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心理 音声読み上げあり

ギリシャ神話「エロスとプシュケ」勝手に考察。

2024-03-21

物語はこちらから→ギリシャ神話「エロスとプシュケ」に学ぶ女性の成長の旅路

では、こちらの記事はプシュケの物語が女性の成長を描いていると思う、独自の考察です。
あくまでも独自の意見です。(一部有名な説も取り上げています)
良かったらあなた自身もこの物語の意味は何だろう?と考えてみて下さい、面白い発見があるかもしれません!

 

文章読み上げです。

©VOICEVOX:四国めたん

 

 

エロスの友人として登場する虫や動植物ですが、エロス自らが変身した姿とも言われています。
塔は生命体ではありませんが、一つの解釈として「エロスの男根」を表している説もあります。
プシュケは愛する男性により古い自分を捨て、男性により新たな自分を誕生させるといったところでしょう。
処女を卒業、という印象もありますが、どちらかというと「男性の愛により目覚め、その愛を失うことで自分を知った」という感じかな。
これは多くの女性が感覚的にも理解できる部分ではないでしょうか。
それと、試練を仕事と捉えるならば「仕事」においては女性は自らの男性性を目覚めさせたほうが良い、という印象もあります。

 

まず第一にエロスの視点から物語は始まります。
女性に必要なエッセンスがつまっているのに、なぜ男性であるエロスからなのか?
人には男性性と女性性両方があります。が、これは年齢や人生経験を通じて育つもの。
また、育てようと思わないと育たないものでもあります。
若いうちには単純なプリンセス願望が、おそらくほとんどの女性にあると思います。
しかし小学生ごろから、男勝りになったり、性の別で分けられることに違和感を覚え始めたり。
女だ、男だ、というくくりに恥ずかしさを感じてしまったり。
大人になるにつれ、性の別をしっかり認識し、尊重出来るようになっても、今度は男女両性を自分の中に見つけることの大変さをまた味わいます。
エロスとプシュケはどちらもその一助になるでしょう。

 

なぜ自分の中に男女両性を育む必要があるのか?
人は自分が完璧でないことを知っています。
だから違う存在を求めるのです。
男性がなぜヒーローになる時、囚われたお姫様を助けるのか。
それは自分の中にもっと女性的な側面を身につけなければ、という思いから。
女性がなぜ王子様を待っているのか。
それも自分を助けるために男性性を身につけようとしているから。
お姫様と王子さまは、それぞれ「身につけるべき自分の側面」を表している。
そして自分の中に欠けているものを育むことで、バランスの取れた「人間」になりたいからです。
陰陽のマークが片方が小さいと、きれいな〇にならないように。

 

いびつさを埋めようとしているのです。
そして自分の中の両性を認め、育てられたら、それに相応しい人と良い関係も結べます。
適度な距離感と自立性、共感性を備えているからです。
依存ではなく労わり合う関係が出来る、という、おそらく本能的な考えなのです。
それが正しいのかそうでないかは、この物語でも教えているよう「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」のですが。

 

 

人物考察・エロス
エロス神は性欲の神、という印象がありますが、本当は「愛そのもの」の神だとされています。
性欲よりは性愛、性愛よりは家族・友人・恋人などに向ける「愛」全てを指すらしい。
分かりやすくはエロス神は恋のキューピッドです。
普通弓矢を構えた幼児の姿を思い浮かべますが、古代にさかのぼるほど青年として描かれていました。
さらに古くは宇宙の根源的な神であり、アフロディーテよりも古い神、概念的な存在と考えられていたようです。
この話では青年の姿、アフロディーテの息子として登場します。
元々のギリシャ神話ではないらしい、ローマの文人が書いたとされる「エロスとプシュケ」
しかし恋のキューピッドを演じることが多い彼が、悲惨な話の多い神話の中でなかなかの純愛っぷりを見せるなど、珍しい作品となっています。

 

 

人物考察・プシュケ
王女なのである程度仕方ありませんが、両親に言われるまま花嫁姿で山に置いていかれることを受け入れてしまう、どことなく流されやすい印象の女性。
しかし根は純粋で、一度信じたら頑固。
けっこう女の子らしい女の子という感じがします。
エロスから愛され、女性として開花しますが、その愛を失うと今度は自分から愛を勝ち得るため行動します。
プシュケは自分の中にあった理想の男性像を追い求め、自分の中の男性性を目覚めさせることを促されることで試練をクリア。
なかなか変わった名前ですが、英語で書くと「Psyche」つまりサイコ、精神の意味です。
霊魂という意味もあり、その霊魂・精神であるプシュケを求めた「愛(エロス)」、二人の間の子は喜びという女の子、というのが何とも意味が深い……気が。
精神……愛が心を求める、というのもなんか……なんか奥深いよね?
そして心が愛を求めるのか。
どちらも目で見えない、という共通点もあるしなぁ。いや、ある程度は見えるんだよね。目とかね。目や声や触れ方には現れますね。

 

エロスとプシュケはそれぞれに互いの男女性を引き出し、導き、育て、そして自分の中の男女性のバランスが取れた時に結ばれるという、かなり理想的な成長を遂げます。
あるいは、エロスとプシュケは一人の人間の両側面を違うキャラクターで表した、とも考えられます。
二人は元々同一人物なのではないか、ということです。
まあそこはどっちでもいいのですが、つまりプシュケは愛と試練を通じてエロスと対等な存在となり、真のパートナーシップを築いていけるようになったということです。
男性に依存し、庇護者の役割を求めると関係は崩れます。
彼におんぶに抱っこでは何も生まれません。
女性には女性にしか出来ないことが多くあります。
たとえば専業主婦であっても、自己のもつ尊厳を守るための行動をすれば立派な対等関係を築けます。
序盤の新婚生活のように、夢の中では食べていけないし、真実を見ないままの歪んだ愛情に溺れることになります。

 

人物考察・アフロディーテ
美と愛の女神で、ギリシャ神話ではSexシンボル的な女神。ローマではヴィーナス。
ちょっとビッチな印象もありますが、どうなんでしょうか?
序盤から嫉妬のために悲劇を起こそうとするなど、ギリシャ神話あるあるを発揮します。神とは一体……しかしギリシャ神話は「驕り」を許さないのが多いな。
彼女自身はやはり女性たちを目覚めさせ、導き、美と愛とセクシャルな感性を授け、それにより男性たちのことも目覚めさせるという役目も司っています。
今作では意地悪な姑、という立ち位置で描かれますが、彼女がプシュケに課した試練はどれも「女性を成長させる」ためのもの。
結局はプシュケを一人前に育てたとも言えます。

 

物語考察・エロスはプシュケに恋をしますが、その時になぜか恐ろしい姿で両親のもとに現れ、プシュケにも正体を明かさないまま接します。
「自分は神だ」
と言えば、そして美しい青年なのですから、誰も反対しません。
現代で言えば成功していて、かつ人間性も良い美青年といったところでしょうか。
反対どころか、誇らしいはずでしょう。
しかし彼はそうではなく、心で勝負した。彼女に恋に落ちる矢も使わなかった。
彼女に心から愛していると伝え、接し、彼女にも心で愛されたいと望んだ。
心を重視する様はなんだか「乙女」のようです。
おそらくエロスはこの物語の中で「母親よりも美しい理想の女性」を通じ、自らの中にある女性性を目覚めさせたのではないか、と考えられます。
というのも、始めはプシュケをある意味支配している。
食べるものも宮殿も給仕も与え、何不自由ない世界で愛を注ぐだけで良い。
だけど彼女には自分の正体を知ろうとするな、とも言い含めている。
男性的な愛情で持って、愛しているはずの彼女を実質「支配」している。
女性性とは共感、優しさ、受容、と色々あります。共感があるなら、支配された自由のない苦しみを理解できます。
そのため、プシュケの試練に向かう姿を見ることで、彼女そのものを知り、ようやく本当の意味での愛を見つけたのではないでしょうか。

 

心を求めたエロス。
プシュケもそれを実感し、二人は幸せに暮らすけど、それはあくまでも「偽りの姿」でもある。
姉たちは悪役の立ち位置ですが、これがないと真実への道は見つかりません。
「愛と疑いは一緒にはいられない」
名言ではありますが、正直、彼女に真実の姿を見せなかったエロスもまた彼女に疑いを持っていたのでは。
いわゆる億万長者に群がる女って、クズじゃね?みたいなネタは多いですよね……。
肩書や顔じゃなくて、本当の僕を見て欲しい!のかな……?

 

都合の良い夢の中にいたプシュケ。
プシュケもまた受け身でいた時、エロスの優しさや愛情に甘い夢心地。
そこに現実を考える余地がありません。
姉たちにそそのかされ、結果現実を見ようと行動する。
男性の良い面ばかりを見て、真実を知ろうとしない弱さがあった。
しかし疑いと不安に駆られ、ようやく真実を発見する。
そこで恋に落ちるもエロスは去ってしまう……夢は終わり、現実が始まるというかなり大きな転換点です。
そこからアフロディーテによる試練――修行が始まる。

試練はいずれも受け身で流されやすい女性を自立させるために必要な精神性を高めるためのものでもあります。

穀物の山からそれぞれを分けるのは「選択能力を身につけること」

獰猛な羊から毛を取ることは「自然の力を知り、その知恵を身につけること」

命の泉で水を汲むことは「秩序と限度を守ること」

冥界へ降りた時の試練は、死者への「同情を抑える自制心を持つこと」
女性は共感能力が高く、誰かを可哀そうと思ったら、是非を考えず感情に訴えることがあります。
それをしていたら大切なことを見失うことがあり、良い事に繋がらないこともあるのです。
責任の問題も出てきますが、結局自分の責任を負えるのは自分だけ。
誰かに一時的に責任を預けても、それは借金のように膨れ上がるでしょう。
だから他人の痛みを背負うのも、一時的には良くても背負い続けるとその他人にとっても良い事がありません。

 

そして最後の試練は「あるがままの自分を愛せるか?」
あるがままの自分を愛する人にさらけ出せるか?
着飾ることなく、偽ることなく、自分をさらけ出せますか?
ということ。
おそらくこれが一番難しい。
始めはエロス自身もこれをしていましたし。

 

だけどエロス自身はとっくに彼女自身を愛している。
プシュケが試練に挑む姿を見て、彼の中にあった疑いが晴れたのかもしれません。
(通常神話では神の精神面を語ることはないようで、ここばかりは独自の考察になってしまいます。あなたはどう思いましたか?)
男性の愛情は、愛が本物になったら表面ではなく、中身も人生も全て含めて彼女を愛することが出来るもの。
プシュケはとっくに愛されていたけど、自信を最後の最後に失い、結果呪われてしまった。
だけど呪われたおかげで、彼女は自分を偽ることなくエロスと再会できました。
何が幸いするかわからないですね。
姉たちの嫉妬から起きた事件も、アフロディーテの試練も、ペルセフォネの呪いも、全てが本当のハッピーエンドに繋がった。
そういった、悪に見えるけど、そうでもない。
善に見えるけど、そうでもない。
といった教訓すら含んだ物語。

 

当時汚れっちまった私の精神に清涼剤のように効いた物語です。

 

また年齢・社会的立場・人間関係などによってかなり印象が変わると思います。
もしかしたらアフロディーテに感情移入する、ということもありえますね。

 

パートナーシップという観点での考察。
プシュケの試練でもそうですが、エロスは彼女を常にサポートしています。
男性的な冷静さ、感情を挟まず、主に言われたことを遂行すること。
それも確かに大切ですが、同時に女性的な気遣いも必要になってきます。
エロスはアフロディーテに言われるままプシュケにみじめな人生を送らせようとしましたが、それは失敗します。
そもそも、上の存在に言われたからと言って誰かの一生を左右して良いのでしょうか?
彼女の美しさがそれを回避しました。その美しさは外見的なものだけではないでしょう。
新婚生活においても、エロスは彼女を支配する愛情で接していました。

 

が、それを良しとしなかったのはプシュケの姉たち。
姉たちは悪役ではありますが、すでに結婚して現実の「夫婦」というものを知っています。
女性にも自由と自主性、自立した精神が必要だと説いているようでもあります。
一方、分不相応なものを求めれば自滅する、という厳しさも説いています。
お金持ちと結婚したら幸せ?お金持ちはお金持ちの世界があります。彼らの周囲もお金持ち。マナーがないと、恥をかきます。
社会の厳しい目にさらされ、社長ならば従業員を養うプレッシャーの中、成長と決断をしなければいけません。
常に学ばなければならない生活。
それが楽しいなら問題ないですが、当然妻側にも相応の覚悟が求められます。
楽しいだけの暮らしではないでしょう。

 

エロスを失ったプシュケは、実家に帰るのではなく彼を追いかけました。
受け身だった王女さまから、一人の女性としての自主性が生じたのです。
試練のためには命すらなげうつ覚悟を決めました。
「私、死んでもいいわ」
愛されたことを知った女性が返したという究極の返事。
成長したプシュケはエロスの前でただ受け身でいる、言うことを聞くだけの下僕ではありませんでした。
圧倒的に魅力的な男性の前では、女性は従順になってしまうもの。
しかしプシュケはそうならなくなりました。
結果生まれた娘は「喜び」です。
夫婦の距離感は隣り合って歩いて行ける距離感。
前でも後ろでもありません。
手をつなげる距離感です。

 

男性性・女性性と書くとちょっと違和感があったり、嫌な気分になるかもしれません。
その場合、陰陽、S極N極、凸と凹、刀と鞘、電力と磁力……などと言い換えてみた方がしっくりくるかもしれませんね。
全てが凸だったら?
全てがN極だったら?
全てが刀だったら……?
何も生まれないし、危険です。
そういったことからも、「違うもの」「両極にあるもの」「表裏」があるからこそ物事は丸く収まるのだ、と言えるのです。
違う存在をリスペクトすること、自分の中にある違う側面も愛してあげること。
非常に大切です。

(参考:モーリーン・マードック著 シカ・マッケンジー訳 「ヒロインの旅」女性性から読み解く〈本当の自分〉と創造的な生き方 フィルムアート社 p87~89)

それでは、ありがとうございました!
以上が役に立ったら幸いです。

普通に物語としても美しいし、面白いんですよね。人形劇みたいなのでないかなぁ。自分で作れたら良いのかもしれないけど、……大変っすね。

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  • この記事を書いた人

深月カメリア

ライター:深月カメリア 女性特有の病気をきっかけに、性を大切にすることに目覚めたXジェンダー。以来、性に関して大切な精神的、肉体的なアプローチを食事、運動、メンタルケアを通じて発信しています。 Writer:Camellia Mizuki I am an X-gender woman who was awakened to the importance of sexuality by a woman's specific illness. Since then, I've been sharing an essential mind-body approach to sexuality through diet, exercise, and mental health care.”

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