 ウィローへ

 アイリスではなく、そのまま帝都への街道を進んだ。
 商人は運送業者と共に器用に出入りしており、その流れに便乗したのだ。
 ミラは茶髪に髪を染め、衣服も変えている。
 農婦の出で立ちのため、娼婦めいた気配は消えていた。
 カネを持っていないミラはシリウスの手持ちをほぼ使ってしまったが、なぜか余裕の表情だ。
「なんとかなるわよ」
「なんでそう言える?」
「別に食べなくても平気だもん。水さえあれば良い」
「どんな肉体なんだ」
「知ってるでしょ?」
「そういう意味じゃない」
 食べなくても持つというのは、ある意味羨ましい、とシリウスは独りごちた。
 幸い、シリウスは狩りが得意だ。
 とはいえ懐は寂しい……ミラを見ると、彼女はごそごそと背に背負っていた荷物を広げ、あるものを取り出した。
「それは?」
「カードよ。占いが出来る」
「占い……当たるのか」
 オウルやプルメリアの存在がいるシリウスは、そういった類いに抵抗はなかった。からかうつもりはなかったが、ミラの返事は意外なものである。
「知らない」
「は?」
「テキトーに言ってるだけだもん。顔を見て、表情を読めば何となくわかるでしょ。それだけ。これは言うなれば……演出ってやつ?」
「……」
 シリウスはつい険しい顔をした。
「それは詐欺だ」
「違うってば。顔に出るもん、それを見てるだけ。カードは姉妹にもらったの。大切なものを詐欺に使わないわ。それに、別に変なことは言わないし」
 それに、とミラはシリウスの胸を爪でついた。
「そっちだって当たってたでしょ」
「あまり調子に乗るなよ。また襲われたいのか」
「襲う気ある? 今はないって顔してるものね」
「……」
 確かにその通りだ。ミラの「見る目」は多少あるということなのか。
 それに、身売りをしてるわけではないと知り、なんとなく鳩尾が楽になった気分だ。
「はあ……」
 大きくため息が出た。
 ミラと話していると調子が崩れっぱなしだ。
「あたし、竜人族って初めて見る」
「そうか? 長生きの割に」
「そうよ。ほとんどウィローにいたから」
「ウィローは謎の国だ。皆長命だと聞いたが……」
「そうね。時間がゆっくり流れてるのかも」
「へえ。君は早口だが」
「さっきから嫌味?」
「……いいや」
 シリウスは眉間の皺を伸ばすように親指でぐいぐい肌を伸ばした。
「とにかく帝都か。そこからウィローへ?」
「それが一番安全でしょ? コネクションの奴ら、帝都への警戒を強めて入らないようにしてるから」
「帝国特殊捜査機関だ」
「何それ?」
「帝国の元伯爵……が長官をやっている。コネクションを追っているんだ」
「へえ。知らなかった」
「コネクションにいたんだろ?」
「いたいた。あ、あれかな? お父様が言ってた人かな? 確か……オニキスとかいう」
「それだ」
 特殊捜査機関の長官だ。
 アイリスの内乱中にも関わらず、堂々と王国に入りロータスを助けた。
 ジャスパーは知り合いだったそうだ。
「君と同じ黒髪の」
「バーチ女王の愛人でしょ」
「そうなのか?」
 それは初耳だ。シリウスは全く知らないことである。
「何でも帝都で出会って、恋に落ちたとかなんとか。スピネルの奴にはうっとうしい奴だったみたいね」
 ミラの言い様に、シリウスはつい眉を顰める。
 確か、スピネルという名はコネクションの親玉ではなかったか。
「スピネルをそんな風に言うのか?」
「竜を名乗ったクソ野郎よ」
「クソ野郎……竜なんだろ?」
「あれが? 見た目には注意しないとね、お兄さん」
 シリウスはいよいよ眉間の皺が深くなるのを自覚した。
 理解出来ないことばかりだ。
「どういうことなんだ?」
「知りたいならそのうちわかるわよ。まあ、今はもう良いでしょ」
 商人の列が伸び始めていた。
 街道の終着点がそろそろ見える。
 帝都へ続く、一つ目の関だった。

***

 関所勤めの役人は3人のようだ。
 アイリスは強盗が増えているため、そこからの流民は厳しく審査されている。
 中には袖の下を用意している者もおり、目の良いシリウスはそれがまかり通るのを知ってしまった。
「最低だな……どこも似たようなもんか」
 次の者、と呼ばれ、シリウス達の前の商人が呼ばれた。
 衣服を確認され、身分証、通行証も順々に開かれる。彼にやましい所はなかったようだ。
 そのまま通されていく……を見送り、呼ばれると、ミラがひょい、と前に出た。
「お外で服を脱がされるのは恥ずかしいから、別室で」
 と、慎ましやかな声で囁くように言うと、役人は一瞬鼻の下を伸ばしたが咳払いし、彼女を連れて行く――シリウスは首を横にふって、その役人の袖を掴んだ。
「なあ。見てたぞ」
「な、何をだ?」
「さっき商人風情からカネを受け取ってただろ? ”妹”は離してやってくれよ。そうすればあんたの仲間には黙っておいてやるから……」
 通してくれ、と声を落として言う。
 役人は一瞬息をするのを忘れたように固まったが、シリウスの通行証を見ると考えた風を装い、「通って良し」と告げ、急かすようにシリウスとミラの背を押す。
 背中に「次の者!」とわざとらしい早口が聞こえた。
 ミラはシリウスを見ると、「どうやったの?」と聞いてくる。
「見えただけだ」
「肉眼で?」
「ああ。君はあれか、顔で欲を見たのか」
「そんなとこ。案外あっさり帝国領に入れたね。さあ、ウィローへの船に乗らなくちゃ……でも」
「でも?」
「お金ないんだった。どうやって忍び込もうかな」
 ミラはすぐに思考が犯罪者よりになる。
 シリウスは彼女の肩に手を置くと、呆れて息を吐き出した。
「問題ない。それこそ、特殊捜査機関に頼む」
「知り合いだったの?」
「俺を誰だと思ってる? これでも竜人族の元リーダーだ」
「へ~え。そしてベリー家のお婿さん……元」
「そういうことだ。もうリーダーではないし、貴族様の婿でもない」
「でもツテはあるってことね。まあいいわ。利用出来るものは何でも利用しないとね」
「言い方が嫌味だな」
「かもしれない」
 ぷい、とミラは顔を背けた。シリウスの手を払うと歩き出す。

 関から帝都へはさらに3週間の旅路だった。
 時々運搬作業を手伝う代わりに、と馬車に乗せてもらい、野宿に耐えてのことである。
 竜人族にも関わらず、帝都ではそれほど見とがめられることがない。
 多種多様な人々が入り交じっているため、目立つことすらないようだ。
 アイリスとは違う、かなり拓けた雰囲気。
 人々の顔にも余裕というのか、どことなくゆったりと豊かなものが含まれていた。
 ――カネの問題ではない部分での。
 后が皆各王国の女性だったこと、多種多少な部族から生じた貴族の娘たちであったりすることが影響しているのだろうか。あまり民族間での差別意識がないようだ。
 それでも貴族政治の雰囲気は消えていないようだが、貴族でない女性が大臣を勤めているという、前代未聞の人事があったということだ。なんとなく民間の活気が感じられた。
 竜人族は元々実力主義的なところがあり、そのために判断を間違えることもあったが、どんなものにも良い面と悪い面はあるのだろう。
 シリウスは肌に、帝都独特の「ごちゃまぜ」というものをじりじり感じ取っていた。
 しかしミラも大したものである。
 あの長旅でそれほど疲れを見せていない。と思い見ていたら、ミラは腕を振りながら言った。
「あ~やだなあ。特殊捜査機関とか言うのに会ったら、根掘り葉掘り聞かれるんじゃないの? ねえ、隠れてるから、あたしのこと黙っててよ」
「むしろ話した方がいいだろ。匿ってもらえるかもしれないぞ」
「え~? でも面倒じゃない。貴族ってめんどくさそう。第一、そのお貴族様達が良い客だったんだから」
「その名簿はあるのか?」
「ないない。お父様なら持ってるかもしれないけど」
「君の”お父様”は一体何なんだ。それこそ隠さないと危険なんじゃないのか? とにかく、隠れるのはナシだ」
「だってぇ~。ねえ、ならせめて黙っててよ。お願い!」
 ミラは胸の前で手を組み、乙女のようにシリウスにねだってみせた。
 シリウスは丸いその額をついて遠ざける。
「俺だって急いでるんだ。早く仲間のもとに何らかは持ち帰りたい。黙っててやるが、逃げるなよ」
「逃げないわよ」
「本当か? ここに来るまでもずいぶん姑息な手段を使おうとしたじゃないか。ああいうのは却って厄介事に繋がるんだぞ」
「わかったわよ」
 ミラは頬を膨らませた。全くこれで年上とは信じられない。
 言い合いながら大神殿へ向かった。
 確かここの神官に話を通せば、捜査機関の者と連絡が取れる……と聞いている。
 ずいぶん受付を狭めているようだ。
「ベリル・ベリーの元婿だった者だ」
 そう言うと、神官は眼鏡の奥で眉を持ちあげ、シリウスを見ると頷いた。
 それから一時間ほど経った頃、現れたのは見知った顔だ。
 ジャスミンである。
「久しぶりね。無事で何よりだわ」
「いつぞやは世話になったな。早速で悪いが、頼みたいことがある」
「なあに?」
「ウィローへ行くんだが、その船に乗りたい。二人分だ」
「ウィローへ? 今あそこは大変よ」
「大変?」
 ミラが口を挟んだ。
「何があったの?」
「若い女の子達が次々いなくなるんですって。もしかしたらコネクションによる人さらいかもって、オニキス達が調査に行ってるわ」
「ありえないわ」
 ミラはやけにはっきりと言う。その様子にジャスミンが目を見開いた。
「ずいぶん若い子ね。誰なの?」
「アイリスで路頭に迷っていたんだ。故郷はウィローだと聞いて、案内を頼む代わりに護衛を」
「そうなの。まあ、船に乗るチケットは渡せるわよ。あなたのことだからアイリスと竜人族のためなんでしょ。まさか土地を離れるなんて思わなかったくらいよ」
「ウィローに土地を癒すヒントがあるはずだ、と……二人の予言者が言うもんだから」
「まあ、自分たちだけで何でも解決出来るものじゃない。外部に学びに行くのは良いことよね。オニキスもよくそれを言うわよ」
「……そういうものか?」
「そういうものよ。一人で子供は作れないのと一緒。他人がいた方が良いことは多いわ」
「ねえ、ウィローで若い娘がさらわれてるのは本当なの?」
 ミラはそわそわとしながら身を乗り出す。
 さすがに故郷のこととなると心配なのだろう、ジャスミンを逃すまい、と目を一切離さない。
「本当よ。あそこは平和だし、豊かな王国だけど、人口が減り続けてる。皇帝陛下もそれを気にされてたから、戸籍は細かくチェックしてるの。そしたら若い娘達が夜な夜な姿を消すっていう報告があったので調査に行ったわ。あなた、ウィローへ行くのは調査が終わってからにしたらいいんじゃない?」
「それはいや。今帰る。他には何か聞いてない? ウィローで起きてること全部教えて。バカみたいな噂話でも良いから!」
 ミラはいよいよジャスミンに迫った。
 ジャスミンは肩をすくめ、シリウスに目線を送る。シリウスが頷くと、ジャスミンはミラの肩に手を置いて「船に乗るまで時間があるわ」と言い、自分の家に案内してくれた。

***

 曰く謎の怪物が現れ、水源を一つ塞いでいるらしい。
 場所はひなびた農村。
 しかしそこはかつて雨乞いの儀式が行われていた秘密の聖域である。
 山はそれほど標高も高くなく、成人なら山頂は一日で行けるだろう。
 しかし聖域なので山頂へ登ることは誰にも許されていない……そんな聖なる山だという。
「水晶の産地らしいわ。これを盗もうとした者が翌日には謎の病で死んでしまった……とか」
「誰も登ったことがない山で、なぜそんな噂話が出るんだ」
「そうよね、変でしょ? ラピス副長官もそれを指摘していたわね」
「怪物……」
 ミラは呟く。
「いつ現れたとか……」
「昼間だそうね」
「目撃だけはされているのか」
「みたいよ。あとの詳しいことは知らないわ。ああ、そうそう。水量が減ってるとかも報告されてたらしいの」
「やっぱり……」
 ミラは額を抑え、床に視線を落とす。
 彼女には珍しくかなり落ち込んだ様子だ。
「何か思い当たることがあるの?」
 ジャスミンは声を和らげた。
 なんとなく似た雰囲気のある二人だ。ジャスミンからすれば、まさか年上には見えない少女が、故郷の問題を聞かされ落ち込んでいるように見えるのだろう。かなり気づかわしげに声を和らげている。
 ミラは首を横にふり、息を整えるとジャスミンとむき直した。
「……人捜しをしてるの。年は20歳前後の男の子。黒髪よ。成人の儀式は経てない……知らない?」
「残念だけど、そういう見た目の青年は多いわ。名前は?」
「……知らないの。彼がいれば、ウィローは救われるはずなの」
「……不思議なことを言うわね。あなた何者なの?」
「あたしは……王様の愛人」
 シリウスとジャスミンは同時に「えっ!?」と言い、慌てて口を覆った。

 その夜、窓辺に立つミラをシリウスは見かけた。
 いつも上の方で結ばれている髪が下ろされていると、はっとするほど大人びて見える――実際かなり年上なのだが。
「何か用?」
 ミラは振り返らずに声をかけてくる。
 彼女には妙にカンの鋭い所があった。占い、というのも案外、本当に詐欺ではないのかもしれない。
「君がいう”王”はウィロー国王ではない……だろう」
「どうかな」
 シリウスはふーっと息を吐き、彼女の隣に立った。
 月に照らされたミラの頬は青白く見える。
「何が気にかかるんだ?」
「蛇王様のことよ。他にある?」
「ならその蛇王の、何が気にかかるんだ」
「死が近づいてるって」
 やけに静かな声でそう呟くミラは、顔をのっそりと持ちあげるとシリウスを見た。
「ねえ、なんであなたの目って時々紫色になるの?」
「……生まれつきだ。普段は青いが、感情的になると赤くなる……らしい」
「その中間の時に紫ってわけね」
 ミラは納得したのか、シリウスの目をのぞくようにすると頷いた。
「いつから王の愛人を?」
「15歳の時。お父様に連れられて会って、ここで役に立つよう言われたの」
「役に立つよう……で愛人か?」
「その代わりに長寿を授けられたわ」
「命の秘宝とやらを持っている蛇王……それで君は若く、マグノリアもあんな変化の術を身につけたというわけか。しかし、若い娘がさらわれ、怪物が現れ……か。平和だと聞いていたが、気楽ではないらしい」
「当然でしょう。国を守るために方々に力を尽くしているから平和なのよ。タダで平和が保てると思う? 気を抜けば帝国の貴族どもが取って食う気満々なのに」
 ミラはついに目を離し、ぷいと横を向く。
「そりゃそうだろうな。ウィローは……聞く限りでは肥沃な土地だと聞いてる。貴族としちゃあ、農作物やら畜産業やら……収入を得られる好条件だ」
「肥沃なのは皆が尽くしてるからよ。それだってタダじゃないわ。羨ましいとか簡単に言うけど、実際は地道な努力あってこそよ」
 シリウスはミラの横顔を見た。
 誇りを覗かせる瞳は、夜の星に負けないくらいの輝きがある。
「……君が怒った理由がわかったよ」
「え?」
「ダリアで言っただろう。戦争をしたのはこっちだ、と。短絡的な方法に頼ったとは……思っているが」
「謝る気はないけど、言い過ぎたとは思ってるわ」
「謝らなくていい。当たり前だ、俺たちだってダイヤモンドや石材を軽く扱われれば腹を立てる……誇りがあるから。だからこそ汚すべきじゃなかった」
 それでも仕方がない。
 それも変わらない意見だが、少なくとも今後は違う道も見つけておきたい。
 シリウスは頂点に近い星を見つめた。
 それは青白く輝いている。
 ふと疑問が口をついて出た。
「なぜコネクションが娘をさらったのではない、と?」
 ミラは大きな目を見開いてシリウスを振り返った。
「……さあ」
「コネクションにいたんだから、理由を知ってるはずだろ」
「……さらったんじゃなくて、かくまってるのよ」
「かくまってる? 誰が、何のために?」
「……今は言いたくない」
「嘘がつけないな。それでどうやってコネクションで生き残ったんだ」
「うるさい」
 ミラはシリウスの額に軽くチョップすると、不思議に余裕のある笑みを浮かべて見せる。
「生意気よ」
 そう言い残すと彼女は用意された部屋へ戻った。

 翌朝、ジャスミンの手配で貨物船に乗り込み、ウィローへ向かう。
 帝国の巨大運河は波穏やかで、夕方には海に出る。
 海を東へ進めばウィロー王国だ。
 帝国とウィロー王国は海の底で地続きであり、潮が引いているとき海の色は若干違って見える。わずかに色の浅い部分を頼りに向かえば良いのだ。
 久々の潮風に、久々の古里。
 船内は労働者がよく働いており、シリウスはそれに混じって荷物の運搬を手伝っていた。
 これまでは”裏道”を使い何とか旅をしていたが、彼のお陰でかなり楽に、安全に移動出来た。
 持つべきものは公権力を持つ者……と茶化した言い方をしていたのは養父である。
 それに、シリウスの姿を見ると、何やら胸のあたりがむずむずと疼き、口の中が唾液で濡れる。
 何となく面白い気分だ。
 それと、船の中には大男がいた。
 ミラは彼を知っていた。元奴隷として売られた、サンという男である。
 帝国特殊捜査機関のメンバーになったらしい。
 そういえば、リアルガーが気に入っていたというあの少年もいるのだろうか。
 確かオニキスに保護されたと聞いている。
「おい、びっくりしたなあ!」
「どこから入り込んできた?」
 一瞬騒然とし、ミラが振り返ると荷物の山からカラスが一羽、飛び出してきたのである。
 目元に傷のある、体の大きなカラスだ。
 カラスはぴょんと手すりに飛び乗った。
「無事だったか、シャウラ。蛇王の元から旅立ったと聞いたぞ」
「……何やってるの?」
 ミラは声を落として声をかける。
「お前の手伝いを」
「うっそ。急になんなのよ」
「蛇王は焦っているぞ」
「……もうじきなの?」
「いや、わからん。ところでお前、特殊捜査機関の者と一緒にいるのか」
「仕方ないじゃない」
「責めてはいない。上手く導いてやれ」
「……まあいいけどさ。それで、手伝いって何を手伝ってくれるの?」
「これを」
 カラスが小袋を手渡した。ミラはそれを受け取ると中身を取り出す。
「何これ?」
 手のひらに出てきたのは何かのかけらだ。
 金属と木製で、彫刻があるので人の手により造られたものだとはわかる。
「鞘だ」
「さや? それが何?」
「それが手がかりになる」
 というと、カラスは飛んで船内へと向かっていく……「ちょっとお父様!」と声をかけたが、振り返らない。
 ミラは呆れたように頭をかき、改めて「鞘」のかけらを見た。
「……これが手がかり?」
 赤い彫刻の部分には、何かの動物の目が彫られていた。

 

次の話へ→Tale of Empire -蛇王の秘宝編ー 第6話 鏡がうつす真実

 

 

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