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Tale of Empire -白樺の女王と水の貴公子ー 小説

Tale of Empire -白樺の女王と水の貴公子ー 第28話 バーチへ

 内ももに何か這っている。
 ぬるぬるとして、生暖かい。
 時折唇をすぼめるように動いたかと思うと、きゅうっと肌に吸い付いてくる。
 痛みを与えるためというよりは、むしろ愛撫に近い感触だった。
 嫌だ、と足をすり寄せそれを剥がそうとするも、それは一瞬身を離した後再び吸い付いてくる。
 これは一体何なのだろう。
 ミミズのような、ヒルのようなイメージに近い気がする。
 シルバーは、それが内ももから更に体の中心に近づくと気づき、ぎゅっと目を閉じて叫んだ。
 その瞬間に目が覚める。
 心臓が早鐘のように打ち、眠りから覚めたというのに休んだどころか全身はぐったりしている。
「……また、あの夢……」
 寝間着をめくって確認すれば、内ももには何本ものミミズ腫れのような赤い痕。
 今回は手首にも同じものが出来ていた。
 どんどんそれの行動は激しくなっている気がする。
(まじない師にでも夢祓いをお願いしてみようかしら……)
 真剣にそう考え、コルセットを巻いて服を着替える。
 カーテンを開ければ差し込むのは明るい日差し。
 空はからりと晴れ渡り、夏の空になっていた。

「川と水の流れる道筋に沿って、立ち入れる場所と入れない場所の選別がついてきました」
 城下町に集まった民衆の前で、シルバーは諮問機関のメンバーとともに説明する。
「ここは橋が埋まり、渡れません。そのため東南の街・集落・村にお住まいの方々は帰るまでに時間がかかりそうです。もうしばらくここに留まり、指示を待つように」
 シルバーが地図を指しながら説明すると、民衆はそれぞれ意見を交換しながら頷いている。
 一人から手が挙がった。
「新しく道を造った場合、どうなりますか?」
「道に関しては水を抜くのか、人工池を造るのかまだ未定です。前者の場合、水を抜くため支流を造りますから、道はそれに合わせて考えていくことになります。後者であれば既存の道を強化することになります。どちらであっても水の脅威を減らすのが目的ですから、避難せずにすむ、もしくは避難期間を減らせるでしょう。主に利用するのはあなた方になりますから、意見があればあちらの投書箱にどんどん入れて欲しいわ」
 ざわざわと皆何か言い合っている。
 森林についての話もする予定だ。博士たち林業に携わる者達はその準備を進めていた。
 苦情や批難の声は減っている。疲れているだけなのかもしれないが、目の前の災害に立ち向かわねばという共通の目的のお陰かもしれなかった。
 セッケイ岩と竜の話は未だに解明されない。
 それどころかスピネルという新たな謎が出てくる始末だ。
 シルバーは流石に目の回る感覚を味わった。
 夕食を終え自室に入ると、ふと一人が寂しく思えてくる。
 寂しいというより、心細いのかもしれない。あの夢を見ると思うと憂鬱だ。
 痛いわけではない。
 だが見知らぬ者に体を好きにされるというのは、恐怖以外の何者でもなかった。
 眠らなければ良い、と思うものの必死に働いた後は気絶しそうなほど眠い。
 結局睡魔に克てず、まぶたを下ろすとすぐに意識が遠のいていった。

 濡れたように輝く鱗が蠢いている。
 シルバーはまたあの夢を見ていると気づき、すぐに起きてしまおうと試みる。が、赤い舌が伸びてきて腰を絡め取られると抵抗出来ないまま引き寄せられた。
「放しなさい」
 と厳しく言うが、かえってきつく締め上げられ声が出せなくなった。
「ここで私に逆らえるとでも?」
 あの美しい声が聞こえてくる。だが人の姿は見えない。
(どこから話しているの?)
 腰に巻いた舌が徐々に降りて、尻を撫でた。
 体が跳ね上がり、よろめくと鱗にもたれてしまう。
「一体、なんの、つもり? きゃっ」
 スカートが持ち上げられ、足を舐めるように舌先でなぞってくる。
「何のつもりか……君ら人間とは違う『つもり』だな……」
「どういうこと……」
「理由を聞けば君はどう動くというのだね」
「そんなの……」
 手首をぎゅっと掴まれる。いつもの大きなミミズのようなものに……次目に入ってきたのは赤い目だ。
 だがいつものような竜の目ではない。
 人のそれそのものだった。
「シルバー。バーチの女王よ……ここはね、とっくに私の王国なのだよ。君が女王だというなら、すなわち君は私の妻だ。その役目を果たせと言えば、納得するか?」
 赤い目に釘付けになり、他が視界にすら入らない。
 シルバーは目を閉じることすら出来ず、ただ赤い目を見た。
「……あなたの王国?」
 出た声は震えていた。
「そう。バーチの王と契約したのだ。邪魔者を消し去る代わり、ここは私の王国として譲るように、とね。だが歴代の王は面白みがなく退屈していたのだよ。そこにシルバー、君が現れた。その熱心さはなかなかに興味深い。それに、芳しい女の香りまでしてきたな……処女は捨てたのか」
 どこからか手が伸びてきた。人間の男の手。
 顎を掴まれ、顔を上向かせられる。
「王と契約など、私は知らないわ」
 日記にもそんなことは書かれていない。首都でも確認を取ったが、公式には何も記されていないのだ。何かの間違いだろう。
「ほほう。だが私の名は見つけたはず。知らないとは言わせない、我が名はスピネル――」
 シルバーがはっ、と息を飲むと、スピネルを名乗る者は「ふふ」と笑った。
「新たに契約を結んでも良い。この国を救いたいのだろう? エメラルド川の水害を鎮めて……」
「……その対価は……」
「良い子だ、シルバー。都合の良いだけの話は存在しないからな。そうだな、我が王国をもっと栄えさせるのだ。君にとっても宿願だろう? お互いの目的は同じ」
 すっとスピネルの指がシルバーの唇を撫でた。そのまま口内に侵入してくる。舌の表面を撫でられ、シルバーは目に涙を浮かべた。
「私の妻になれ」
 首を横にふり、必死に手を動かす。
 何かないか、ここを脱出出来る何か。
「強情だな。君の一存で国が救えるというのに」
 スピネルが頬に触れた、と感じた次に、耳元で囁かれる。
「人間の男より、もっと気持ち良い思いをさせてやろう」
 ふっくらとした胸に手がより、舌が内ももを登っていって――シルバーは何かを左手に掴み、それを思い切って突き出す。
 赤い血が流れた。
 そう見え、ざざざっと音を立てて鱗が動き出す。
 シルバーは体を解放され、その場に座り込んだ。
 スピネルの気配が遠のいていく。
「クソッ、なんというものを……!」
 スピネルは忌々しげにそう言って、夢から出て行った。
 翌朝、シルバーが目を覚ますと、左手は白い羽ペンを握っている。
 そのペン先には赤いものが滲んでいた。

***

 風をとらえる確かな羽を広げ、シャムロックが夏の空を飛んでいる。
 行く先は北――バーチである。
「我らは先行しますが、軍もまた支援のため行動するようです。アンバー隊長の隊と入れ替わりですね」
 ラピスがそう説明し、オニキスは頷いた。
「アンバー隊長も長期に渡っての活動だったな」
「あの人は体力の塊みたいなものですからね。もうしばらくバーチに留まると言うかも」
 ブルーはそう言って馬車に跨がる。
 運転は交替だ。彼は各地へ巡回する隊に所属していたため地図をよく知っている。はじめは任せることになっていた。
「そんな権限があるのか?」
「今上陛下は割とそうやって指示しますよ。現場じゃ何が起きるか分かりませんから、ある程度は任せてくれるというか」
「とはいえ家族のいる兵士もいるだろうしな」
「夏の北国なら過ごしやすいのかな。こんなこと言うと顰蹙ですかね……」
 ルピナスは初めての旅に緊張した様子を隠さない。
「いいんじゃないか、どんな所にも良い点はある」
 サンはそう言って、もう一台の馬車の点検をはじめた。ナギがそれを手伝っている。
「アンバー隊長たちが道をある程度整えていったはずですから、多少は予定より早まるかもしれませんね。一週間から10日……うーん。途中で物資を補充しつつ行きますか」
「そうだな。寄るところをしっかり見ていこう。では、出発」
 オニキスはフェザーを走らせた。
 フェザーも久々に走ることが出来るためか、活き活きしている。
 ブルーの先導のためか行程はスムーズだった。
 5日がすぎ、風景はずいぶん変わってきている。北国の涼しい風が吹くようになり、髪が湿った感じさえしていた。

***

 アンバーが報告に現れた。
「帝国特殊捜査機関が設立されたようです」
「特殊……捜査機関ですって?」
「ええ。皇帝陛下ではなく帝国そのものに仕え、その安寧のため働く機関だと」
「誰からの報告なのです?」
「軍で育てている鷹を通じてです。そこに記されていた内容ですが、帝国内で犯罪行為を行うコネクションなる組織があり、そこで起きた人身売買はバーチが関わっている可能性が高いと。その捜査のためここを訪れるということでした」
「人身売買ですって?」
 とんでもない話にシルバーは眉をつり上げ立ち上がった。
「コネクションなる組織?」
「はい。詳しい説明をするためにも、捜査機関長官は面会をとおっしゃっているようですが……」
 返事を如何しましょう、とアンバーは訊いた。
 シルバーは気持ちを落ち着けるため、扇を開いて口元を隠す。
「それは信用出来るものなのですか?」
「おそらくは。印鑑は新しく造られたもので真偽は確認出来ません。氏名も紙に書き切れなかったのか書かれていませんし……が、これを届けた鷹は確かに軍のもの。私と入れ違いになるのを避けるため連絡を取ったようです。そして書式は軍のもの。信用は出来るのではないでしょうか」
「では、まず会うわ。ただしアンバー隊長、あなたも同席して下さい。軍の者かどうか、見極める必要があります」
「御意。では会う用意があると返事します」
「ええ」
 アンバーが王座の間から出て行く。その背中が見えなくなると、シルバーは額を抱えて背中を丸めた。
「なんてこと……」
 ただでさえ水害という国難の最中にいるというのに。
 あれから悪夢を見ていないのが救いだ。お陰で頭はすっきりしている。
 だが白い羽ペンは、そのペン先を血のような赤黒いもので汚れてしまった。
「はぁ……」
 思わず大きなため息をつき、来る捜査機関とやらとどう接するかをまた考える。
(中央からの使者ならば、侮られてはいけない)
 とにかく城内を徹底的に磨かねば。
「こんな時に! もおぉ!」
 シルバーのかんしゃくが王座の間に響いた。

***

 野営のためテントを張っている時、アンバーからの返信が届いた。
 ブルーは小さな紙を広げ、内容を確認する。
「女王殿下はお会いになると。その時はアンバー隊長も同席するみたいですね」
「その方が賢明だな。捜査機関はまだ知られていないはずだ」
「信用されていないと言うことですか?」
 ルピナスがそう訊いてくる。オニキスは頷いた。
「ああ。バーチへ中央から使者は滅多に行かぬ。ほとんど見捨てられていたようなところがあるようだ」
「へえ。詳しいのね」
「女王殿下がそうおっしゃっていた。送迎の数も少なく、使者は道のせいでいくらでも遅れてくると……首都との連繋が上手く行ってないんだ。不満もあるだろうが、それすら訴えられない」
「土地のせいか?」
 サンが訊くと、ブルーが両手を頭の後ろで組んで答えた。
「それもあるな。晩秋から雪深くて動けなくなるってのがでかい。加えて雨期のぬかるんだ土地、初夏の水害。それを工事するために他の季節は丸つぶれさ。使者を受け入れる余裕も出す余裕もないんだろう」
「雪か」
「あんた、雪国は初めてかい?」
「ああ。ずっと首都にいた。それでこの大荷物なのか?」
 サンが荷馬車を見つめる。
 そこには食料の他、薪に毛皮の類いも用意されていた。
 捜査のために、長くバーチに留まる可能性があるとサンは気づいたようだ。
「そういうことだ」
 ブルーはさすがに慣れているようで、皆に説明を始めている。
「まあ、でもほら、バーチの女は良いぞ。おしとやかで、肌はなめらかな輝くような乳白色……」
 ジャスミンの刺すような目線に気づいて、ブルーはわざとらしく咳払いをする。
「乳白色のにごり酒があるんだよな。これがまあ、喉が焼けるようにきついんだが、甘くて美味いのなんのって。いやあ楽しみだね」
「ジャスミン、おおめに見てやれよ」
 オニキスがそう言うが、ジャスミンは不機嫌を隠さなかった。
 彼女の妹分が男の下心で泣かされてきたのだ、無理はないが。
「ブルーは悪い男ではない」
「わかってるわよ。男女どっちにも嫌なやつがいるのもね」
「ああいう男は案外、女性をあがめているものだ。だから疲れた時に女性に触れたくなるのだろう」
「へえ? それは意外ね。オニキスもそうだって言うの?」
「私は……」
 あがめているのとは違う気がした。
 だが好むのは上品な女性だ。外見や言動がどうのというより、誇り高い女性。
 ジャスミンもそういうタイプだろう。好ましく思っているものの、仲間以上の感情は持たないが。
「あがめてはいないが、尊敬出来る女性は好きだな」
「ふーん」
 たき火で湯を沸かし、干した食料を調理する。
 バーチへはあと4日といったところだろう。
 川の水位は上がり、音はうるさくなってきている。
「量がとにかく多いな」
 オニキスがぽそっと言うと、ラピスが反応した。上下関係がはっきりして以来、口調は変化した。
「水ですか?」
「ああ。バーチは以前とはその地形を変えている。そのために水を蓄えきれなくなったのだろう」
「では水害を止めようと思うなら?」
「一番良いのは湖があった時のように、人工でも池を造ることか。ただしかなり大きな池が必要になりそうだな。支流を造って逃がすのも考えねば……」
「オニキス殿ならどのように支流を造りますか?」
「人工池を小規模でも造り、そこから水を溢れさせ、それを流す支流を造る。出来れば農地に近い方が良いだろうな。それが今出来る範囲だと思う」
「溢れさせるのですか?」
「ああ。今ある技術では、焦って抜いても支流のための堤防か溝がつぶれるか、下流が詰まって氾濫するか……形が定まってきたら池を広げて貯水出来るように……」
 オニキスは頭の中で図案を描くが、バーチの資材を知らない。
 そこまで考えて手を打った。
「まず現場を調べることだな。道路の様子もあるだろう」
 テント内ではルピナスが一足先に眠りについていた。体力面で劣るため、仕方ない。
「橋をかけるのも良いのですかね」
「必要になるだろうな。ブルー、君から見てどうなんだ? バーチの国力は」
「国力ですか? 俺が最近で行ったのは今から1年くらい前ですから、大したことも言えませんが……正直物がないとかってわけじゃないです。鉱山もあるし、動物もいる。毛皮なんかの輸出品も多いですしね。ただ、森林が変ですね。腐った匂いとかしますし」
「殿下もおっしゃっていたな。カビなんかが発生して病気が流行りやすいのだったか」
「ああ、そうですね。だから立ち入り禁止区域も多くて、切り拓けば良い土地になりそうだけど、管理しきれないのが難点なのかな」
「そうか……」
 オニキスは暗渠排水を考えるなら、何を材料にすべきか考えてしまう。
 昔取った杵柄とでも言うべきか、ウィローで学んだことが次から次に沸いてくる。
「焼き物の筒を埋めるか。それとも筒状の植物か何かあるのだろうか。参ったな、これを調べてくれば良かった」
「長官。それは俺たちの仕事じゃないんじゃないか?」
 サンが冷静に言い、オニキスは首をかいた。
「……確かに。俺は招かれたわけでもない」
「助言なら公式でなければ良いのですよ」
 などと言ったのはラピスだ。ブルーが顎をさすって彼を見た。
「面白いこと言うねえ」
「ラピス、君は時々恐ろしいな」
「だがそういうものです。必要な時もあるし、それが毒になることもある」
「難しい話になってきたわ。どうしてそう、回りくどいの?」
 ジャスミンは呆れたように肩をすくめた。ラピスは彼女を一瞥すると表情をひきしめる。
「なぜでしょうね。一定の線を超えてはいけない、という戒めかもしれない」
 ラピスの目は冷たかった。

 3日後の朝。
 帝国軍が迎えに来たという。
 オニキスは皇帝から預かっている長官の証を見せ、確認してもらうと礼を受けた。
 牛が連れられていたが、牛車を組み立てるとそこに資材を乗せていく。
 シャムロックがまた飛んでいく。アンバーに報告するのだ。
 切ったような山道を登り、そこからエメラルド川が街を飲み込んでいくのを見る。
 朝の太陽光を浴びた水面はなんとも美しい。
 だが押し流すようなその水の塊は、まるで一頭の化け物のようでもある。呼吸するようにうねり、波打ち、そして木々を倒して流す。
「飲み込まれたら命はないな」
「翼があるのが羨ましいです」
 コーが上空を見上げてそんな感想を言った。
「明日の昼頃には城下に着くでしょう」
 軍を率いていた男が言った。
「女王殿下にはいつ会えるだろうか」
「明後日には。夕食を一緒に、とのことでした」
「そうか……」
 オニキスは自分の名前を出すべきか迷ったが、ブルーいわく鷹が持てる文書は小さな紙のため、要点をまとめたものと名前ではなく肩書きを書いた方が良いとのことだった。
(驚かせるだろうな)
 とは思ったものの、あのメモのようなものも公式の文書なのである。下手は出来ない。軍のやり方に任せた方が良いだろう。
 そのまま崖にさしかかり、岩肌を撫でるように進んでいく。
 道が狭いのだ。牛車もよく進むものだ、と感心せずにはいられない。
「これならロバが役立つのではないか?」
 オニキスがそう訊くと、バーチ兵が答える。
「はい。女王殿下も同じように提案されたのですが、却下されたようです」
「却下? なぜだ……と、内政のことを根掘り葉掘り聞くものではないな。すまない」
「いえ。興味を持ってもらえるのは心強いです。その、もしかしたら……お役目にも関わるかも」
「話しすぎだぞ」
 もう一人のバーチ兵がそう遮った。
 オニキスは役目に関わる、という言葉に反応したが、彼らはあくまでも兵士である。証拠無しに滅多な発言は許されない。
 崖道を登り切ると、眼下に王城が見えてきた。
 城はそのまま宮殿としても利用されており、今現在は避難民の保護施設にもなっている。
 城下町は流石に栄えているようだが、首都に比べればやはり小さく、どこか寒々しい。
 人の活気がないように見えた。
「これがバーチか……」
 峻険な山に囲まれ、影に覆われたような大地に川が流れ込んでいく。
 真昼の太陽が遠くに見えた。

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