「ん……、うっ」
琴が腰を跳ねさせ、都筑の胸元を叩く。
ぱっと唇を解放すると、どちらのものかわからない唾液で唇が濡れた。
「酸欠になりますよ」
「悪かった」
そう謝りながらも、体に生じた熱はなかなか消えてくれそうにない。
琴の腕や背中を撫でながら、じっと瞳を見つめていると、彼女の澄んだ目が色を濃くしてゆくのが見て取れた。
「お腹空いてないの?」
「空いてる」
「先に……」
「食べて? 後で間に合うさ」
都筑は琴を腕の中におさめると、その細い肩に口づけながら囁く。
「嫌か?」
琴は首を横にふった。
都筑はコンロの火を消し、琴の体をなで回しながらあちこちに口づけを落とす。
琴が悩ましい吐息をもらし、それに惹かれて喉に舌を這わせると上擦った声が聞こえてきた。
「んん……」
それを聞くと腰に淫らな波がよせてきた。
都筑は琴の髪をかきあげ、ひんやりした耳たぶを吸って、舌で輪郭をなぞると舌でなめ回す。
「あぁっ……やっ」
舌で耳をかきまぜると、じゅじゅっと音が鳴った。
琴は腰を揺らし、指先を震わせると都筑にもたれかかった。
都筑はその腰を抱いたままその場に腰を下ろし、耳にうなじに、と軽く歯を立てては吸ってゆく。
赤い跡が首筋に浮かび、その度に琴は肩を震わせた。
「普さ……っ」
彼女が口元に手をやろうとしたのを止め、その手首にも口づける。
眉を寄せる彼女と目があうと、どことなく不安げに揺れているのが見えた。
「あの……」
戸惑っている様子の彼女の髪を撫でると、服の上から胸元をひっかくようにした。
「っ……」
琴は俯いて、胸元に顔を埋めて隠してしまった。
自分で感じている姿が見たいと顔をあげるよう誘うが、琴はかたくなに体を小さくし、都筑はかろうじて見える額にキスを落とした。
そっと彼女の太ももに手をやり、撫でているとスカートがめくれてくる。青い下着が見え、つうっと割れ目にそって指先を滑らせると、彼女の脚が跳ねた。
そのまま撫でると、とろりと指先が濡れる。
「んん……」
「もう濡れて……熱いくらいだ」
「久しぶりだから……」
「そうだよな……」
都筑は琴の体を反転させ、後ろから抱きしめると彼女のシャツをまくりあげる。
ブラの上からやわやわと揉むろ、しっとりとした感触の白い乳房がカップからこぼれ始める。
赤くなった左耳に噛みつき、ちゅう、と吸うと琴はびくりと肩を震わせた。
「あの……」
「シャツ、持ってて」
「……こう、ですか?」
琴は両手でシャツを鎖骨あたりまで持ち上げ、落ちてこないように押さえた。
都筑はブラのホックを外し、滑らかな背中を撫でる。
ブラが緩むと乳房が揺れた。
都筑はそれを包む。まだふにふにとしている柔らかい色をした乳首をきゅう、とつまむと、琴は腰をくねらせた。
「あぅ……っ」
彼女のお尻がズボン越しに固くなったモノをぐりぐりと刺激する。
都筑は息を吸い込むと腰を浮かせ、意識を手の中の膨らみに集中させた。
「あっ……!」
つまんでやるとすぐに反応を示すクランベリーのような琴の乳首。
都筑は甘い香りを放ち始めた耳元に顔を寄せ、柔らかい胸と、こりこりと起ちあがる乳首とを愛撫しながら、すでにきつくなって出口を求める自身のモノをなだめようと息を荒く吐き出した。
「んぅっ……あふ……っ」
琴が唇を噛みながら、甘い声を漏らしながら、脚をすり寄せた。
「うっ……」
太ももでモノを撫でられた形になり、不意打ちのような快楽が腰にぞくぞくと広がる。
都筑は渇きに苦しむ人のように口を開けると、息を吸い込んでベルトを緩めた。
そのバックルの金属音に琴が振り返る。
「挿入ないから、安心しろ」
「え……あ」
琴の視線がモノに向いて、顔が真っ赤になるのがはっきりと見えた。
下着から取り出した都筑のモノはすっかり勃ちあがり、ぬらぬらと先端を光らせている。
赤黒くなった竿はガチガチに固く、その昂ぶりに都筑自身も息が苦しくなってきた。
「そのまま、座って、脚を閉じるんだ」
「前みたいな……」
「そう。擦るだけ……」
「あ、じゃあ、下着脱ぐから……」
琴はそう言って立ち上がる。
息を荒くする都筑の目の前で、スカートの中に手を入れると青いレースの下着を脱いだ。
布の少ないそれを目で追っていると、琴が都筑の脚の間に入って背中を向けた。
しっとりとした腿が見えたかと思うと、むきだしのモノが、少し冷たいもちもちの内ももで挟まれた。
「これで合ってる……?」
「ああ……」
琴は膝を合わせたままぺたんと座り、都筑の膝に手をやると振り返る。
頬は赤く、目が潤んでいた。
都筑はその頬に手を滑らせ、顔を寄せると口づける。
「ごめん」
「謝らないで……」
琴はそう言うと、都筑の頬に触れ、口づけた。
柔らかい感触が触れ、離れていく。
自分からするキスとは違う味わい。
都筑はそれに不思議な驚きを感じ、琴の目が前を向くまで見つめていた。
「普さん?」
都筑が何もせずに見つめていると、琴が戸惑ったように声をかけた。
都筑はやっと冷静さを取り戻し、琴を抱きしめると深くを息を吸い込んだ。
柔らかく、甘い香りが鼻腔いっぱいに広がる。
「琴……」
「はい?」
「ありがとう」
そう言うと、琴は都筑の腕にそっと触れ、頷いた。
じわっと体温のあがった彼女の右耳にキスをすると、しなやかな太ももに触れる。
撫でていると琴がじれったそうに脚を浮かせた。
「嫌だった?」
「くすぐったいから」
琴はふっと笑った。緊張が抜けたのだと、肌を通して感じられる。
都筑は左手で胸を愛撫しながら、彼女の内ももに手を忍ばせ赤くふくれた粒に手を伸ばした。
「ふぅ……っ」
琴が脚をすり寄せ、都筑のモノがこすられる。
熱くなったモノは徐々に彼女の内ももを濡らし、琴の蜜が溢れてくるとぬちゅぬちゅと混ざり合って音を鳴らした。
激しいものではないが、じっとりとした快感に体温が上がり始める。
喉を震わすようにしてなく琴の耳に吸い付き、敏感な粒と、乳首とをいじっていると、ふいにモノの先端に新たな刺激が走った。
「……っ、琴?」
「私もする……」
琴はそう言って、ぬるぬるとする先端に指先や手のひらを使って不器用に触れてくる。
「い、嫌じゃないですか?」
「嫌じゃないっ……」
「どうしたら……」
「そのまま、撫でててくれ」
都筑は彼女の小さな背中に息を吐きかけながら、乳首や粒を刺激する。
琴はその度に体を跳ねさせ、脚をすり寄せた。
モノがきゅっきゅっ、と締め付けられ、ぬるりと内ももから逃げるように動いては先端がまた顔を出す。
いつもとは違う、溶けるような快楽に頭がぼうっとし始めた。
ウィスキーのせいだろうか、まったりとした快楽にモノが熱く膨張する。
「あ……あ……っ!」
琴の花びらがきつく蠢き、そろそろ達しそうなのだと感じ取る。
都筑は吐息ごと漏れる彼女の喘ぎ声に鼓膜が焼かれそうな感覚を味わいながら、その背中を胸元に密着させる。
「もうイこうか」
琴の手で濡れそぼつモノを包ませ、ぎゅっと握らせるとふくれた真っ赤な粒をつまんだ。
「あっ!」
琴の一際高い声が聞こえ、のけぞった拍子に髪がさらさらと都筑の肩に流れる。
それに心臓がどきりと跳ねた。
彼女の体をきつく抱きしめると腰を早める。
ずるずるっ、とモノが彼女の内ももを擦り、モノが限界を訴えるに任せた。
「うっ……琴っ……!」
「あぁっあ、ん……!」
琴がきつく体を跳ねさせるを抱きしめて止め、びくびくっと震える花びらを感じた後、快楽を解放させた。
巻いたホースに思い切り水を流した時のように、勢いに圧されたように飛び跳ねる白濁液。
どろっとしたそれが琴の太ももを汚すのを、都筑はくらくらする視界の中で見た。
***
太ももをたっぷりの白濁液で濡らした琴は、それを見ると頭がぼーっとするほど体温があがるのを感じた。
耳がきんきんする中、どうやって立ち上がろうかとそんなことを真剣に考える。
都筑は腹から何度か体を跳ねさせ、琴の体に白濁液を出し切った後、しばらく呼吸を整えるようにしていた。
やがて琴をそのまま抱きしめ、耳に頬に髪に、と浴びせるようにキスをしたものだ。
しばらく動けないでいたが、琴が「どうしよう」と言うと、都筑がようやく口を開いた。
「何が?」
「……どうやって立とう」
「……ああ、そうか。そうだよな……」
都筑はふっと体を離し、琴を見ると一人立ち上がる。
ティッシュかタオルか取ってくるのかと思っていると、都筑は琴の前でかがんで、膝に手を入れて横抱きにした。
「うわ」
「じっとしてて」
いわゆるお姫さま抱っこだ。
廊下をそのまま運ばれていると、あんなにも熱かった都筑の白濁液が少し冷えて、ねっとりと内ももに滑る感触に体の奥がきゅう、と疼く。
***
「体、どこか痛めなかったか?」
「大丈夫です」
シャワーの後で二人で湯船に浸かり、都筑の胸元に背中を預ける。
「いきなりですまない」
「いいです、謝らなくて。嬉しかったから」
「嬉しかった?」
「うん」
そう答えると、都筑は照れたように視線を外した。
「キッチンは危険だ」
「えっ」
「襲いたくなる。これからは俺がキッチンにいる時は近づかないように」
「えええ?」
琴が唇を尖らせると、都筑はふっと笑ってそれに口づけた。
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