Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 小説

Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 第19話 怒り

 ダリアの街を西へ移動し、ノースグラスにさしかかる。アジュガの領地だ。
 クレマチスは鍛冶屋の多い街並みを息を潜めて見ていた。
 牛やロバは多いが、馬車は珍しいようだ。
 ここは観光地ではなく工場群なのである。
 客といえば武器防具を見繕う軍関係者であって、帝都の使者ですら滅多に通らない。
 それをもてなす施設がないためだ。
 ノースグラスの端、麦を育てる農村にかろうじて土地を借りる。
 そこで野営だ。
 湯なら貸せる、と村民の厚意を素直に受け取り、クレマチスは久しぶりにゆっくりと湯船に浸かった。
 一緒に入っているルビーの肩口には古傷がある。
「怪我をしているのね」
「ああ、これは子供の頃バカやって。調子に乗って大きな木に登ったんですよ。そこから弓をひいたらバランス崩して落ちちゃったんです」
「危ない」
「でしょう。その時は必死だったんですよね。父親が受け止めてくれなかったら首をやってたかも……」
 ルビーはクレマチスをベリー家の娘として扱っていた。
 クレマチスはそれを受け入れはしたものの、静かの森も、ベリー家のしきたりも歴史も詳しくない。
 ベリルのような覚悟も持っていないのだ。
 血が流れていると言っても、志のようなものは追いつかない。
 追いつきたいのかすらもわからない。
 それにシリウスの存在だ。
 ロータスを人質にした張本人。
 だがベリルの夫であり、彼がそうした理由は戦闘で有利な立場を得るためではなく、平穏な時間を得るためだという。
 それが理解出来るからこそ、ふつふつと怒りに似たものがわきあがるというのに、それを消化することが出来ずにいる。
 視線は気づくと下に落ち、気づかぬうちにため息が出る。
 ルビーが目の前で指を鳴らした。
「お嬢様、本当は言いたいことが山ほどあるんでしょう? 忍耐は美徳だけど、そればっかりだと苦しみだけが残りますよ」
「でも……どうして良いかわからないわ。ジャスパーさんの言ってることはわかる。信じてるから、なら私が怒りをぶつけるのはバカみたい」
「板挟みってやつですね。旦那さまの事情もわかるし、ジャスパーは信頼出来るからそれを裏切りたくない。でも王子殿下を人質にして、お嬢様の日常を奪ったことは事実です」
 ルビーが言うと、堪えていたもので腹がちりちり燃えそうになった。
 目まで熱くなる。
「もう言わないで」
 必死にせき止めているのに。
 クレマチスは先に湯から出る。
 服を来て髪に櫛を通す。が、毛先は痛み始め、絡み合って梳かせない。
 無理に櫛を動かせば、ブチブチと嫌な音をたてて何本か切れてしまった。
「……」
 櫛を投げつけたい気分になり、それを堪えると涙が出てくる。
 せめて声を出さないよう唇を噛みしめ、テントに向かった。
 その時、運悪く人影と鉢合わせる。
 息を飲んだような声に視線をあげれば、今一番会いたくない人物の顔にクレマチスも息を飲む。
「……」
 シリウスはクレマチスを見ると、ふと視線を外し、小さな声で「すまなかった」と言った。

 馬車に作った簡易的な寝床に横になり、毛布をすっぽりかぶる。
 ――すまなかった。
 シリウスの短い一言がずっと頭を巡っている。
(何が? 何がすまなかったというの?)
 息苦しさに寝返りをうつ。
 胸元を撫でるようにするが、どうにもおさまってくれない。
 混乱に飲まれそうになり、体を起こすが貧血でも起こしたかのようにぐらぐらする。
 火の番をするサン以外、誰も起きていないようだ。
 クレマチスは再び寝ようと試みるが、目を閉じるとシリウスの顔が浮かび、また言葉が蘇ってくる。
 大きなため息を吐き、腕を枕に上体をわずかに起こす。
 眠れなくても、体は休めなければいけない。
 なるべく緊張を解くよう心がけ、そのまま上を見て星を見る。
 いつもならロータスはどうしているだろうか、とか、明日はどこまで進むだろうか、と考えられるのに、この時はそれは出来なかった。
 ずっとルビーとシリウスの言葉が巡っていらいらしている。
 ロータスを人質にし、日常を奪ったことは事実。
 そのせいでクレマチスは追い詰められ、アジュガと結ばれたのだ。そして彼はロータスもウェストウィンドもクレマチスも守るため、と言いながら結局襲いかかってきただろう。
 一生が台無しになるところだった。
 それならのたれ死んだ方がマシだっただろうか。だがそうなると、ウェストウィンドはどうなる? そして義理の両親はいっそう悲しむ。
 事実としてそれは起きなかった。
 助けてくれたのは実の祖母と従姉妹、その従者、そしてロータスを人質にした男の腹心である。
 なぜこうもややこしいことに?
 体をくの字に曲げる。
 途方もない渦に巻き込まれた気分だ。目の前の景色はぐるぐる回り、混ざって正体が見えない。
 そのままようやく陽が昇り始めたころ、クレマチスはわずかな睡眠をようやく得た。
 翌朝、農村を出る時、農民は干し野菜を包んで持たせてくれた。
 紙に包まれたそれを荷台に積む。
 クレマチスは感謝するとともに持っていたアクセサリーを彼らに渡す。
 最後に受け取ったパンを見る。
 それを包む紙は、一年前の日付が書いてあった。クレマチスはそれを興味本位で見てみたが、ただの注文用紙であり、しかも古いもののようで特におかしな点はなかった。
 そこに押されていた何かの模様が目についたが、中身はノミ各種の発注であった。

***

 ダブルリバーという、王国の南に位置する辺境への派遣が決まった。
 竜人族との争いのきっかけになった、贈り物の交換の場はダブルリバーにある。
 交換の場ではあるが、ここは王都から遠く離れ、あるのは痩せた穀倉地帯と民家ほど。
 不毛の地とも呼ばれている。
 ピオニーの挙式を待ちロータスはそこへ領主として行くことになる。
 ジェンティアナはその前に妻をめとらせるつもりのようだ。ロータスはどうやってそれをかわそうか考えあぐねていた。
 宮殿に帰ってからずっと考えている。
 ウェストウィンドへ帰れたらどれだけ良いだろう。気づけば肩のみならず、首まで緊張に固くなっていた。
 謁見の間で父王に会い、正式に印を授かる。
 これでロータスはダブルリバーの主となった。
 王座に座る父を見る。
 以前よりも色素の薄くなった目にロータスは首を捻った。
(これほど薄かったか?)
 かつて命の危機があったジェンティアナ。
 それを救った竜人族。
 それから20年ほど蜜月だったというのに。
 王国は竜人族からもたらされる宝石により栄え、竜人族は王国から授けられる鋼により生活を向上させた。
 それが破られた悔しさはいかばかりだろう。ジェンティアナへの哀れみに似た感情がわき、ロータスは思わず側に寄った。
「何だ?」
「父上が背負ってらっしゃるものを、少しでも軽くできたらと……ダブルリバーでしっかりと役目を果たして参ります」
「……急になんだ? ロータス、お前は何か勘違いをしておらぬか?」
「え?」
 ジェンティアナの目に険しいものが宿る。
「次期王位継承者はアゲートだ。王国にこれ以上の争いは要らぬ、アジュガは将軍となって王国を支え、ピオニーは平和のため礎となる。それ以上は要らぬのだ。お前はただ末王子としてやることをやり、それ以上のことを成そうとするな」
 ジェンティアナの言葉にロータスは眉をよせた。つまりロータスに活躍して欲しくないということだ。
「だから私をダブルリバーに……?」
 あそこは民も少ない。支持されたとして、その数は圧倒的少数だ。
「その通りだ。目立ったことはするな。お前とて、余計な争いもクーデターも嫌だろう」
「もちろんです。兄上と争うつもりもございません。なのになぜ疑うのですか?」
「疑うのではない。当然の結論だ。民意は時として国をひっくり返す。アイリスは歴代、クーデター、一揆、そのほかに様々な要因のため国が滅んできた。それを黙らせる必要があり、また不穏な種は取り除かねばならない」
「ですが……それでは育つものは育ちません。民の中にいる優秀な者はどうするのです?」
「出れば叩かれるものだ。出ない方が彼らのためでもあろうよ」
 ジェンティアナの言いぐさにロータスはこれ以上なく顔をしかめる。
 なんなのだ、これは。
 書状と印を強く握りしめ、ロータスは息を荒げて謁見の間を出た。
 悔しい。はっきりとそう思う。
 衛兵らの見送りを受け目線をあげる。
 庭園に人影があり、目をやるとあの白髪の女。
 ロータスは脇目もふらず彼女を追った。
 春の花は次々咲いている。その中を白い髪が舞うように風に流れた。
 捕まえる。
 彼女は父の何かを知っているはずだ。
 さっと手を伸ばし、その細い腕を掴む――軽い音とともにそれが手の中で折れた。
「!」
 ロータスは慌てて手を離すが、掴んだのは彼女ではなかった。
 ばらの枝だ。
 手のひらにプツプツ赤い滴が浮かんでくる。
 それを知ってか知らずか、白髪の女が顔を出し、からかうように笑った。
「ここで捕まえて、どうするつもりなんだい」
「父の側で何をしているか、聞きたいだけだ」
「聞いてどうする? あんたの望む答えじゃなかったら?」
「その時考える」
 女はぱっと身を翻した。
「待て!」
 追いかけ、ばら園を抜ける。そこに女の姿はなかった。

 アゲートの私室に呼ばれ、入ると彼一人で仕事をしている最中だった。
 裁判のための資料を片付け、アゲートはロータスに椅子を進める。
 視線が合うとアゲートは切り出した。
「ピオニーの下着を誰が買ったと?」
「……もうわかったのですか?」
「何人もの代理を立てていたんだ。おかげで探すのに苦労した。だがここまで手の込んだことをやるのだから、相当キレる奴だったわけだ」
 アゲートは不快感を隠さない。脚を組み直し、机を指先で叩く。
「スカイだよ、スカイ。あの騎士。ピオニーに惚れているんだろうとは思っていたが」
 ロータスの脳裏に、清廉潔白な彼の姿が蘇る。
 人質解放の交渉の場に現れたあの男だ。
「スカイが?」
 信じられない、とロータスは声が裏返り口を押さえる。
「ああ。全く人は見かけによらないな……罰するべきかどうか迷うところだ」
「見逃すことも視野に? 彼は宮殿にも出入りするのに……」
「その通りだ。痴情のもつれほど面倒なことはない。だが彼は国王の騎士だ。私達が勝手なことは出来ない。だからといって父上にご報告すればどうなるか……はあ。ロータス、お前が気づいて良かった。こんなふしだらな話がまかり通れば、王家のお先真っ暗だ」
 ふしだら。
 そうと言うなら、ピオニーとアジュガの関係のほうがよっぽどふしだらだ。
 ロータスはこれを言うべきかどうかギリギリまで悩み、ついに言えなかった。
「スカイには”知ってるぞ”と警告までにしておく。これでやめてくれれば良いが」
 アゲートはうんざりだと隠さずに言う。
 ロータスは一連の話を終えると彼の私室から出た。
 夜の気配に満ちた宮殿内は靴の音をよく響かせている。
 部屋に戻ろうと廊下を渡る。
 すると息を切らせて一人の兵士が駆け寄ってきた。どこかで見たことがある、若いその顔。
「アジュガ兄上の……」
 あの時ともに戦に赴いた兵士だ。ロータスに頭巾の一団のことを知らせた。
「ロータス殿下……お話が」
 よく見れば、彼は宮殿に似合わぬぼろを身に纏っていた。

 宮殿にいていい格好ではない。何があったか、ロータスは私室に招くことにした。フェンネルが来るはず、危険はないはず。
 それに彼からは不穏な気配は感じなかった。
 扉を閉め、カーテンを閉じる。
 ロータスがロウソクを灯し、いかにも通常通りを装うと声を潜めて話し始める。
「何があった?」
「実は……」
 彼はある時、アジュガのテントの近くを通ったという。そこでは香が焚かれており、風に甘ったるい強い香りが流れたというのだ。
 アジュガにお香の趣味があっただろうか。
 不思議に思ったが、興味は突然わくこともある。兵士はそう考え通り過ぎようとした。
 だが中から声がした。
 うめき声だ。
 アジュガに何かあったのではと思い、テントに入ったのだ。
 中でアジュガは泡をふいて倒れていた。
 軍医を呼び、手当を受けさせる。
 原因は薬物中毒だと判明した。
 あの甘ったるい香りはそれをごまかすために焚いたもの。
 テントから見つかったのは、かつて禁止された薬草だった。
 兵士はそれを見てしまったため、アジュガにより蟄居を命じられたが、いよいよ命の危険を感じ逃げ出したのだという。
 それからしばらくしてロータスの帰還を知り、伝えなければと王都へ戻ったというのだ。
「あの頃、アジュガ王子殿下は行動もおかしかったのです」
「何がだ? 具体的に話してくれ」
「ロータス殿下の婚約者の、クレマチス様を妻にすることになったのですが、彼女は逃げ出してしまって」
「それは聞いた」
「いえ、結婚前です。その時はまだアジュガ王子の薬草使用を知らぬ時だったのでおそばにいたのですが……」
 アジュガとクレマチスがどうして結婚することになったのか。
 まるで周到に用意されたワナだ。
 ロータスは彼女に何かあったらと思うと、たまらないほどの怒りで下腹部が燃えるようだ。
「正気じゃない」
「おっしゃる通りです。ロータス殿下、でも、アジュガ王子をおとしめるつもりはないのです。全てあの薬草が……いえ、あれも戦に傷ついた戦士のために作られたもの、戦争が悪いのです」
「戦を起こしたのは……それはまだわかっていない。だが兄上は自らそれを常用したのだろう。姉上の時にも思ったが、ふしだらだ。そんな方だと思わなかった。兄上はいつも、冷遇されている私を守って下さった……」
 そこまで言うと、ロータスは目頭にこみ上げるものがあり目元を覆う。
「アジュガ王子が正気でいらっしゃる時、私も尊敬しておりました。とても良い方だ、と。こんなことになって、私も悔しいのです。アジュガ王子に立ち直って欲しい。ロータス殿下なら理解して下さるものと……」
「今は無理だ。クレマチスを危険の中に放っておいた。君らにも、見つけはしても連れてくるなと言ったのだろう? ありえない話だ。恐怖を植え付けて言うことを聞かせるなど」
 ロータスは喉が腫れるように感じるほど、はっきりとした怒りを覚えてしまった。
 今日は何なのか。父にバカにされ、兄に裏切られ。
「王子~」
 窓からフェンネルが顔を出す。
 兵士は驚いたが、声は出さずロータスを見た。
「フェンネル」
「……どうしたんですか? この人は?」
「……彼は兄上の精鋭の一人だった。ロックランドでも交戦したはず」
「ほおぉ。よろしく」
「よ、よろしく?」
 フェンネルはひょいっと部屋に入り、兵士に手を差し出した。
 兵士は毒を抜かれたように目を丸くしその手を握る。
「それで、どうしたの。王子。なんか声がきつくなってるよ」
「どうもこうも、アジュガ兄上は正気ではなかったようだ。まるで裏切りだ」
「王子、問題はその薬草がなぜアジュガ王子殿下のもとにあったかなのです」
 兵士はロータスに必死に食い下がった。アジュガを恨むな、と。
「ご兄弟の不和を望んでなどいません。全て戦と薬草のせいなのです。アジュガ殿下が正気であれば、クレマチス様への態度もきっとまともなものであったはず」
「……」
 兵士の懇願は理解出来た。
 ロータスも、彼が正気を失っているだけだと信じたい。
 彼はいつも自分を守ってくれていたのだ。
 だが戦争でおかしくなってしまったと。
 そう信じたい。
 だがそのために、誰かを傷つけて良いとも思えない。その言い訳は受け入れられない。
 ロータスも世間知らずではない。
 禁止された薬草の使用者が、正気を取り戻すため自らと戦っている話をよく聞いた。
 彼らの努力を思えば、やはりそれを言い訳にするのはずるいと思うのだ。
「兄上と争うつもりはない」
「良かった……」
「だが言い訳は受け入れられない。真実だけが頼りだ。兄上を蝕むそれは、今となっては王国で禁止されている。どうやって手に入れているのか、それを知る必要がある」
 ロータスは必死にそう言いつくろい、自分を納得させる。
 だが本心はもっとめちゃくちゃだ。
 帰る場所を奪った!
 愛する人を奪った!
 あなたの代わりに敵地に行ったというのに!
 暴れてしまいたい衝動を辛うじて抑え、代わりに息を吐き出す。
「王子」
 フェンネルが眉をよせ、ロータスの肩に手を置く。
「君らと出会ったことは幸運だと思っている。人質として行ったのが、シリウスのもとだったことも。君らが無実だと言うなら、それも知らなければ」
「俺も手伝います!」
 フェンネルはバンザイして協力を申し出た。
 ロータスはこれ以上巻き込めば、彼に身の危険がふりかかるのではないか、そう考え「ダメだ」と言った。
「なんで?」
「君が苦しむことになる」
 シリウスはスティールが裏切り者ではないか、と考えている。
 そうならば、スティールの近くにいながらロータスと親身にすればフェンネルは危険だ。
「シリウスを信じるだろう?」
「もちろん」
「だったら大人しくしているんだ。私のもとに通っていることも秘密にして、スティール殿に従っていた方がいい」
「シリウスの旦那を信じるのに、スティールのアニキに従えって?」
「今はそれが良いはずだ」
「王子、俺バカだからさ、かけひきとか出来ないんだ。でも誰を信じたら良いかはわかるよ」
「裏切られるかも知れないぞ」
「そうかな。俺が勝手に決めたことだよ、誰を信じるかも、どう行動するかも。裏切られたとして、でもその人を信じたのは俺。腹は立つけど、その人のせいじゃあないよ」
 フェンネルの言葉にロータスはどきりとし、ちりちりと胸が痛む。
 言われてみればそうだ。
 アジュガの身代わりを申し出たのは自分ではなかったか。彼が指名したか? そんなことはしていない。
 クレマチスのことはまた別問題としても、ロータスを犠牲にするつもりはなかったはずだ。
「……」
 さっきまで怒りが吹き荒れていたが、それがふっと凪いでいく。
 ロータスは幾分か冷静になった頭で考えた。
「……」
「殿下……」
 兵士がおそるおそる、声をかけた。
 ロータスは彼を見る。彼もまた犠牲の一人だ。だが信じるもののためここまで来たのだ。
「君、名前は?」
「は、イオスと申します」
「イオス。……さっきは頭に血がのぼっていた。許してくれ」
「い、いいえ。私も恋人をあんな目に遭わせられたら、冷静ではいられません」
「クレマチスを守って下さるとそう思った。兄上は私との約束を違えたことなどない……だが、本当ならばその役目は私が全うしなければならなかったのだ。そうしたかったのに出来なかった。全て私の弱気のせいだ。それを何かのせいにすることは出来ない。……目的は変わらない。この馬鹿げた戦の原因を探る。力を貸してくれ」
 ロータスがそうはっきりと言えば、フェンネルもイオスも頷いて答えた。
「よし、やるぞ~!」
「全力でお供いたします!」

次の話へ→Tale of Empire ー復活のダイヤモンドー 第20話 告白

 

 

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