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Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 小説

Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 第32話 会議

 静かの森に入ったが、ロータスは道を知っているわけではない。シトリンが先頭に立ち、案内するのに従うばかりだ。
 カラスが飛び去っていくのが見えた。彼らはどこへ行くのか……方角も分からないが、とにかく遠くへ行くようだ。
 それを見ていると、前方から草木を踏む音とともに、人の声がした。
「王子ー!」
 明るい声はフェンネルのもの。顔を見ると、彼は顔をくしゃくしゃにして笑った。
「良かったよー!」
「迎えに来てくれたのか?」
「そうだよ。シトリンじゃ迷子になるかもなってジャスパーのアニキが」
「ええー、そんなこと言ったのぉ?!」
 シトリンは顔を真っ赤にした。
「王都が大変なことになったが、皆は……」
「シリウスの旦那達は無事だよ。でも、アジュガ王子は分からない……」
 フェンネルは言いにくそうに語尾を下げた。ロータスは息を吐き出し、頷く。
「皆のところに行こう」
 森には木漏れ日が差し込み、夏の暑さに心地よい風が通り抜けた。
 王都の混乱など知らないかのような、突然の平穏な気配はロータスも知っているものだ。
 閉ざされた世界はあまりに静か。
 集落の入り口に近くなると、ロータスも土地勘が出てくる。
「……」
 クレマチスが神妙な面持ちで木々を見ていた。
「どうかした?」
「ううん。ここが私の……家族の居場所だったのかと思って」
「竜人族が用意した場所だそうだ。……帝都には本拠がない。ベリー家も流転する一族だったのかな」
「責任が重すぎるわ。帝国であれば、竜人族も、ベリー家も、目立たなければ馴染めたかもしれない。王国にこの両氏族を任せてしまったことも、バランスを欠いた要因なのかも」
 確かに王国は狭い。領土を奪い合うのは仕方のないことだったかもしれないのだ。
 ベリー家が追われた理由もまた、竜人族を怖れたせいと言われているが、一部の貴族の欲望のためである。
 ロータスはやりきれない思いで息を吐き出す。
「でも、あなたが帝都で産まれていたら、私は出会えなかったかもしれない」
 ロータスはクレマチスの手を取った。
「王国で歪んでしまったのなら、どこかで正せるはずだ」
「……そうね。そうかもしれない。だから皇帝陛下とウィンド家の両親がそのチャンスをくれたのかも」
 目が合うと微笑み合う。
 そんなことがこれ以上ない幸福なことのように感じられた。
 皆の来訪を知った者達が次々現れた。
 ベリルはクレマチスを抱きしめて迎え、サン達もオニキス達と合流し握手している。
 ロータスは後ろで控えめに彼らを見ていたシリウスと、目が合った。
 無事を喜ぶように目尻を下げ、静かに微笑む。
 ようやく旧友と再会出来たような、不思議な心地に包まれたものだった。

 屋敷内は前と同じように整えられ、ロータスは迷わず天井裏に荷物を置いた。
 アゲートが呆れたような、関心したような、とにかく「おお」と言う。
「慣れたものだな……私よりよっぽどたくましい」
「兄上はどちらで寝泊まりを?」
「空いていた家を使わせてもらっているが、勝手がわからずミセス・デイジーに面倒をかけている」
「彼女には私もお世話に。そうだ、馬達の様子も見に行きたい」
 ロータスは久々に跳ねるような気分になっていた。
 クレマチスはオウルの見舞いをしているし、シリウスは帝国特殊捜査機関の者達と何やら話し込んでいるのだ。暇といえば暇である。
 フェンネルとシトリンを連れ厩舎に向かう。馬達はロータスを覚えていたようだ。顔を見ると甘えるように柵に首をこすりつけた。
「元気そうだ」
 用意したエサを与え、たてがみを撫でる。
 貯蔵庫から香る、竜人族の使う薬草の香り。
 デイジーが作るスープの香り、干し草の香り。
 全てが懐かしく、ロータスの肉体に深く入り込んで馴染んでいく。
 体がすぐに回復していくような心地にはたと気づいた。
(私も竜人族の血を引いているから?)
 そうかもしれない、と体は直感している。
 だからといって、シリウス達のように五感のどこかが優れているわけではない。身体能力も雲泥の差だ。
(ちょっと不公平だな)
 などと毒づき、厩舎をあとにする。
 そこに通りがかったのは金髪の女性だ。
 確かクレマチスの従姉妹である。
「ベリル・ベリー殿」
「王子殿下。ご無事で何よりでした」
「世話になっているのに、挨拶が遅れて申し訳ない……あっ、私はもう王子ではないから……」
「お父上に逆らったから? でも王子が王子であるとは、誰もが認めるところでしょう。どうぞそのままで」
 ベリルは柔らかく笑う。クレマチスとはそれほど似ていない……そう思っていたが、笑顔が似ていた。
「……血とは抗えないものだ」
「そうですね。あの子とは髪も目の色も違うのに、不思議です。王子は竜人族の特徴が出ておられるけど」
「あ、ご存じでらっしゃるのか。私も最近、知ったばかりだ」
「……よく出来たものです。オウルの言うとおり、焦っても仕方ない。必要なことは必要な時に起こる……いや、起きているのですね」
「え?」
「こっちの話です。気になさらないよう」
 ベリルは水を汲みに行ってしまった。フェンネルがふーん、と言う。
「奥様ってもっと厳しい人だと思ってたけどなあ」
「奥様……ああ、そうか。シリウスの奥方だ。厳しいようには見えなかったけど……」
「頑張ってたの。男の子ってほんとデリカシーないんだから」
 シトリンがフェンネルを肘でついた。
 ロータスがなんとなくベリルの姿を追っていると、井戸に男が現れる。焦げ茶色の髪、体格の良い竜人族――確かジャスパーと呼ばれていた――は彼女の代わりに、水の入ったバケツを持っている。
(仲が良さそうだ)
 と、ちりっ、と違和感を覚える。
 彼女はシリウスの妻では?
 そして彼はシリウスの腹心と聞いたが。
 その疑問を感じたまま、広場に行くとオニキスと目が合った。
 彼らは今、話し合いの途中である。シリウスもエジリン皇子もその中におり、円陣を組むように座っていた。
 そのまま手招きされ、ロータスは表情を引き締めるとその場に座る。
 フェンネルとシトリンもそれに習った。
「あの魔女は湖に鏡を設置し、そこから各地へ移動しているようです。王子はあの世界の中で、過去をご覧になったとのことでしたが」
「アカシア王家の時代のことでした。魔女として処刑された王女の」
「この女のことではありませんか?」
 オニキスが取り出した絵画には、女性が描かれている。ロータスは目を見開いた。
 あの金の糸が絡みついていた絵と、そっくりそのままだ。
 唯一違うのは、向いている方向だ。
「あの絵はお預けしていないはず……」
「これは別の場所で見つかったものです。やはり見覚えがあるのですね」
「これと同じですから」
 ロータスはあの世界から持ち帰った絵を見せた。
「!」
 皆も息を飲んでそれを見た。
 鏡のように、対に向かい合うポーズになる。
「……あれ?」
 とロータスは首をひねる。
 あの世界で見た時、絵に描かれていたのは金髪だ。
 だがそれが白くなっている。変色したか? と思ったが、黒のドレスも赤いバラも、色は変わっていない。
 まるで王宮で見たあの白髪の女のような姿だ。
「……」
 ロータスがそんなことを考え、眉間に力を込めているとアゲートが口を開いた。
「この白髪であれば、まるであの女性のようだ」
「……はい。でも……。ん?」
 オニキスが持ってきた肖像画を見ていると、文字が浮いて見えた。
 一瞬のことに目を疑うが、確かに目を凝らすとドレスのレース部分に、古代文字が書かれている。
「……ま、まぐ……」
 読みにくいな、とロータスは絵を傾ける。
 木漏れ日が差し込み、文字を光らせた。
「マ、グ、ノリア……マグノリア王女。マグノリア……」
 ロータスが名前を読むと、アゲートがはっと振り向く。
「マグノリア王女だと?」
「ご存じですか、兄上」
「もちろんだ。アカシア王家が滅びた時、最後に処刑された王女だよ。覚えていないか? 彼女は魔道に通じ、夜な夜な若い女性を連れ去っては彼女達を生け贄にしていたと……それで魔女と呼ばれたんだ」
「生け贄?」
「何でも、若返りの秘薬のためだとか。後で迷信だと一蹴されたが、当時は一部権力者に信じられていたんだ」
「恐ろしいことを。まさか、今でも信じているわけはありませんよね?」
「そう信じたい。話はそれだけじゃない、彼女は磔にされ、槍で突き刺されたというのに死亡が確認されていないんだ」
 アゲートの説明に、皆の目が集中する。
 特にオニキスは黒く輝く目を厳しく光らせた。
「確認されていないですって?」
「ああ。なぜならカラスの群れが彼女の体を持ち去ってしまったせいだと」
「……カラス。おそらく、そのマグノリア王女が白髪の女だ……そしてブックなのだろう。スピネルと同じように体を移した? それとも若返りの秘薬か? そんなものあるわけないが……」
 オニキスは知的は額から頭を撫でるようにして呟いた。サンがそれに答える。
「そう見せるものならあるかもしれないぞ」
「見せる。幻影のように。鏡に違うものをうつすように」
「その可能性はある。あの魔女め、人を買っていたのはこの目的のためか? 生け贄か? それとも、王国を混乱におとしめるために人をやったのかもしれん」
「ああ。……マグノリア王女の復讐といったところか。逆恨みもここまで来れば大したものだな。ろくな死に方をしないだろう」
 オニキスの発する口調が徐々に低くなり、その場の空気がなんとなく変わる。
(オニキス殿はサディストなのか?)
 と、ロータスはなんとなく思った。
「だが、百年も前の者が生きてるわけないだろう?」
 シリウスが言うと、オニキスは顔をあげた。
「会話するカラスがいるんだ。もはや常識は置いて考えねばならん。スピネルは体から魂を移すことで生きながらえたような輩だった。竜人族よ、スピネルは竜だった。もしかしたら、あなた方の中にそういった知恵があるのではないか」
「俺は聞いたことがない。サファイアの秘薬も、あくまでも気付け薬のようなものだ。それに、竜人族は不老不死を望まない。魂は不滅だと知っているから……おそらくスティールもそうだろう」
「では別の氏族かもな。コネクションは欲望のるつぼだ。そこでスピネルも、この魔女も、何らか長命の秘術を手に入れた……」
「面倒な連中だな。寿命以上生きて、得られるものなどないだろうに」
「サン、お前はそのままでいろよ」
 オニキスはサンの肩をぽんと叩く。長官と部下と聞いたが、友人のように親しげだ。
「長命、もしくは不老不死のか」
 アゲートはそう呟く。
「権力を得た者はそれを望む傾向にあった。かつてのアイリス王達も。……コネクションは王宮に何かもたらす一方、アイリス王家からその秘術を得ようとしたのか。そう考えると納得だ。なぜ王宮なのか。なぜ王都をひっくり返そうとしたのか」
「ちょっと待って下さい。若返りの秘薬のために若い女性を連れ去っていたなら、それを今でも信じているとしたら? 早くプルメリアを助けに行かないと」
「落ち着け、王子。プルなら無事だ」
 シリウスがやけに確信めいて言う。ロータスは食ってかかった。
「な、なぜ分かる? 魔女はあの子を利用するつもりなんだぞ」
「だからこそだ。利用するつもりなら、犠牲にはしない。プルは賢い子だし、精霊が味方している。きっと無事だ」
「……」
 ロータスは急にそわそわしてきたが、確かにプルメリアは大丈夫だとも思える。
「王子殿下、あの世界に囚われている可能性が高いのですよ。今助けに行くことは出来ません」
「わかって……いますが。そうだ、湖や鏡を通じてとおっしゃいましたね?」
 ロータスは突然思いつき、頭が追いつかないまま話し始めた。
「魔女が王宮にいた時、王国の土地をよく知っていると兄上はおっしゃいましたね。私たちが把握していない土地に湖があるとか。探しに行くと確かに湖があったと。そこに何かあるのでありませんか。突破口か何か……」
 息を継がずに言ったため、ロータスは慌てて息を吸った。
「確かに、言った。……アイリス王国の地図はあるだろうか? 覚えている限り描き出してみるよ」
 アゲートが立ち上がると、皆が「お願いします」と言った。
 その日の話し合いはこれで終わった。

 ベリー家の屋敷を今は利用させてもらっているが、長くここにいる可能性が高いなら家をうつった方が良いのだろうか。
 ロータスはそう考え、クレマチスのもとへ向かった。
 オウルは熱を出したようだが、今は落ち着いて眠っているようだとクレマチスは話す。
「竜人族の薬草が効いているみたい」
「彼らの知恵はすごいよ。私も体調を崩したが、すぐに回復した。あなたの持っていたラベンダーと効果が似ている気がする」
「ロータス。もしかして体の調子が良いのは、ここで竜人族と一緒に過ごしたから?」
 クレマチスの思いつきに、ロータスはあっと声をあげた。
 彼女に言っていない、自分は竜人族の血を引いていると。
「……クレマチス、私は……」
 もしかしたら、ここで竜人族と過ごしたから?
 いわゆる「水が合う」というやつなのか。それで体調が良くなっていった?
「……そうかもしれない。血とは抗えないものだ」
「抗えないけど、それでも結局は一人一人、違うのね。私もベリル姉様やおばあさまと一緒にいたけど、二人とはやっぱり違うのだなと思って。二人もそれぞれ違うし。おばあさまとは話した? 色んなことを教えてくれるわ」
「……ああ、うん。あの、クレマチス……」
 ロータスが言いよどむと、クレマチスの手が頬に触れてくる。目が合うと彼女は目尻を柔らかく下げて微笑んだ。
「……焦らないで、ロータス。全て上手くいくわ。あなたなら大丈夫よ」
 クレマチスの指が頬を摘まんで離れた。
 離れていっても体温は残り、頬はじわじわと温かい。
 クレマチスは客間に、ロータスは天井裏を使う。ベリー家の屋敷は以前より狭く感じたものだが、ここには柔らかな温かい気配が満ちている。
 女性が多いからかもしれない。
 その気配に体を預けると、すぐに眠気がやってきた。

『良い? 王子様。判子だよ』
 夢から覚める瞬間、ロータスの頭にプルメリアの声が響いた。
 判子。
 ロータスがすぐに起き上がり、荷物を開けた。オニキスは判子を一緒に持ち帰ってくれていたようだ。金の糸もちゃんとある。
「判子……」
 バラバラになってしまったそれは、模様があまりに細かく復元は不可能のように思われた。
 フェンネルが描いて見せてくれたものとよく似ているが、判子の模様はそれより更に細かいようで、円形で連続した柄のはずだがところどころ違うのだ。
「……」
 思わずため息が出る。
 元の姿が分からなければ、どうしようもないのでは……ロータスはそう思ったが、それでも一つ一つを取り分け、復元を試みた。
 幸い、全て粉々ではない。多少大きなものもある。不可能ではないはず。
 そう自身に言い聞かせていると、朝食の準備が出来たとデイジーが告げた。
 皆がテーブルにつく。シリウスとクレマチス、ジャスパーの姿もあった。
「そういや、初めましてだな」
と、ジャスパーが声をかけてくる。
「ああ。初めまして。シリウスの腹心だと聞いているが……」
「お陰であっちこっち飛ばされてばかりだよ」
「おい」
 うそぶくジャスパーの体をシリウスは小突いた。
 ロータスは思わず言う。
「兄弟のようだな」
「そうだよ。シリウスは昔、クソ生意気なガキだったんだけど、俺がみっちり教育してやったんだ」
ロータスは思わず想像してしまい、ぷっと吹き出した。
「今でもエラそうだけどよ」
「余計なことを言うな。お前だって何度プラチナに大目玉を食らっていたか……俺も巻き込まれた」
「あれは悪かったと思ってます」
 ジャスパーはカラカラ笑った。
 ロータスはついアジュガを思いだした。
 狂ってしまわなければ、良い兄だった、はずだ。だが戦争のせいなのか、ああなってしまった。
 王子が薬物中毒だと体裁が悪い。隠さなければ彼は将軍でいられない。
 王宮での立場を失ってしまえば、あとはどうなる?
 薬物が悪いのか、彼が悪いのか、あるいは環境のせいだったのか。答えは出ないが、少なくとも今ロータスに彼への憎しみは消えていた。
 だからといって同情はないが。
「ああ、そうだ。さっき夢……だと思うのだが。プルメリアの声で『判子を』と……」
「プル?」
「ああ。ただの夢だと思うが、判子だ。竜人族の判子を預かったのだが、魔女に壊されてしまった。その復元をしたいのだが、元のデザインは分かるだろうか」
「……」
「……」
 シリウスとジャスパーは互いを見合わせると再びロータスを見る。
「……無理だ」
「え?」
「あれは俺たちが造ったものではなくて、王国の職人が造ったもの。あそこまで精巧な模様は、思いつかないし彫る技術もない」
 シリウスはそう説明する。ジャスパーが付け加えた。
「こういう技術ばかりはあんた方の方が得意だ」
「……まずいな。判子があれば、あなた方の無実が証明出来るかもしれないんだ。あるいは悪用されたとか……」
「判子って?」
 クレマチスが食いつき、ロータスは手で形を真似る。
「父上が族長に差し上げたものだ。これで王国内で何らかの取引が出来るようになる。商売も……例えば鉱山を彫る道具の注文とか」
「道具の注文……? 丸い形……」
 クレマチスは顎先に指を当てると、食事中だが立ち上がってしまった。
 そのまま荷物を開き、旅で得たものを取り出し始めた。
「どうしたの?」
 ベリルが手伝う。
「金属製道具の注文ならノースグラスよね?」
「そうなるはず」
「多分、見た気がするわ。保存食料を頂いた時……」
「取っていたの?」
「燃料に困ったら使おうと思って。あっ、これだわ」
 クレマチスは紙の束を取り出し、ロータスに渡す。
 数十枚はあるが、全て注文票である。
 矢1000本、剣を槍に200本、と具体的に書かれており、注文者の名前と印が押されていた。
「すごい。……こんなにか」
「鉄や鋼は入手困難になったからか? 再利用の注文が多いな」
 シリウスも興味を引かれたのか、覗き込むとそう呟く。
「食事中ですよ」
 とデイジーはあきれ顔だが、「今は見逃してくれ!」とロータスとシリウスに言われ両肩をすくめた。
「これは武器商人、これは軍から……これは……武器ではなく、道具の注文だ。2年近く前。……名前はプラチナ……」
 ぶわっと産毛が立ち上がる。今は亡い人の名前と、探していた判子の印。
「……これだ」
 鉄製武器類を、ツルハシや金エブに造り替える注文である。
 数は2000から4000への予定。
 紛争を起こすため竜人族が集めていたと王国側が発表した武器の数は1986。多少失われたとするなら、ほぼ同数である。
「……」
「……少なくとも、プラチナは戦を起こすつもりじゃなかった」
「ノースグラスへ運ぶ途中だったのを誤解されたのか」
「あるいは王国側が都合良く利用したか」
 ロータスとシリウスの声は落ち込み、誰もが食事をやめる。
 やるせないため息が食卓に満ちた。

次の話へ→Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 第33話 各個撃破

 

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