ダリアの町外れで馬車を即席の寝床にし、野宿する。
サンという男は帝国特殊捜査機関のメンバーだという。
不運から逃れ、良い巡り合わせを得た、とシリウスは冷静に考えた。
よく婆は「幸運の前は不運になるもの」と言っていたが、まさしくそうなのだと実感する。
ベリル達が無事でいたことも、再会の瞬間には突然すぎて反応が出来なかったが、神に感謝したいくらいだ。
夕食の準備中も、夕食の時も、クレマチスはシリウスを一切見ようとしなかった。
シリウスが思った通り、彼女はウィンド家の令嬢でロータスの婚約者だったというのだ。
シリウスは仇だろう。彼女からロータスを奪い、そのために彼女は思わぬ相手と結ばれてしまったのだから。
重い息を吐き出す。
月は細く、星の方が光が強い。
その下にはロータスにとっての希望の花。
その横顔が気になり、つい目で追う。
炎に照らされる目は、角度によってその色を変えていた。
旅で疲れたような顔は細く華奢だ。ジャスパーにからかわれたものだが、確かによく見れば男装の娘だとわかる。
化粧をまるでしていないが、整った顔立ちをしていた。きちんと身なりを整え、ロータスと並べば絵になる二人になるだろうと想像出来る。
隣にベリルが腰をおろした。
「……あの子が気になるの?」
「……いいや。なんといえば良いか……」
「何かあるのね?」
「ああ。上手く話せないが、さっきも言ったとおり、俺を監獄から逃がしたのは王子だ。彼には恩が出来た。だが俺がしたことは、結局彼からあらゆるものを奪うことになっていたと気づいた」
「順をおって聞く必要がありそう。あの子も聞いておいた方が良いのかしら」
「……聞く余裕があるか?」
「どうかしら……」
ベリルは心配そうに彼女を見た。
その視線は珍しく感情があった。まるで姉のような、親しみを感じさせる視線。
「そっちも色々あったんだろう」
「まぁね……何から話せばいいか……」
ベリルはあくびし、水筒に口をつける。
「……予言を焦りすぎたの。長老の言ったとおり、あれは不完全だったし、意味がわかってなかった」
「予言……焦ったとは?」
「ベリー家の末裔とは私のことだと思ってた。でも、そうじゃなかったの。……」
ベリルはそっとクレマチスを見た。
シリウスはその視線を追い、眉を顰める。
「……彼女がそうだと?」
「……ええ。帝都へ行ったことは、全く無駄じゃなかった。オウルが旅だったこともね……」
ベリルの話が終わると静寂が訪れた。
クレマチスがなぜロータスを待たず、アジュガと夫婦になってしまったのか。
命の危機を植え付けて花嫁にするなど、とんでもないことだ。ただでさえ戦の緊張感があり、そんな中では男は女性を攻撃的に求めるもの。オオカミの群れに突き落としたようなものだ。
そんなやり方をするのなら、結婚生活は遅かれ早かれ破綻する。
その時彼女は人生を取り戻せるだろうか。
たとえ父王の命令だとしても、アジュガのやり方にはいささか嫌悪感を抱いてしまう。
「家族や古里も理由にされれば逃げ道がないな……」
「長老……オウルと出会えたから良かったものの、一週間も放りっぱなしにされて心身無事でいられるわけない。アイリスはウィローのような穏やかな国ではないもの……シリウス殿、アジュガ王子とは面識があるのでしょう? どんな方だった? 彼が横暴な王子だというなら、今後戦闘になったら注意が必要になってくるわ」
「会っている時、横暴さは感じなかった。が、時々言うことがおかしい。そうだな、ロータス王子が人質にならなければ、竜人族など冬の間に蹴散らせた、と。王子が人質になったのはアジュガ王子を庇ったためだ。ずいぶん都合の良い言い方をすると思ったもんだが……」
「そんなことが?」
「それに匂うんだ。人柄がどうのじゃない、あれはどこかで匂ったことがある。……つい最近のはずだ」
「え?」
ベリルは眉をよせた。彼女はこれほどまで感情を素直に見せる女だっただろうか?
シリウスはそれを口にはせず、記憶を辿る。
美しい布が風に揺られ、そこに甘くほろ苦い匂いが混じっていた。
そうだ、踊り子風の女がつけていた匂いだ。媚薬のような。それに近い何か。
「媚薬……いや、違うな。あれは媚薬じゃない。確か、人を惑わせる薬草だ」
「薬草……?」
「そうだ。外傷甚だしい時、まともに意識を持っていたら狂い死にしてしまう。一時朦朧とさせるために使う物だ。アイリスで栽培されているはずだぞ。戦士のために……」
「……それを健常者が使えばどうなるの?」
「痛みで頭が焼けそうになってる時に使うから朦朧とするだけで済むんだ。健康状態で使えば、朦朧どころか興奮状態になる……酒に溺れた奴と一緒かもしれない。その後は記憶が曖昧に……だったか? 婆はどう言っていたか。どっちにしろ、良いはずはない」
「一国の王子がそんなものを使用していると?」
「彼は王子であり、戦士でもある。普通の人間がまともな精神状態で戦闘を続けられると? 死ぬか殺すかの極限状態だぞ、薬草に頼ることもそりゃあるだろうさ。だが、常用しているのなら問題だ。まともな判断が出来なくなり、妄言や他人の命を軽んじているならその可能性はある」
「……なんてこと」
「確かな話じゃない。俺はアジュガ王子の私生活は知らないんだ」
「そうじゃないわ。アイリスでそういった類いの薬草は3年前に禁止されたはずなの。あなたの言ったとおり、薬草使用者の犯罪が多発してたから。なのに、それが王子の手元にあるならば……」
「コネクションとの繋がりが疑われるということだ」
声とともに、サンの影が二人を覆った。
旅の準備のためダリアの大通りに戻る。
シリウスは彼らとともに王都へ戻ることにし、そのために変装するつもりだ。
ジャスパーと同じくエリカ王国から輸入されたものを選び、銀髪を隠すため染料を買う。
そのジャスパーはクレマチスと一緒にいるようだ。ベリルが言うには二人は気が合うらしく、兄妹のようだと。
ジャスパーは面倒見が良い。シトリンの初恋相手だったはずだ。
それからナイフを見繕う。カネを払い、それを懐に納めて再び歩き出す。
まだ朝のためか、昨日のような商売女はいないようだ。代わりに大道芸人達がきそって広場で人々を楽しませている。
拍手と指笛が飛び交う中、シリウスは不穏な影を見つけた。
裏通りに通じる狭い道だ。まるで暴行を加えているかのような人影。
シリウスはつま先をそちらに向けた。
徐々に声が聞こえてくる。
「離してよ……! 離せっ」
若い女の声だ。少年かもしれない。それと下卑た男の声。
「うるせぇな、どうせ商売女なんだろ? 買ってやるからとっとと脱げよ!」
シリウスは壁に身を隠し、様子を伺った。
よく日に焼けた金髪の男が、黒髪の少女を襲っていたのだ。少女は衣服の肩が破られても、必死に抵抗している。
シリウスはナイフを手のひらにおさめるとタイミングを計る。
「いい加減にしろよ、ぶつぞ!」
「朝っぱらからさかりやがって、何が平和を守ってやってる兵士さまだ」
少女は口調を荒げると猫のように手を繰り出し、爪で男の頬をひっかいた。
男が頬をおさえ「テメエ!」と怒りを露わにした。
シリウスはその間を逃さず、ナイフの柄で男の頭部を叩き、体を引っ張るとその背中を壁に叩きつけた。
一瞬のことに受け身を取れず、男は気を失う。酒臭い。
シリウスは男をずるずる引っ張って更に物陰に押しやる。念のため太ももに切り傷を加える。これで意識を取り戻してもすぐには走れないはずだ。
それらを終えると少女を振り返る。
彼女は猫のような大きな目をシリウスに向け、はっと呼吸を取り戻すと、露わになった胸元を隠し、恥ずかしげに脚を閉じた。
透き通るように白い肌、脚。その仕草はやけに艶めかしくもそそるものがある。
シリウスは喉にせりあがってくる熱を振り払うように首をふり、先ほど買った大きなスカーフを彼女に投げて渡す。
「……ありがとう」
返ってきた声は見た目より落ち着いている。少年のようですらあった。
黒髪を頭の上の方で一つにまとめている。
それを留めているのは金の飾り。髪を一周する輪のデザインになっており、異国情緒を感じさせるものだ。
破られた衣服は薄い布を重ねたもので、シリウスにはよくわからないものの、上等なものなのだろう。風に揺れるさまは優美である。
両手につけている腕輪も同じく金だ。細かく模様が彫られている。
だがどこぞの貴族、富豪の娘という雰囲気でもない。いうなれば野良猫。
その少女が高級品を身につけ、しかも17,8歳に見えるが、豊満な色気がある。
商売女と言われても、納得してしまいそうな怪しい気配が確かにあった。
「一人で出歩くのは感心しないな」
そう告げると、少女はシリウスを振り返り大きな目をさらに見開く。
「朝なのに? あたしに自由はないの?」
「そうじゃないが、せめて歩く場所は考えた方がいいんじゃないか。ところで家は?」
「聞いてどうするの?」
「どうって……」
少女はそう言いながらどんどん歩いて行く。
林道を行き、更に奥へ。
「さっき場所を考えるよう言ったところだが。見知らぬ男と二人なんだぞ」
「あはは。過保護だね、お兄さん。家はないの。ここあたしも知らない土地。でも、こっちは人がいないっていうことくらいはわかる」
「ならなぜ……」
シリウスが訝しむと、少女は林道から離れた所に生えていた巨木の前で足を止めた。
そして振り返り、シリウスの腰に巻いていたベルトを掴む。
「おい」
「お礼させて」
少女はシリウスのベルトを指先で辿り、バックルに手をかけた。
予想外だが予想通りの動きに、シリウスは慌てて少女の手首を掴んでやめさせる――はずが、小さな手はシリウスの手をするりと抜け、カチャカチャとバックルを弄び始めた。
「やめろ」
「やめて欲しい? どうして?」
「こんなことを目的に助けたわけじゃない。第一、すぐそこまで送ると言っただけだぞ」
少女はバックルを外すのを諦めた。シリウスはほっと息を吐き出す。
これで解放されるか、と思った瞬間、少女はシリウスの胸元に手を差し入れ、そこを撫でた。
じわぁ……っと産毛が逆立つような快感。撫でられた部分から急速に体温が上がり、少女の放つ女の匂いに喉が苦しくなるほど欲情する。
「待ってくれ」
出た声は、自分でもそうとわかるほど吐息混じりだった。
「待つ? ねえ、ほんとにそうして欲しい? こっちはもう我慢出来ないんじゃない?」
そろっ……と少女の手が脚の付け根を這った。
その慣れた手つき。
本当に商売女なのではないか? シリウスはそう必死に考え、迫ってくる熱に抗おうとする。
布が擦れ、モノが刺激される。熱く溶けそうな、それでいて刺すような快感だ。
唇を噛み、息を殺す。
「やめろ」
少女の肩を掴んでなんとかそう言うと、少女は瞳孔の広がった瞳でシリウスを見つめてくる。
まるで底なし沼だ。
「さっき……」
少女が唇を開いて言った。
「あたしを見て、抱きたいって思ったでしょ? 男の人の視線の種類、ちょっとならわかるの。大丈夫、お礼だから。何も求めたりしない……」
少女はシリウスから少し身を離したかと思うと、髪飾りとスカーフを取る。
髪が流れる先は、破れた衣から白く輝くような肌。
シリウスは思わず喉を鳴らした。
細身の体に似合わぬ豊かな乳房に、初々しい果実のような頂きが見えている。
少女はそれを自ら片腕でかき抱くようにすると、シリウスの目元に指をやった。
「不思議な目……赤くなってる」
「なら、もうやめた方が良いぞ」
警告のように言うが、少女は興味を引かれたのかシリウスの目をじっと見つめ、指先で唇を撫でてきた。
じんじんと唇が反応する。
こんな感覚はいつぶりだろうか。
息が荒くなっているのが自分でも嫌と言うほどわかった。
「どうして?」
「……歯止めが効きそうにないからだ」
少女の肩を掴んで引き寄せる。
髪をかきあげて耳をむき出しにし、噛むように吸う。
少女の体が跳ね、それから固くなった。
お構いなしに耳に舌を這わせ、穴に舌先を突っ込むと歯を立てた。
「ひぁっ」
と、なんとも言えない声が少女の喉奥から出てくる。
揺れる細い腰を強引に引き寄せ、布越しに尻を撫でる。どこもかしこも柔らかく、適度にしまって撫で心地が良い。
「たまらないな。踊り子か何かか? ん?」
少女の片足を持ち上げる。身長差のせいでなかなかうまく噛み合わない。シリウスはその場に座り込むと、少女を自分の足の上に跨がらせた。
「それ、やったことある」
少女は楽しげにするとシリウスの肩に手を置き、そう答えた。
「誰かに請われた?」
「うん、そう。踊るの楽しいけど、そんなに……あぁっ」
白い乳房をもみくちゃにし、果実のように色づく頂きを親指でぐりぐり押せば、少女は声をあげた。
「そんなに?」
「……っ、はあ、そんなされたら、答えられない……っ!」
シリウスはまだ柔らかい頂きを吸った。舌でつつくと、口内でみるみる固くなっていく。
少女は背を仰け反らせた。細い首筋、鎖骨が無防備に晒される。シリウスは誘われるように胸の谷間から舌で辿り、そこを目指した。
手の中で胸はシリウスの思い通りに形を変え、肌が吸い付いてくる。こりこりになった頂きが手のひらにあたりくすぐったいが、それすらも体に熱を生じさせた。
堅くなった下半身はぐんぐん自己主張し、布ごと天を向く。
彼女の耳元からは花の蜜のような甘い匂いが漂ってくる。
強くなるそれを嗅いでいると、頭が酔ったようになってきた。
取り去られたスカーフを地面に敷き、少女の背中をそこに預ける。
シリウスは上衣を脱ぐと、少女の下着ごと緩やかなズボンを脱がせた。
木漏れ日の下、少女と思えないメリハリの効いた裸体が晒される。
その細い脚を開かせ、シリウスは体を割り込ませた。これでもう抵抗は出来ない。
「何者なんだ、君は?」
シリウスは覆い被さり、唇を求める。彼女はそれはダメだとシリウスの口元を手で覆う。
やはり商売女か、とシリウスは目星をつけた。
「教えたらどうするの……?」
唇の代わりに首筋に顔を埋め、女の匂いを嗅ぎながら甘く歯を立てる。少女の体はびくびく震え、腰を揺らした。
「さあ……どうするかな」
シリウスは胸から肋骨、肋骨からへそへ。かすめるように手を移動させ、内ももからそのくぼみを撫でる。
少女はそれにもすら良い反応を見せた。シリウスか、愛撫を気に入ってる証拠だ。
脚を更に開き、顎に両手をあて、祈るように口元を隠した。
「……可愛いな」
小さい手越しにキスをすれば、少女はシリウスを涙目で見上げる。目が合ったまま、ささやかに秘部を守ろうとする陰毛をかきわける。
たっぷりと濡れた小さな宝石のような粒は、シリウスの指が触れるとぴくっと震えた。
「もう濡れてる。なあ、外とナカ、どっちが良いんだ?」
つぷぷっ、と淫らな唇をなぞれば、とろとろした愛蜜が溢れシリウスの指を濡らす。それを彼女に見せ、濡れた指を咥えると舐めとる。
濃い味だ。一層下半身が昂ぶってくる。
「やらしい。お兄さん、カタブツだと思ったのに……当ててみて」
息があがったまま、少女は生意気にもそう言った。
シリウスは何やら楽しい気分になってくる。
気心の知れた知己といるような。快楽だけでない心地よさに余裕が出てきた。
すると少女が「あ」と声をあげてシリウスの目を見る。
「やっぱり、不思議な目だね。紫色になってる……綺麗」
「もっと近くで見てみるか?」
「うん」
少女は両手を伸ばし、シリウスが体を近づけると肩を抱きしめるようにした。
近くで目が合うと、少女の黒い目はきらめいて、宇宙のように複雑な色をしていると気がつく。
肘を地面につき、髪に手をやる。
頭を撫でると、少女は無垢に表情をくつろげ、気持ちよさそうに息を吐いた。
その頬は濃いピンク色にそまり、ぽってりと腫れたように色づく唇からは、白い歯と薄い舌が見える。
舌をからめ、熱ごと奪うように吸ってみたい。
そんな欲がわいてくるが、それはお礼の内に入らないのだろう。ぐっと耐えると、その分が腰に回る。
「紫色って好き……綺麗だよね。お兄さんに似合うな」
「そうか? 素直だな」
「そう? ねぇ、生意気なのと、素直なの、どっちが好き?」
「……当ててみろよ」
シリウスは右手を下肢に伸ばし、ぬるぬるになった彼女の秘部に中指を埋める。
「んん~……っ!」
濡れたように興奮の滲む甘い声が少女の喉から出てくる。
淫らな唇がシリウスの指を飲み込み、ナカへ誘う。襞が呼吸するように蠢き、シリウスの指を締め上げ、また緩んで愛蜜を溢れさせる。
壁を探り、狭い通路を抜けて、広間に入ると壁をノックする。
それと同時に親指で小さな宝石をいじめれば、少女は目尻に涙を浮かべて体を強ばらせた。
「まだ外の方が良さそうだ……」
「まだって何? ひゃあっ」
ずるっと指を引き抜くと、シリウスはズボンをおろしていきり立った自身を手でしごいた。
先端からはとっくに耐えきれない滴まみれで、痛いくらいに張っている。
首をもたげ、威嚇するうわばみのようなソレに、少女の手を取って握らせる。
小さい手では回りきらない。
そのまま濡れた少女の淫らな唇に沿わせ、熱をすり込むように擦る。度数のきつい酒でも浴びたかのような快楽に、全身が震えた。
裏筋が少女の指と小さな宝石になぞられ、尾てい骨から欲情にまみれた声が昇って出てくる。
「ふう……はぁ……なあ、お礼はどこまでだ?」
自身から出てくる我慢汁と、彼女の愛蜜が混ざり合い、ぐちゅぐちゅと絶え間なく音がなる。
鼓膜まで犯されている気分だ。
シリウスは自らが作り出した振動に揺れる彼女の白い乳房に顔を寄せ、甘いミルクのような匂いを嗅いで頂きを吸い上げる。
少女ははしたなく喘ぎ、土を握ると首をふった。
「はぁ、はあ……っ、ナカはダメだけど、出るまでして良いよ……」
「わかった……」
自身を握る少女の手を取り、腰のスピードを早めた。
挿入しているかのように体を動かし、柔らかい肌に自分の匂いをうつすようにすり寄せる。
汗ばんだ肌に舌を這わせる。しっとりとした肌はなめらかで、どこもかしこも甘く感じる。
腕をあげさせ、皮膚の薄い脇を舐める。
少女は体を跳ねさせ、「ふわあっ」と声をあげた。
「先にイかせてやる」
「あっ、えっ……あっ!」
指でぴんと張り詰めた小さな宝石をいじり、敏感な脇を舌で愛撫する。
彼女の脚に力が入った。
「あっ! あっ……」
きつく宝石を摘まむと小さな体はぎゅうっと堅くなり、次の瞬間にはつり上げられた魚のように跳ねた。
びくびくと秘部は震え、熱くシリウスのモノに吸い付くように動く。
彼女の絶頂を迎えたらしい体は一気に体温をあげている。額に汗が流れ、唇は震え半開きだ。
目をきつく閉じたために、再び開いた時はぼうっと鈍く光っている。
シリウスは彼女の目尻に浮かんだ涙を唇で拭い、震えたまま自身を握る手を強く握る。
「もう少し我慢しろよ」
「あ、わっ……」
ぬちゅっ、と一際大きな音がして、愛蜜がシリウスのモノに絡みついた。
少女の指先を先端に導き、肌を打ち付けるようにすり寄せる。
「……っ!」
少女の声にならない声が、パンパンに張って、今すぐ解放を求めるソレを強く刺激した。
「出る……目、閉じてろよ……!」
ぐじゅぐじゅに、やや乱暴に。うわばみの首の部分をぐっと握ると、いよいよ出口を見つけた熱い奔流が押し出てくる。
「ぐうっ……!」
シリウスは声にならない声をあげ、ようやく欲望を解放した。
びゅくっ、と勢いよく飛び出る白濁液は、すぐに止まりそうにない。
長い間押しとどめられていたのだ。
久々に取り戻した快楽に溢れるものは、どろどろしていた。
息を殺したようにしていた少女の、白い腹部に、乳房に、首元に、マーキングするように飛び散っていく。
震える手を離せば、少女もまたゆっくりと手を開いた。
最後まで欲望を吐き出し、息を吐くと、どっと疲れが襲ってくる。
少女の体にかぶさり、形の良い額に何度も口づける。そのまま頭を撫でると、少女も応えるようにシリウスの背を撫でた。
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