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Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 小説

Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 第22話 ダイヤモンド山へ

 足下に血が流れている。
 クレマチスは悲鳴が出そうになるのを辛うじてこらえ、柱からシリウス達をのぞいた。
 スティールは槍を構え、その先端に血がついている。
 全身の血液がどこかへ抜け去ったような感覚に震え、その場に座り込む。
 このままどうなってしまうのか?
 ジャスパーやシリウスも殺されてしまうのだろうか?
 クレマチスは両手を組んで、息を吸う。
 心臓は暴れて落ち着かない。
 剣戟の音が聞こえてきた。シリウスは暗殺されるはずだったのだ。スティールが遠慮するはずない。
 ジャスパーも、ここにはいないも同然の人物である。
「シリウス、テメエは邪魔なんだよ、昔からずっと!」
 スティールは怒りを露わに叫んだ。
「何の話だ? 俺が何をしたっていうんだ!」
「テメエの存在そのものだよ! どいつもこいつも、俺を無視しやがって!」
 ガィンッ、と鈍い金属音がして、短剣が飛んできた。
 ジャスパーの諫めるような声が聞こえ、クレマチスはついに柱から飛び出した。
「もうやめて!」
 息苦しい中必死に声を出せば、その場にいた全員の視線がクレマチスを見た。
「引っ込んでろ、クソアマ……!」
 シリウスに馬乗りになったスティールが、野良犬のような目で睨む。視線だけで全身が震えるようになったが、クレマチスは柱にしがみつくようにしながらもその場に立つ。
「わ、私はアジュガ王子の妻ですよ。その者達は私の供です。勝手な振る舞いは許しません」
「クレマチス、下がっていろ」
 ジャスパーはそう言ったが、クレマチスは首を横にふると続けた。
「離宮とはいえ宮で剣を抜けば厳罰です。今なら見逃してあげます。双方、剣をおさめて!」
 なるべく厳しい声音で言えば、スティールの目が睨むようなものから、探るようなものに変わった。
 彼は槍を引くと、ジャスパーを見て言う。
「……だそうだ」
「チッ」
 ジャスパーは短剣を鞘に戻す。スティールも立ち上がり、3歩離れた。シリウスもパッと立ち上がる。
「アジュガ王子の妻?」
 スティールは確認するようにクレマチスを見た。
 じろじろと、全身をなめ回すように。
「へえ。あの王子様の。つまり、婚約者を裏切った女か」
 スティールの言いぐさにクレマチスは喉を掴まれたようになった。ぐっと下唇を噛み、手を握りしめる。
「証拠なんてないだろ。あんたがアジュガの妻だなんて、誰が見てわかる?」
「証拠ならあるわ。ここに指輪がある」
 つけるつもりのない既婚の証の指輪だ。アジュガの印判が彫られてあり、クレマチスはそれを懐に入れて持ってきていた。
「なるほど? 嫌っているわりには、利用するんだな。なかなか大した肝だぜ」
 スティールはにやにや笑うとクレマチスに近づいてきた。
「待て、スティール」
 シリウスが声をかけ、彼より先にクレマチスの元に来た。大きな背がクレマチスの視界を覆う。
「離宮でのことは不問にすると奥方が言ってるんだ。流石に王国の騎士をまとめて相手は出来ないだろう」
「負け犬がほざきやがって。この女がいなかったら、今頃プラチナのもとにいたかもな」
「ああ。悪運が強くて助かったよ」
 シリウスはそう切り返し、クレマチスを庇ったままその場を離れる。
「すまない、助かった」
 そうシリウスの謝意が耳元に落ちる。ジャスパーも連れだって歩き出し、門に近づく――残された竜人族はシリウスとスティールと、両方を見るとその場に立ち尽くした。
「そうそう、あの王子様。あんたに裏切られて真っ青な顔をしていたな。残念な王子様だよ、全く」
 胸に鋭い痛みが走る。
 クレマチスは声には出さないまま、ぽたぽたと足下に滴のあとを作っていった。

 その後、宮での騒ぎを聞きつけた警護兵がようやつ駆けつけ、スティールが石の選別をしていたと話す声が聞こえてくる。
 クレマチスは「夫のもとへ竜人族を連れていく途中だった」と答え、警護兵数名と離宮を離れた。
 クレマチスはアジュガの宮へ送られたが、彼が不在なのをいいことにそのまま脱走し、シリウス達と再び合流する。
 夜、宿で寝込んでいると客の声にクレマチスは身を起こした。
 庭に先ほどの竜人族が集まっていたのだ。
 3人。それと大きな袋。
「どうしたんだ」
 シリウスが出迎えている。
「逃げ出してきたんだ。スティールにはついていけない」
「……」
 袋を抱きかかえるようにして、地面におろす。
 シリウスはそれを開いた。中にはすでに息絶えたあの男が。
「ちゃんと弔ってやりたい」
「ああ……」
 シリウスはジャスパーを呼ぶ。すぐに庭に出たジャスパーは事情をすぐに理解したようで、宿に戻ると荷物をまとめて出た。
 5人は亡骸を抱き、そのままどこかへ出て行く。
 冷えた夜の空気の中、仲間のためどこかへ行く彼らを見ていると不思議な心地になった。
 まるで神聖なものを見た気分だ。
 部屋を出て、何か温かい飲み物でもと思い厨房へ行く。
 そこにいたのはベリルとルビーだった。
「姉様……」
 ベリルの目元は腫れていた。
「今日は大変だったみたいね」
「離宮で人が殺されたの」
 クレマチスがぽつりと言うと、ベリルはそばに来るよう手招きし、彼女の肩を抱くとホットショコラを手渡す。
「今日は無理に眠らなくて良いわ」
「うん」
 ベリルの細い手が背を撫でる。
 クレマチスはどうしても下がってしまう視線をそのままに、まばたきを繰り返した。

***

 ダイヤモンド山へ入ると、すぐにその峻険な道のりが出迎える。
 岩はゴツゴツとし、石も大小問わず散乱している。踏む道はほとんど岩だ。草は生えているものの、岩の隙間に辛うじて残る土にしがみつく恰好である。
 舗装されていない道は人の足には辛いものがあった。が、フェンネルは裸足の指や土踏まずを器用に使って、道なき道を歩いて行く。
「……翼でも生えてるかのようですね」
 イオスがそう喩えた。
 そのくらい、軽々と岩を飛び越えていくフェンネルの姿に、ロータスは今更ながら納得する。
 これなら王宮などあっさり潜り込めるはずだ。
 そうならやはり戦を仕掛けるつもりなら、彼らはもっとスマートにこなせたはずである。
 ロータスは自分の中にある確信を決定づけるものを求め始めた。
 きっとあるはずだ、竜人族が開戦をしたわけではないと知らせるものが。
 陽が傾き始めると、護衛役を買って出たブルーが休憩を告げる。
 今日はここで野営するのが良いかもしれない。高さに慣れないと今後呼吸が苦しくなる。
 ロータスは思い切った質問をした。
「捜査機関としては、この戦をどう考えているのですか?」
 ブルーは鷹のシャムロックにエサを与えると答えた。
「コネクションが関与している……それは確かだと」
「コネクションがどのような連中かは聞いておりましたが、これほどの規模なのですか」
「帝都中心からエリカの草原、バーチに至っては王城を移すその前から歴代バーチ王と。他の土地ではどこまで巣くっているかを捜査中です。なんというか、闇の連中が全て何らか繋がっているという感じですね。仕事も紹介してもらえるし」
「皆繋がる……」
「ああいう連中は基本、つるむのですよ。一人で平気な者は、わざわざ他人を攻撃したり、邪魔する意味がないと知っています。一人でいられない者が引きずられていくのです」
「善良な者でも孤独を嫌う者はいるでしょう」
「失礼しました。私の言い方が間違いです。真剣な人づきあいが出来る者同士なら、互いに依存はしません。だが中には一人きりが嫌で、虚しさのあまり他人にすがる者がいるものです。そういった者が気づけば影に落ちている。類は友を呼ぶ。犯罪コネクションが大きくなりやすい要因の一つです。えーと、話が脱線したかな? アイリス王国と竜人族の不和……戦闘のきっかけについてはまだ捜査が進んでいません。だが両者の間にはいつも緊張感があったはずです。誰かがそこをつつけば、簡単に切れてしまう糸のような。それを利用されたのではないかと」
「利用?」
 ブルーの言い様に違和感を覚え、ロータスは首を傾げた。
「詳しくは長官から聞いた方が間違いないと思うのですが、まあ、私が知っている限りのことはお話しましょう。その許可は得ています」
「竜人族が戦を望んだと思いますか?」
「戦を望んだとは言い切れません。が、それを利用した者がいるのは事実です。王子殿下がよくご存じだ」
「スティールのことですね。彼はアイリス王国で地位を得た……」
「そしてピオニー王女殿下が王位を狙っていたのも確かです。そのために動いていたようですが、だが戦を始めたとは言い切れない。それをする意味はありませんからね。兄君と結びつき、王子か王女を産めば安泰ではあったかもしれません」
「アイリス王国で地位を盤石にと思えば、そうなってしまうのでしょうか。だが姉上の言った通り、女性が一人で生きていくには厳しい国なのかも……」
 ロータスは頭痛がしそうなほど眉を寄せた。
 何かが変わらなければいけない、そう思ったのはつい最近だ。トレニアと話したその時に。
「やはりこの国が……この国のルールがいけないのだろうか? 変えていく必要があるのかどうか……だがそう願った者達が頂上に至り、そして前例の通りに沈んでいった」
 独り言のような呟きに返事はない。ブルーは火をつけ、携帯食料を取り出し、それを火にかけると言った。
「この戦で誰が一番得をするか。間違いなくコネクションです。だが元凶とはいえない」
 ブルーの言うとおりだ。コネクションは確かに違法売買を繰り返しているが、それを利用する者に原因はある。
 売れないものを売る必要はないからだ。
「私もそれが知りたい。なぜ戦を起こしたのか」
 ロータスが静かにそう言った時、枝が火に折れパチンと小気味よい音を立てた。

 翌日、陽のあるうちに竜人族の集落にたどり着いた。いくつかある集落のうち、ここは加工場を中心に造られた集落であるらしく、鉱石とハンマーなどが多く、人も男性がほとんどだった。
「フェンネル! それに王子!」
 久々に会う顔。
 フェンネルが駆けつけ、彼らに抱きついた。

 竜人族はスティールの命令で山へ帰還したのは良いが、リーダーがいない。
 今は熟練の職人が中心に切り盛りし、何とか採掘と加工を進めているのだという。
「皆を集めて欲しい。話がある」
 ロータスの真剣な態度に、何か感じたのか男達はすぐに行動を開始した。
 陽が落ちると、もう一つの大きな集落に案内される。
 家は木造、2階や3階建てのものもあり、かまどから煙ものぼって生活感がある。
 畑も井戸、石を並べて造られた階段もあって、すり鉢状の街のようだ。家々の玄関に松明が置かれ、陽の入りにくい時間になっても暖かな色で満ちていた。その底にあたるところが広場らしい。
 女子供の姿が多いことに気づき、ロータスはさりげなく周囲を見渡した。
 静かの森で会った、プルメリアのことが気になったのである。彼女は山へ帰ったはず、とベリー家の家老は話していた。
「プルメリアは……」
 ロータスがそう聞こうとした時、駆け寄ってくる足音に気づいて振り返る――「王子様!」と呼ぶ声とともに、しっかりとした体つきの、しかし若い女が飛びついてきた。
「シトリン!」
「うわあ! また会えて嬉しいよ!」
 振り向いて顔を見ると、前と同じような屈託のない笑顔がそこにあった。
 シトリンはロータスの手をとるとさっそく案内を始める。
 小道には商店、新鮮な食材や乾物、薬草も売られており、思った以上に栄えた様子にロータスは感じ入った。
「シトリン、何か変わったことはあった?」
 フェンネルがそう聞くと、シトリンは眉をよせ気むずかしい顔をつくる。
「とにかくダイヤモンドを持ってこいってうるさいの。それでおっちゃん達、ほとんど狩り出されちゃって街の整備どころじゃないよ。ここはなんとかおばちゃん達で協力してやってるけど」
「では、まだ回復はしていないのか……」
 ロータスはつぶやき、周囲を改めて見た。
 確かに品物はあるが最低限といった感じだ。
 活気はあるものの、人数は集落の規模のわりには少ない。
「ダイヤモンドをなぜ急いで集めている?」
 ロータスの質問にシトリンは首を傾げて見せた。
「王国の信頼を得るためだとかなんとか……」
「それらしい理由ですね」
 ブルーが言い、ロータスは頷く。
「この人誰?」
「帝国特殊捜査機関の捜査員だ。よろしく、お嬢ちゃん」
「……どっかで会ったっけ?」
 ブルーの親しげな挨拶に、シトリンは首を傾げた。

 夜、各集落の代表が集まった。
 ロータスは歴戦の勇士を思わせるいでたちの彼らと、ぐるりと火を囲んで向き合う。
 中には、狩りの時に看病してくれた彼の姿もあった。
 フェンネルも同席する中、ロータスは王宮で起きたことを説明する。
 スティールは裏切っていた。
 ピオニーと通じ、王位を奪うために。
 そしてダイヤモンド山を手に入れるため、竜人族の弱体化を狙っているということ。
 話が終わると、火の木を焼く音がはっきり聞こえるほど静まりかえる。
 それに耐えかねたのか、フェンネルが口を開いた。
「あのさ……」
 皆の視線が彼に集まった。
「スティールのアニキは確かに強くて、かっこよかった。ダイヤモンドの槍に相応しいって、俺も思ったよ。でも、気づいたんだ。俺たち自身の意思は? って。槍は確かに大事だよ。だけどプラチナが死んで、その後死にものぐるいで散り散りになった俺たちを集めて、居場所を作ったのは誰かって」
「フェンネル、わかるけどな。でも伝統を簡単に捨ててはいけないんだ。そこには俺たちの先祖の意思が宿ってる」
「伝統を無視したいわけじゃない。ご先祖が大事なのは俺も一緒だよ。でも、そうじゃなくて……槍に甘えてないかって。俺たちが決めなくちゃいけないことっていっぱいあると思わない? 俺たちが未来を作っていかなくちゃいけないのに、過去にすがってないかって」
 フェンネルの言葉に、ある者はため息をつき、ある者は首をふり、ある者は頷く。
 フェンネルはそれを見ると言う。
「これで良いんだよ。皆がそれぞれの意思や意見を持ってる。何か一つだけが正しいわけじゃない。プラチナもシリウスもそう言ってきただろ? その結果、王国と戦争は長い間起きなかった」
「だが結果としてはそうなった」
 男が言うと、フェンネルはロータスをちらりと見て続ける。
「でも原因はプラチナじゃない。槍でもない。それを探ってるんだ。そして王子が命を賭けてここまで注意しに来てくれたんだぞ。なあ、従うばかりじゃなくてさ、どうしたら良いか考えてみようよ。俺は王子と一緒に原因を探るよ」
「王子、ここまで来てくれたことは感謝する。でも、もしも王国軍にこれがバレたら? 王子と結託しようとしてると思われたら、俺たちは……」
「分かっている。その時は私が申し開きをする」
 ロータスはそうなってしまった場合、王国軍の前で自決することを決めていた。
 それが正しく伝わったのは、さすがカンの鋭い竜人族というべきか。
「それは……それは誰も望んでいない」
「誰も望んでいなくても、それが一番被害を出さなくて済む方法だ。だが私はそうなると思っていないし、そうしたいわけでもない。和平のため出来ることを出来る限りしたいんだ」
 竜人族に嘘は通用しない。逆に言えば、真心が通じるということだ。ロータスには今や後ろめたいものはなかった。
 ただ自分のなすべきをなす。
 それが大きな原動力となっている。
 恐れはなかった。
「……俺たちは何をすれば良い?」
 一人がロータスを見た。皆もロータスの返事を待っている。
「……あなた達が信じたいものを信じてくれ」

 話し合いが終わり、それぞれが帰って行く。その背中を見送っていると、くいっ、と裾をひかれた。
 下を見ればふわふわの金髪。小さな手。ロータスは膝をついて目線を合わせた。
「プルメリア……」
「王子様。ここに来た時、すぐ分かった」
「君はずっとここにいたんだろう? この前、静かの森で君に会った。だが消えてしまった。……あれは夢だったのか?」
「夢だけど、夢じゃない。あたしもあの時、あそこにいた」
 まっすぐに見つめてくる目は汚れない宝石のようである。
「あの夢は何だったのか、分かるか?」
「ダイヤモンドの槍が造られた時のことを書いた……だけじゃなくて、その終わりのことを知らせるためだと思う」
「終わり?」
「終わることは悪いことじゃないよ」
 プルメリアはそう言った。
 その時、シトリンがやってきて4人に寝泊まりする所を用意したと告げた。
 案内に従い、入った場所は集落の出入り口付近の一軒家である。
 それほど大きくなく、土壁に木で作られた塀がある。
 庵のような建物も奥にあり、井戸もあった。
「シリウスの旦那の家だよ」
 本人の性格をよく現している、とロータスは思った。
 中は思うより天井が高く、広々としている。部屋がないためだ。
 円形の床に細かな柄の入った織物が敷かれていた。調度品は武骨ながら丁寧に磨かれて光沢がある。
 室内の3分の1ほど、かろうじてある屋根裏部屋にも何か置いてあった。
「とりあえず布団は用意しといたから。ご飯になったら呼ぶね」
「何から何まですまない。ありがとう、シトリン」
「水くさいなあ。でも、どういたしまして。嬉しいよ、王子もフェンネルも無事で」
 お兄さん達もゆっくりしててね、とシトリンは家を出て行く。
 どっと疲れが吹き出し、ロータスはその場に座り込んだ。
 額を確認するが、汗をかくだけの体温で熱が出た感じはない。
 以前よりずっと丈夫になったようだ。
 呼吸も普通に出来ている。
「さて、落ち着いたし長官に連絡しますかね。何か知らせたいことなどありますか?」
 ブルーがシャムロックという鷹を腕に乗せ外へ向かう。
「捜査機関の方々は一体、誰と繋がっているんですか?」
 イオスの質問にブルーは顎をしゃくった。
「色々なんだよなぁ。ただ長官は王宮には入れないみたいで。外堀を埋めてる途中です」
「王宮に入れない……なぜでしょう」
「顔が知られてるんですよ。長官は兵役の時、ここに来てたらしくて。それだけじゃなくてコネクションにも顔がバレてるから、あまり派手に活動出来ないって。後の奴らは飲み屋を経営しながら噂を集めたり、商人に接触したり。まあ、正直に言いますと王子殿下が静かの森でお暮らしになっている時、こっそり見てました」
「え?」
 ロータスは思わず聞き返してしまった。

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