Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 小説

Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 第37話 銀の竜の婚礼 *官能シーンあり

 3日が過ぎた。
 静かの森はいつになく人が多い。だが相変わらず静かなままだった。
 ダイヤモンド山の噴火に、王都で起きたクーデターとその首謀者の判明に皆混乱しているためである。
 王国軍はアゲートの元に集まり、指示を待っていたがまだどうするべきか、具体的な方向は決まっていない。
 とにかく竜人族と王国軍、シリウス達の体力の回復を待ってからの会議となった。
 その昼、鏡、金属片を広場に集める。
 太陽が中天となり、まぶしいほどの輝きで皆目を瞑った。
 一人を除いて。
「魔女はアイリスの”真ん中”に行く……」
 プルメリアだ。
 いつしかロータスを導いた時のように、巫女のような話し方で。
「真ん中?」
 シリウスが聞けば、プルメリアは緑色の目を薄く開き、こくりと頷く。
「ダイヤモンド山を通って、アイリスの大地の深くに潜っていったの……鏡がそれを映してる」
 プルメリアにはそれが見えているようだ。
「魔女はずっとそれを探してた。あたしはそのために連れて行かれて、湖を見つけたの」
「ダイヤモンド山にあったものは、造られたものじゃなくて本物だったんだな」
「うん」
 ふっとプルメリアの気配が彼女のものに戻る。
 緑色の目がはっきりと開かれた。
「あれはもう破壊された。もう魔女を追うことは出来ないのか?」
 シリウスは顎に手をやり考え込んだが、プルメリアはううん、と言った。
「もう一つだけあるの。魔女はそこを通れなかった。だからダイヤモンド山に」
「もう一つ?」
 オニキスが黒々とした目に厳しい光を宿した。
「そう。王宮の、奥深く……サファイアのために造られたもう一つの扉。王子様、判子は?」
「復元はもう少しだ。それがどうかしたのか?」
「あれが鍵になってるの」
 ロータスは目を見開く。
「そうだったのか……なら、急いで復元する」
 プルメリアが話し終えると、皆顔をあげ安堵の息をついた。
 まだ出来ることがあるのだ。行くべき所が分かり、やるべきことも分かった。
「プル、よく頑張った」
 シリウスが抱き上げ、頭を撫でる。プルメリアは口をとがらせたが、素直に話す。
「うん。銀の竜が助けに来てくれるって、おばあちゃんが言ってたから」
「そうか……」
 皆には理解出来なかったが、シリウスは納得したように笑い、ロータスを見た。
 その視線の意味をロータスは知らない。
 ベリルが大きく目を見開き、ロータスを一瞥するとシリウスのもとへ行くのが見えた。

 日差しは明るく、残暑の熱を伝えてくる。
 クレマチスはシトリンと薬草を調合していた。
 ロータスが訪れるとシトリンはそっと席を外した。
「どうかした?」
「判子のことなんだけど」
「あれならもうすぐよ。膠が乾いたら使えるようになります」
「そうなのか……良かった。復元が終わったら王宮へ行く」
「……そう。危険だから行かないで、なんて言っちゃいけないのよね」
「ああ」
 クレマチスの視線が落ち、まつげで虹が見えなくなった。
 顎に手を添え、視線があがると光が当たり、色は軽やかになる。
「……あなたの目は不思議だな」
「そう? 今言うの?」
「今言っておかないと、後悔すると思って」
「……いつどうなるか、わからないものね」
 クレマチスはそう言うとロータスの首に腕をまわし、体を密着させるように抱きつく。
 ふわっと香りが立った。薬草のせいではなく、彼女の甘い匂いだ。
 細い腰に手をまわし、抱きよせると体温が深く伝わってくる。
「私の目は好き?」
「……ああ。何より美しい。もっと見つめていたい」
「私もよ。あなたの目がとても好き」
 言葉と声を胸に刻みつける。そうしていると、外から話し声が聞こえてきた。
 シリウスとベリルである。
 そしてオウルの。
「王子様ー、旦那達が用だって」
 シトリンが戸の向こうから声をかけ、「分かった」と返事するとクレマチスから離れる。
 日光を背にしたシリウス達がいた。クレマチスは離れようとしたが、「二人に話だ」と言われ留まる。
 次にシリウスが言ったことは意外すぎるものだった。
「君らの結婚式を挙げたい」

 静かの森に、久しぶりに活気が溢れていた。
 シリウス達の発案でロータスとクレマチスの結婚式が行われることになったからだ。
 ロータスには寝耳に水である。
 なぜ急に?
 それに、クレマチスは形だけとはいえ未亡人だ。アジュガの死からそれほど経っていないのに、とシリウスに言えば、彼は意外なほどあきれ顔を浮かべた。
「悠長にしてる場合なのか? 明日さえわからない、そんな中で二人一緒にいるんだぞ。機会を逃すな」
 と、胸を拳で叩かれロータスは更に疑問を深める。
「シリウス、どういうことなんだ。彼女は、その、未亡人なんだぞ。兄上の……」
「ウィンド家は育ての家なんだろう。彼女はベリー家の末裔だ。クレマチス・ベリーと結ばれるならなんの問題もない」
「いや、そう……そうなのだろうか。でも、シリウス」
「嫌なのか?」
「嫌なわけないが……いきなりすぎる」
 心の準備が出来ていない、が想像すると額に汗が浮かんできた。
 体は熱に浮かされたようになり、しかも心地良い。
「こ、こんな緊急事態に」
「よくある話だろ、若い兵士に戦させる前に結婚の許可を出すのは」
「そうだが……」
 アイリスでもよくある話だ。若い兵士は参戦する前、恋人と形だけでも夫婦となることが多い。
「その……上手く言えないのだが」
「良いか、嫌か、どっちかで決めろ」
「良いに決まっている!」
「なら充分だろ」
 ロータスのむきになった返事にシリウスは頷き、行ってしまった。
 クレマチスはあれよあれよという間にベリルとオウル、ルビーに連れられ、ずっと屋敷に籠もりきりだ。
「……」
 一人立ち尽くすロータスの手を、小さな手がひいた。
 プルメリアである。
「王子様」
「プルメリア、一体、急に、何だと言うんだ?」
「そういうことだから」
「え?」
 プルメリアも行ってしまう。準備があるから、と皆ロータスに説明しない。
 アゲートですら苦笑いを浮かべるばかりだ。

 陽が沈み始めると、結婚式が始まった。
 ロータスは竜人族の伝統的な衣装に、レイン王家の紋章が入ったスカーフを首に巻いている。
 広場には大きな絨毯が幾重も敷かれ、そこに置かれた椅子に座らされる。
 料理も酒も出てきた。
 いずれも豪勢ではないが、手の込んだものである。
 夜になり、松明に火がつき、人々はどこか開放的になってそれぞれ楽しみ始めた。
 歌が歌われ、楽器が鳴らされる。ダンスは王国軍も巻き込んで始まっていた。
 ようやく花嫁が登場する。
 ベリルに手を牽かれ、薄い白のベールを頭からかぶったクレマチスが現れた。
 刺繍の金の糸が炎できらめく。その布は宇宙のような群青。
 ロータスは恋人に初めて出会ったような錯覚に陥り、目を覚ますため水を飲んだ。
 隣に彼女が座る。
 ベール越しに目が合う。彼女も戸惑っているようだが、手を出すと彼女はそれに応じて手を重ねた。
 握りしめると自然と笑顔になった。
 穏やかな夜だ。
 風はなく、星も隠れるように輝くばかり。
 松明の炎が明るく皆の顔を照らしていた。

 ほろ酔い気分の皆の元から離れ、ロータスはクレマチスの手を牽いてある場所を訪れた。
 木々の間をすり抜け、根を越えて。
 開けた場所が急に現れ、視界は明るくなった。
「ここは?」
 クレマチスは物珍しそうに辺りを見渡す。
 湖である。
「ここに、あなたから預かったペンダントがある。取ってくるから、待っててくれ」
 急な話に戸惑っていたロータスだったが、いざ夫婦となるとしっくりと腑に落ちたような、心地の良い感覚に落ち着いていた。
 花婿衣装を脱ぎ、下着だけになるとあの日、プルメリアが示したところまで泳いでいく。
「ロータス!?」
 クレマチスは驚いたようだが、湖面からロータスが顔を出すとほっとしたようだ。
「もう夜よ、見えないわ!」
「問題ないよ、今日は明るいくらいだ」
 不思議なほど、湖の下に生える水草すら見えていた。
 きらきらと何かに照らされているように。
 まさか、竜人族の感覚になってきたのだろうか?
 ロータスはそう考えついたが、その瞬間に銀に光るそれを発見し嬉々として潜っていった。
 6つの花びら、凜々しく咲いて、旅人達を見送った花。
 クレマチス。
 今度こそしっかりと手に掴んで、湖面に手を持ち上げる。
「見つけた! 今持っていくよ」
 泳いで戻り、足が届くようになると歩いて渡る――つるりとした丸い岩に滑り、「うわっ」と声をあげて転んだ。
 水しぶきがあがり、クレマチスが名前を呼ぶ。
「大丈夫だ……」
 と体を持ち上げると、クレマチスが側に来ていた。
 髪も衣装もずぶ濡れに、泳いで側まで。
「クレマチス……」
「もう! 心配したんだから!」
 クレマチスはロータスの胸を叩く。
「大丈夫だって。もう、すっかり強くなったから……ほら」
「え? きゃっ」
 クレマチスの腰を抱いて持ち上げ、そのまま後ろに倒れ込む。
 ぶくぶくと息が水中に漏れ、クレマチスの髪が流れるのを目で追った。
 息が続かない彼女に、分け与えるように口づけて息を与える。
 水の力で浮上し、クレマチスは目を開けた。
「驚いた……」
「嫌だった?」
「そうじゃないけど、溺れちゃう」
 虹色の目が開かれ、ロータスを映した。
 今日はなぜこんなにもはっきりと見えるのだろう? ロータスはそんなことを思ったが、密着する体温にそんな疑問は徐々に遠ざかる。
 足が届くようになり、体が離れると急に物足りなくなった。
 クレマチスは衣装を脱ぎ、下のワンピースだけになると髪を絞った。
 その姿に喉が急に重くなる。
 物足りない。
 白いワンピースはクレマチスの肌を透かして見せる。お尻の丸みが浮いて見え、脚にまとわりつく布がいやらしい。
 罪なほどだ。
「ロータス、早く乾かしましょう……」
 彼女が振り返った途端、ロータスは自分でも驚くほどの欲情に、体が焼かれるような衝撃を味わった。
 柔らかそうな乳房に濡れたワンピースが張り付き、野いちごのように色づいた乳首が目立つ。
 むき出しの肩に手を回し、掴むようにして引き寄せる。
「クレマチス……」
 自分でもはっきり分かるほど、欲情に声が掠れていた。
 色の変わる目をじっと見つめていると、どんどん濃くなっていく。
 瞳孔が広がっているためだ。
 見つめるロータス自身の顔すら見える。
 肩から腕に、腰に手を滑らせ、もう片手で濡れた髪をかき上げ耳にかけた。
 流石にロータスの意図が分かったらしい、クレマチスは唇をきゅっと結ぶと視線を落とした。
 そのまつげ越しの目元はきらめいて、どんな宝石よりも美しい。
 吸い寄せられるように唇を寄せ、目尻にキスをするとクレマチスはふっと息を震わせた。
「ロータス」
 ささやくような小さな声だった。はっきり聞きたい、ロータスは頬をすり寄せ、腰を抱く手に力を込める。
 もう抑えることは出来なかった。
 じんじんする唇で彼女の唇に触れる。
 痺れるような感覚は痛みとは違う、押しつけると柔らかく、軽く押し返されるような弾力だった。
 舌先で唇の輪郭をなぞり、ふっと息が漏れた瞬間に角度を変えて舌を潜り込ませる。
「ふぅ」
 とクレマチスの小さな声が聞こえ、背筋がぞくりと震えた。
 歯を舐めると、開いた先から薄い舌がおずおずと触れてくる。
 そろっと舐め合うと、舌が溶けそうな感覚と同時に喉がはれぼったくなった。もっと、と貪欲に舌を求める。
 口元からちゅうっ、と唾液の絡む音がした。
 体を寄せると、ぴったりと濡れた布が張り付いてひんやりと冷たく、やがて体温でじわりと温かくなっていく。
 クレマチスの手が遠慮がちに肩に触れ、どんどん高まる鼓動の元に触れる。
 溶け合うような息が漏れ、クレマチスは腰を引いた。支えるようにすると、彼女は喉をそるようにする。
「立っていられない……」
「掴まって」
「だめ……」
 なぜ? とロータスが聞くと、クレマチスは顔を横に向けた。
「抱き合ってるだけで、変な感じ……胸、こすれて……」
 クレマチスが腰をひいたため、ロータスの手は彼女の胸に至った。その瞬間、熱いものに触れたかのようにクレマチスは体を跳ねさせた。
「あっ……!」
 今まで聞いたことがない甘い声に、ロータスは体の中心に熱が集まるのを感じる。
 手のひらに収まる胸を揉めば、水分を含んだ生地は集まって邪魔になった。
 片方の肩紐をずらし、首筋に顔を寄せ、細い鎖骨に吸い付くと、クレマチスは腰をくねらせる。
「ね、ねぇ、ロータス。もう家に戻りましょう。誰か来るかも……」
「来ないよ。皆酔いつぶれてた」
 なめらかな肌に夢中になり、ロータスはいくつもキスを落としていく。
 そのたびクレマチスは息を乱し、両手でロータスの肩を押し返そうとするが、ロータスは強く彼女を抱きしめてそれを封じた。
「嫌ならやめる」
 そう言った自分の声は掠れている。クレマチスは一瞬息を止めるとそろそろと顔をあげた。
「……ずるいわ」
 彼女の目はきらめいている。肩に置かれていた手はロータスの頬まで登り、添えられるとその目が近づいてくる。
 彼女の唇が触れてきて、舌先が上唇を撫でた。
 痺れるような快楽に息がもれ、もっと欲しくなると再び深く口づける。
 彼女の口内で、どっちの熱か分からなくなるほど求めながら耳に触れる。
「あっ」と小さな声に気づき、耳を撫でるとクレマチスは腰を躍らせた。
「ここ、好き?」
「知ってるでしょう」
「……知ってる」
 耳元で囁くと、彼女は必ず耳たぶを真っ赤にしたものだった。
 息をふきかけ、熱くなった耳たぶを吸う。不思議な甘い香りがして、誘われるように顔を寄せた。
 花の蜜にむらがる蜂のように、きつく吸うとクレマチスは驚いたのかロータスの背を叩く。
「痕になっちゃう……!」
「そのつもりだ」
「ロータス……!」
 喉にも、首にも、いくつも吸い付いて、痕をつけていく。鎖骨から曲線を描く下に至ると、途端に柔らかくなる。
 喉がもっと熱くなり、期待に下半身は重くなった。
 何にも覆われていない胸は未成熟の果実のようだ。手で触れると、思っていたよりも弾力があり、手のひらに吸い付いてくる。
「ん……」
 手のひらの中心で、野いちごのような乳首はこりこりに固くなった。壊してしまわないようにそっと触れると、更にピンと固くなる。
「んん」
 むずかるような声に誘われ、キスをする。
 もう片方の肩紐もずらし、両の乳房を露わにするときゅうっと乳首を摘まんだ。
 舌が絡み合う中、クレマチスは涙目になりながら熱く吐息する。
 逃げるように彼女の背中が反り、それを追うようにすると水草の生えた岩にもたれる恰好になった。
 ロータスは彼女と手を繋ぎ、開かせると濡れて立つ乳首を吸った。
「あっ……!」
 一際高い声。
 ロータスは柔らかい乳房と、彼女の甘い声にどんどんせき立てられる。無意識に腰が揺れ、気づくと彼女の脚に自身をすり寄せていた。
 ふう、と荒い息が彼女の胸にぶつかり、乳輪ごとぷっくり膨らんだ敏感なそこを舌でなめ回す。
 垂れそうになった唾液ごと吸うと、クレマチスはついに息を乱して腰を揺らした。
「あぁ……っ」
 クレマチスは小刻みに体を震わせ、太ももを持ち上げた。
 熱く反応する下半身が揺すられ、ロータスは思わず「うあっ」と声をあげてしまう。
「も、もうおっぱいはだめ……っ」
 クレマチスは脚をすり寄せ、手をほどくとばしゃばしゃと波を立たせながら体を沈ませた。その時、
「あっ」
 と何かに気づいた声に、ロータスははっとするとそこを隠した。
 目が合う。
「……もう、こんなに?」
「あまり見ないでくれ」
「我慢してたの?」
「……」
 どうとも言えない質問だ。ロータスが答えに困っていると、クレマチスはそこをじっと見つめると体ごと寄せてきた。
「い、いい。その、何もしなくて……」
「でも、苦しそうよ」
 クレマチスは制止をきかず、下着越しに触れてきた。
 湖で冷やされたにも関わらず、すぐに熱を取り戻し軽く触れられただけでびくっと反応した。
「待った、クレマチス……」
 クレマチスの細い指が下着を止めていた革紐を解いた。
 水分を含んだ布地は肌に張り付いて、なかなか取れない。じれったさを感じたロータスはふーっと息を吐き出す。
 戦うより緊張する。
 などと考え、いきりたったモノが暴かれていく妙な快感にくらくらしてきた。
 どろっとした体液が下着にまとわりついていた。
「その……クレマチス」
 もういいから、と言おうとした時、そっと彼女の指が触れてきた。
 細い指先が青く浮き立つ血管を撫でる。
 ひゅっと登ってくる快楽に、いよいよ視界が危うい。片目を強く瞑って、岩に手を押し当てた。
「くぅ……っ」
「気持ちいい?」
「良いけど……っ」
 先端がいじられ、いよいよロータスは頭が沸騰しそうになった。
 彼女とするのは、どんな風であろうかと考えたことは何度もある。
 こんな形で叶うとは思っていなかったが、快楽は思っていたよりもずっと強く、甘美で、頭がおかしくなりそうなほどだ。
 ふうっと熱い息がモノにあたり、ロータスはクレマチスが何をするつもりか気がついた。
「ちょっと待っ、た……!」
 止めるより早く、薄いが熱く、なめらかな舌が腫れたように疼く先端に触れた。
「んん……」
 クレマチスは声を出したが、苦しげではない。そのまま熱い口の中に迎え入れられる。
 舌が裏筋を擦り、熱い先走りがまた溢れて口の中をいっぱいにした。
 ロータスは水草を強く握り、息を整えるが、今起きていることを直視すると抗いがたい欲情に意識が流されそうになる。
(このままではまずい)
 と思う一方、クレマチスの舌に愛撫されるたび、全身が溶けそうな快楽のまま流されたくもなった。
「クレマチス……」
 そう彼女の名前を呼ぶ自身の声は、今まで聞いたことがないほど掠れている。
 ごくっ、と喉が鳴る音が聞こえ、ぱっと唇からモノが解放される。
「……何?」
「これ以上は、ダメだ」
「どうして?」
 クレマチスは髪を耳にかけ、固くなりすぎたモノを両手でなぞった。
「出る」
 そうはっきり言うと、クレマチスはロータスの顔を見上げてくる。
「まだ……出したくない。もっとあなたを知りたい」
 はっきりと言うと、クレマチスはロータスを見つめたまま手を離した。
 ロータスはほっと息を吐き、クレマチスを立たせる。
「嫌だった?」
「まさか……嬉しかったよ」
 体をすり寄せるように抱きしめる。さっきよりも余裕が出てきた。
 焦る気持ちは減っている。
 ふうと息を吐き、じゃれるように抱きよせると水辺に寄った。
 草を褥に岸にクレマチスを座らせ、脚を開かせ体を近づける。
 背中に手を回し、どこにも自分を染み込ませるようになで回す。
 クレマチスは鼻にかかったような息をし、ロータスの背にすがりつくようにした。
 ワンピースは腰まではだけている。そっと体を離すと彼女の脚をもちあげ、それを取り去る。
 初めて見る彼女の裸身だ。
 甘酸っぱいものをロータスは感じながら、それだけで済まない欲望にまた体は熱くなる。
「ロータス……」
 クレマチスも眉をよせ、切なげに名前を呼ぶとゆっくりと体を横たえた。
 ロータスの心臓は早鐘にように鳴り、ぐっと覚悟を強める。
 丸い彼女の膝をなで、脚を抱えると内ももに手を滑らせて開かせた。
 彼女のどこにも自分を覚えさせたい。徐々に皮膚が薄くなり、柔らかくなる内ももにも音をたてて口づけし、舌でなぞるとクレマチスは背を仰け反らせて「んっ」と声をあげる。
 下腹部に触れ、恥骨をなぞる。おへそから下へ、どんどん手を下ろしていくと、クレマチスは胸の前で両手を組んだ。
 その目はきらきらして、下唇は噛みしめられている。
「……触るよ」
「……はい」
 どこより柔らかく、熱い秘部をなぞる。
 恥毛は濡れているが、水のせいなのか、彼女の期待のためなのか。
 かき分けると、目立つ赤い蕾が姿を現した。人差し指と中指できゅっと開けば、皮が剥かれてつやつやした蕾から芽が出てくる。
「恥ずかしいから……あまり見ないで」
「でも、綺麗だ。もっと見せて……」
 脚を閉じようとした彼女を止め、そっと指を滑らせる。
 とろっとした愛蜜が溢れ、それと同時にクレマチスも「あぁん」と喘いだ。
 ぐっとロータスの体の奥に火がつく。
 愛蜜のせいで、芽はもっといやらしく輝く。指の腹でくりっと押せば、クレマチスは眉を寄せて喉をさらした。
「ここ、やはり感じるんだ……」
「だって……ずっと待ってた……あぅっ」
「待ってた? ……私のことを?」
「他にいる……っ?」
 クレマチスは逃げるように体を捻り、背を向けた。四つん這いになると、秘部は突き出される形になってしまう。
 ロータスの体は彼女の発言に浮き上がらんばかりだ。
 くちゅくちゅ音をかき鳴らしながら、背中に覆い被さり、肩甲骨にもキスを落とす。
「んっ!」
 クレマチスの体が跳ねた。
 しっとり汗ばんだ背中に頬をよせ、ふっくらしてきた下の花びらを開く。
 熱い蜜がしたたり落ち、芽がひくついた。つつつ、と秘部を辿り、洞穴のようにくぼむ部分で手を止めた。
 クレマチスの体が強ばる。
 成人の儀式で、限られた者達をのぞいて皆一様に初めてではなくなる。
 クレマチスもそのはずで、ここは神殿で神に見立てたものに貫かれている。
 ロータスは神殿で女性がどのように処女でなくなるかを知らないが、女性の体のことは知っている。
 男は皆、成人の儀式では遊女によって教えられるからだ。
 ロータスは彼女の、もちもちした小さなお尻に触れ、掴むようにして広げる。
「脚、開いて……」
 ロータスがそう言うと、クレマチスは少ししてからのそのそと脚を広げた。
 恥ずかしいのか、顔を両手に埋めてしまったが、蜜泉はこれ以上なくロータスの目の前にさらされている。
 呼吸するように洞穴は広がり、愛蜜を溢れさせるとまた狭くなる。
「すごい……こんなに濡れてる……」
「い、言わないで……っ!」
「だって、嬉しいんだよ。あなたが私を求めて、こんなになっている」
 小さな芽をいたずらに触れ、「きゃっ」と体がくねった瞬間に洞穴の入り口に中指を差し入れた。
「あっ!」
 とあがった声は甘いものではなかったが、熱い洞穴は狭く、ぎゅうっと締まってロータスの指を飲み込んでいった。
 指だけでもこんなにきついのに、ここに自分のモノを挿入るのだろうか?
 膣肉は柔らかくも、絞り出すように固く締まる。不思議な肉体だ。出来れば喜んで受け入れて欲しい。
 クレマチスは声をあげないようにしているが、もしかしたら苦しいのかもしれない。ロータスは熱い洞穴から指を抜こうとしたが、クレマチスの手がそれをやめさせた。
「行かないで……」
「……クレマチス?」
「もう少ししたら、良くなるから……」
 そういってクレマチスは体を捻り、ロータスを見た。
 腕をつっぱり、猫のように背中を反らす。
 沈めている指はどんどん熱くなり、蜜がしたたってきて手も濡れてきた。
 ロータスは酸っぱい匂いに惹きつけられ、自分の手から舌を這わす。
 とろとろした、ヨーグルトのような味だ。その源泉にたどり着くと、ひくつく入り口から吸いあげる。
「あぁっ……!」
 がくん、と彼女の腰が落ちる。泣くような甲高い声に、しっかり感じているのだとロータスは気づいた。
「良かった……ここ、もっと舐めて良い?」
「え、あ、でもっ、汚いからっ」
「まさか。さっき洗っただろう?」
 指をくいっと引っ張ると、中の膣肉が健気に吸い付いて追ってきた。だがそれでも愛蜜は溢れ、隙間からとろとろ流れてくる。
 じゅるじゅる音を立てて吸うように舐め取ると、クレマチスは脚を震わせてひんひん鳴いた。
「気持ちいい? って……さっきあなたが言った言葉だっけ……」
「もう、ロータス! あ、あっ!」
 ぎゅうっ、と芽が蠢く。
 ロータスはそこをきつく吸い上げた。
「あ……!」
 びくびくっ、と彼女の体が跳ね、つま先がぴんと伸びた。
 軽い絶頂を得たのか、クレマチスは何度か腰を揺らし、ロータスの指を強く絞める。
「……っはあ、あぁ……っ!」
 肩で息する彼女の姿にロータスは背筋をぞくぞくさせ、指を引き抜いた。
 彼女の体を反転させると顔を覗き込むと、目には涙が浮かんで、小刻みに胸も震えていた。
「……こんな姿、初めて見た……」
「あっ、ちょっと……ロータス?」
「可愛い。きれいだ……」
 髪を撫で、体をすりよせると肩から腕から、汗で吸い付くような肌を全身、撫でつける。
 震える乳房に吸い付き、まだ固い乳首を指でなで回し、唇で吸う。
 クレマチスは「ま、待って、待って」と言うが、頭がぼうっとして上手く聞き取れない。
「クレマチス、あなたが好きだ……」
「ひゃっ」
 耳を吸うと、クレマチスは腰をくねらせる。
 その蛇のようななめらかな動きに、ロータスはまた下半身が疼いてしまう。
「もっと見たい」

***

 ベリルの計らいで、ロータス達には新しい家が用意されていた。
 屋敷ほど大きくないが、ベリー家の者が使っていたという古民家である。
 丸く造られた中には赤い絨毯が敷かれ、暖炉もあり、窓も多く開放的で穏やかな雰囲気に満ちていた。
 クレマチスはロータスに抱えられたまま初めて入るが、目に入ったのはそれくらいである。
 すぐにベッドに横たえられたからだ。
 胸に抱いていた濡れたワンピースはロータスの手によってはぎ取られ、さんざん受けた愛撫で敏感になった肌にすぐ体温が張り付いてくる。
 ロータスの銀髪が首筋をくすぐり、性急な唇が耳に吸い付いた。
「んん……」
 喉をこするように声が出て、ロータスによって両手が持ちあげられ、ベッドフレームに至る。
「ロータス……」
 声をかけると、ようやく目が合った。
 月明かりでやけにはっきりと見える。
 サファイヤ色の目は見えない湖の底のように広がり、暗い色をしてはまれば抜け出せそうにない。
「……何?」
 そう聞き返しながらも、ロータスはクレマチスの肌に吸い付いてなかなか落ち着いてくれない。
 隅々まで暴くつもりなのだろうか、ロータスの手はじっくりとクレマチスの体を味わっていた。
「ちょっと、休憩……しない?」
「……今日は嫌だ」
 珍しくわがままを言う彼に、強く言うのは気がひける。確かに彼はまだ達していない。
 クレマチスも早くロータスと結ばれたいと思っていたのだから、嬉しいのだが、腰が抜けているのだ。これ以上されたらどうにかなりそうだ。
「起きられなくなっちゃう……」
「私が運ぶよ」
「でも……」
「もう、嫌だ?」
 ロータスがじっと目を覗き込んできた。
 いつかのような、年下の幼なじみと思っていた時とは違う。有無を言わせない、男のものになっている。
 こんな顔を見たことがない。
 ロータスの手が髪から頬へ流れてきた。
 その指先が唇に触れ、中に入り込んでくる。
 クレマチスはそれを舐めながら、ロータスを見つめ返した。
「嫌じゃなくて……おかしくなりそうで……怖い」
 そう言った瞬間、クレマチスは(間違えた)と気づいた。
 ロータスの目が大きく見開かれたかと思うと、あやしげに揺れた。
「そうなのか……私は見てみたいな」
 ロータスの手が秘部に滑り、濡れた恥毛をかきわけすぐに芽を探り当てた。
 途端体が溶けるような快感に脚が跳ねた。
 もう乾いた、と思っていた部分に再び蜜が湧き上がる。
 にちゅにちゅ、とより濃い音をたてて。
「あぁ……また溢れてきた」
「い、嫌でしょ? こんなのっ……」
「嫌なわけない。意外だったけど、嬉しいよ」
 ギシッ、とベッドをきしませてロータスは体を移動させた。
 まさか、と思い肘をついて体を起こすと、彼はやはりベッドからおり、クレマチスの脚を肩にかついでしまった。
「あ、だめ……っ」
 舌が花びらをなぞる。指でされるのとは違う、なめらかな感覚は体の芯まで溶けそうだ。
「口でされるの、好きなのか」
「し、知りません……!」
 手を伸ばすものの、届くはずがない。ロータスが秘部を支配しているのだ。手は彼の髪を掴むので精一杯である。
 舌が洞穴に入り込み、ちゅうちゅうと愛蜜が吸われていく。
 恥ずかしさと快楽で意識が飛んでしまいそう。クレマチスは腰をそらし、喉を仰け反らせながらロータスの髪を掴んだ。
 油断すると叫んでしまう。
「さっきより濃い……美味しいよ」
「っ!」
 指を噛んで耐えたが、ロータスは器用に指を中に入れてきた。
 ずぷぷっと熱い膣肉の中に、蜜に助けられて関節の目立つ指が入る。
「はあ……うぅん……」
 激しい快楽から離れ、クレマチスはようやく息をつく。
 だが、肩に入っていた力が抜けると、さらに愛蜜が熱く滑った。
「また出ちゃうっ……」
 ぷつっ、と穴が広がり、たっぷりと蜜が流れ落ちると同時に、余裕が生まれた。
 ロータスの指でギチギチになっていたところが、緩く広がったのだ。
「すごい……クレマチス、こんなに濡れてるよ」
 ほら、とロータスは濡れた指を持ちあげた。
 彼の指に、自分の蜜がねっとりと絡んでいる。
「……これなら、もう入るのかな……」
「!」
 ロータスはクレマチスの脚を開かせ、そこに体を割り入れた。
 彼の腕が肩あたりに置かれ、もう逃げ道はないのだと知る。
 まばたきを繰り返して彼を見れば、ロータスは唇を噛んで深く息を吸い込んだ。
「ゆっくりするから……」
 と、ロータスの声に緊張が混じる。
「受け入れて欲しい。あなたが痛がっても、止めたくない」
 ロータスの真剣な言葉に、クレマチスは胸を上下させて息をすると頷いた。
 ぎゅうっと枕を握りしめる。
「……はい」
 返事すると、ロータスはほっと息を吐いて眉を開いた。
 くち、と熱く固くなったモノの先端が花びらに触れる。
 ぶわっと全身が熱くなり、下腹部が疼いた。熱く濡れているのはクレマチスだけじゃない、ロータスはたっぷりモノを濡らし、ゆっくりと洞穴に沈めていく。
「……くっ」
 と、苦しげにロータスは息を吐き、そのまま止まった。
「……どうしたの、ですか?」
 思わず今まで通りに声をかけたが、ロータスは「何でもない」と返す。
「……ロータス?」
「ちが……ごめん、思った以上に、嬉しくて……。私もおかしくなりそうだ……」
 クレマチスは彼の言葉に急に緊張が溶けた。
「ふふっ」
 と思わず笑ってしまい、顔をあげたロータスと目が合う。
「なぜ笑うんだ」
「同じ気持ちだったのだと、嬉しくなって」
 クレマチスは体を起こし、ロータスに抱きついた。鼓動が感じられ、体を寄せると重なっていく。
「もう一つになりたい」
 そう言ったのはクレマチスだが、二人の気持ちだった。
 ロータスも頷き、抱き合ったまま背中をベッドに預ける。額にロータスはキスを落とし、モノを擦りつけた。
 じわっと快楽で秘部は燃えるようになり、花びらをわけ、膣内へモノが埋められていく。
 裂けるような痛み、火傷しそうな痛みにクレマチスは顔を歪めたが、ロータスの背に縋りつくと息を吸い込む。
(痛い)
 と体は拒もうとする。
 だが、早く欲しいと心は急かす。
 ある程度ほぐされたお陰で、ロータスがぐっと腰を進めた時はスムーズに入り込んだ。
「はっ」
 と息が漏れた。
 水晶で貫かれた時よりもはっきりと、生身のモノは奥への狭い入り口を貫いたのだ。
 じりじりと焼かれるような痛みの中、ロータスのモノが更に中を目指してくる。
「うっ……んぅ……」
「ごめん、もう少しだ……。もっと……」
 ロータスは腰を揺らし、クレマチスの腰を掴むと引き寄せた。
「あっ、や……」
「力を抜いて」
 クレマチスは素直に頷き、息を吐いて力を抜く。するとロータスはぐいっと中へ進んでくる。
「あっ!」
 と、痛みに声をあげ、体を捻る。
 ロータスはそれを逃さず、腰を掴んで更に進めた。
 熱い肉棒は中の壁を擦りあげ、燃えるような痛みを刻んでいく。
 というのに、クレマチスは頭がぼうっとする感覚に視界を歪ませた。
(嬉しい)
 と、思った瞬間に愛蜜が溢れてくる。
 痛みも快楽もぼうっとし始めると、ロータスが耳元に熱い息を吐き出す。
「あっ!」
 と嬌声をあげると、ロータスはクレマチスの腰に指を食い込ませた。
 指先から覚悟と振動が伝わり、ぞくぞくする。
「……っあぁ、入った。奥、すごい……っ」
 ロータスは緊張から解放されたのか、途端甘い声をあげる。
 今まで聞いたことがない声音だ。芽は反応していやらしく震え、蜜がどんどん溢れてくる。
「あぁ……ロータス……」
 彼の名前を呼ぶ自分の声が遠く聞こえる。
 ふわふわ浮いているみたいだ。
 掴まるところを求めて手を伸ばせば、ロータスが指を絡めて捕まえてくれる。
「ん……すごい、あなたの中だ……」
 ロータスはクレマチスの体をしっかり抱きしめ、顔中に口づけた。熱い耳にも、首にも。
 軽く触れられるだけで意識が飛んでしまいそう。
 クレマチスは息を吸って、吐いて、と繰り返しして快楽を逃がそうとしたが、より強く奥を求められ余裕を失った。
「ロータス……!」
 待って、と言う前に唇が塞がれた。
 緩く腰がバウンドする。
 痛いのか気持ちいいのか、もはや分からない。
 ロータスの熱気に飲まれ、されるがままだ。
「もう限界だ……っ」
 ロータスは身を起こすと、ぐっ、ぐっと腰を打ち付ける。
 肌がぶつかり、互いの愛液が混ざってちゅぱちゅぱ鳴った。
「……!!!」
 クレマチスは声にならない声をあげ、枕もシーツもなりふり構わず握りしめた。
 荒々しい二人分の息と、上擦った声が室内に満ちていく。
 ロータスはクレマチスの脚を持ちあげ、中を擦りあげるように腰をすり寄せる。
 波打つ性感にクレマチスは発情期の猫のように鳴いた。
 それが余計彼を誘うが、分かっていても声が抑えられない。
 シーツを噛んで耐えると、ロータスの指がそれを阻んでしまう。
「むぅ」
 と、濡れた中指を咥えさせられるままにする。
 口の中も秘部も、全てロータスの思いのままだ。
 ベッドがギイギイ音を立て始め、体が揺さぶられる度に火花のような快楽が生じて消える。
 奥にロータスの熱を感じ、それが背筋を登って頭に響いた。
「っぷあ……」
 指が抜かれると、唾液が糸をひく。
 息を吸い込み、手を伸ばしてロータスの腕を引き寄せた。
「もっと、抱きしめて……っ」
「……ああ、分かった……」
 ロータスの体が重なり、体温でどこもかしこも溶けそうなほど安心する。
 強くうつ心臓の鼓動は全身を巡り、中は柔軟に彼のモノにくっついていた。一部の隙間もない。
 口を開けて息するロータスの頬に触れる。
 目が合うと、底のように広がる瞳にクレマチス自身が映り込む。
 はあ、と熱い息がかかり、気づくと唇を重ねていた。
 ぐっ、と奥を突かれた瞬間、ビクビクとモノが震える。
「もう出る……っ」
 ロータスは腰を引こうとしたが、クレマチスは背を抱いて秘部を押しつける。
「中で出して……!」
「……っ」
 クレマチスの言葉にロータスは余計追い詰められたらしい。
 モノが膨れたように大きくなり、強く脈打つ。
 ぐりゅぐりゅに中がかき回され、クレマチスは気がおかしくなりそうなほど体を熱くさせた。
 ロータスから、こんな欲望をぶつけられたことはない。
 こんな姿は見たことがない。
 興奮に熱い愛蜜がどっと吹き出し、全身に力が入った。
「クレマチス……っ」
 噛むような声で名前が呼ばれた。
 その次の瞬間、ロータスの律動に合わせて階段を登るように性感が強くなり、「あっ!」と声が出た瞬間に体はつり上げられた魚のように跳ねる。
「あ、くうぅっ!」
 奥歯を噛みしめるような声をあげ、ロータスが中で震える。
 熱い奔流が洞穴いっぱいに注がれ、息するより早くドクドクとモノは強く打つ。
 ロータスは全身を震わせ、射精する度腰を跳ねさせた。
 飛びそうにぼうっとした意識の中、熱く火照った体は歓喜に震えている。
 クレマチスはひくひくと震える下腹部に手を滑らせた。
「……熱い……」
「大丈夫……?」
「うん……」
 荒く息をしていたロータスは、開きっぱなしだった口を閉じ、ごくんと唾を飲み込んでクレマチスの耳元に顔を埋めた。
 手のひらが髪を撫で、肩や腕を撫でる。
 ロータスを見れば、彼は肩で息をしていたが顔を持ちあげ、クレマチスの唇を求める。
 それに応じて目を閉じれば、唇を優しく食むような口づけが降りてきた。
 お互い、余韻に甘い声が出てくる。
 ロータスは背中いっぱいに汗を浮かべ、腰をずらす仕草を見せた。
「あ、待って……ロータス」
「でも、抜かないと……苦しいだろ?」
「ううん……もう少し、あなたを感じていたい」
 ロータスは目をぱっと見開くと、笑みを浮かべて頷いた。
「分かった」
 ぐったりとした体を抱きしめられ、ロータスの手が労るように背中を撫でてきた。
「……幸せだ」
 そう言う彼の指が腰に食い込む。ひしひしと感情が伝わり、クレマチスは愛情でいっぱいになった。
 彼の銀色の前髪をそっとかきわけると、目が合う。
「……今夜はあなたがよく見えるよ」
「うん……満月だもの」
 ロータスの胸元に手を滑らせると彼は「ああ」と納得したように言った。
 その時、月光が窓から入り込み二人を包むように照らす。
 二人分の影が伸びて重なり、複雑な形で浮き上がらせた。
 溶けたあのダイヤモンドのような影だった。

***

 腕の中で眠るクレマチスを背中から抱きしめるようにしていたが、朝の訪れにロータスは身を起こした。
 起こさないようにそっと。
 彼女の肌には無数の口づけの痕がある。昨夜のことを思い出し、また欲望の火が疼くのを感じたがぐっと堪える。
 あれからどれだけ求めたというのか。
 無理をさせてはいけない、と自制していたというのにイザとなるとこうである。
「はぁ……」
 思わずため息をつき、顔を洗うと水を汲みに出た。
 外の空気は静かで、まだかなり朝が早いと知れた。太陽もまだ見えていない。
 井戸に向かうと、先客に気づいた。
 シリウスである。
「おはよう」
「ああ、おはよう。昨夜は飲み過ぎたな。皆起きてこない」
「ジャスパー殿も?」
「珍しく潰れてたな」
 シリウスは桶から水を容器に入れ、ロータスに桶を渡した。
「ダイヤモンド山はどうなっているだろうか」
「どうだろうな。噴火したし、しばらくは帰れない。溶岩だらけだろうが……」
「そうか……」
「長老が祖父だと気づいていたのか」
 シリウスの言葉にロータスは顔をあげた。
「その、なぜ知っているんだ? 私が……父上を助けた竜人族の子だと」
「アゲート王子が説明を。なんというか……国王も危篤になったんだ。その治療のためにサファイアの秘薬を使った。お前にもな。その時に聞いたんだ」
「そうだったのか。……兄上はご存じだったのか」
「その話がしたかったのか?」
 シリウスの鋭い返しに、ロータスはつい額を抱えてしまった。
「いや、その……昨夜は……皆、どうしたんだ。急に結婚式だとか、そういうことだからとか。プルメリアにオウル殿まで……」
「……」
 昨日とはうって変わって、シリウスはまじめな顔をして腕を組んだ。
「……お前が銀の竜だと」
「は?」
「長老がそう言っていたんだ。そしてクレマチスと想い合ってた。それが理由だ。詳しくは……知る必要はない。知らなくてもその通りになる」
「訳が分からない」
「それより、静かの森の外は灰の雨だ。王都へ行くなら準備しないとな」
 シリウスはそのまま去ってしまった。
 判子はもうじきに使えるようになる。王都へ行き、魔女を止めるのだ。
 そしてピオニーとスティール。
 ロータスは緊張に手が震えるのを察したが、ぐっと拳を固めると頷いた。
 迷いはない。

 判子は復元された。
 精巧な模様は欠けることなくぴったりとはまり、膠で強く固められている。
 広場で披露され、皆張り詰めた空気の中「これで行けるな」「反撃開始だ」と口にしている。
「若旦那さま、サンから便りです」
 オニキスがコーから書簡を受け取り、中を確認する。
「王都にまで灰が届いていると。魔女とスティールはおらず、王国軍は士気を無くしているが暗殺者集団は油断ならない、か」
「面倒な話だな。暗殺者集団は王女さまに忠誠を誓ってるのか?」
 ジャスパーが口にする。
「いや、彼らは行く場所を無くしたと思っているだけだ。なんとか説得出来れば……」
 ロータスは希望的観測からそう言ったが、彼らの恨みは深そうだった。
 簡単に説得は出来ないだろう。
「すべきことを見失わなければ良い」
 シリウスはそう言って、灰よけの為に作らせた蓑を示す。

 王都へ向けて出発の準備が整う。
 灰の中、蓑をかぶらせた馬が走り出した。
 王国軍も竜人族も一緒だ。
 静かの森はにわかに騒がしくなる。
 エジリン皇子も同行を申し出て、その馬車にはプルメリアが乗っていた。
 ベリルやクレマチスも一緒である。
 灰が降っているため空は重々しく暗い。
 だが、その下を行くロータス達の行軍は思いの外賑やかなものとなった。

次の話へ→Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 第38話 なすべきこと

 

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-Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー, 小説
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