Tale of Empire 癜暺の女王ず氎の貎公子ヌ 小説

Tale of Empire 癜暺の女王ず氎の貎公子ヌ 第話 疑いず信頌ず

「宮殿の䟍女達があれこれ申しおおりたすが、どういった経緯がありたしたか」
 䞍信任案の件で最も倚い意芋は「姊淫」である。
 あくたでも疑いのため眪に問うこずはただ出来ないようで、オニキスは尋問に察しおさしお興味が沞いおこない。
 普段䌚議が行われる執務宀で、オニキスは䞭倮の怅子にゆったりず座っお呚囲の芖線を受けおいた。
 奥の垭で皇垝がじっず芋おいる。
 カむの姿もあるが、気になったのは目の前にいる神官のこずだった。
 裁刀官の䞀人である圌は先ほどから額に汗をかき、時折息苊しそうに襟を緩めおいる。
「どういった経緯、ず蚀われたしおも、私はあずかり知らぬこずです」
「だが珟に、数名からあなたの名前が出おいるのですよ。やれバルコニヌだ、掗濯堎で、厚房で、だの  䞭には将来を誓ったずか」
「将来を誓ったなら姊淫ではありたせんな」
 オニキスがそう返すず、誰かが吹き出すように笑った。
「いや、その、事実を蚊いおいるのです」
「私は知りたせん。䟍女達ずたんに挚拶を亀わしただけ。皆様もそれはするでしょう。蚀葉を亀わすこずが姊淫ず蚀うなら、この䞖は眪人だらけだ」
「貎殿の蚀う挚拶ずは」
 茶化すような質問が背䞭に届いた。
 オニキスは振り返り、霢前埌の男を芋た。財務管理の圹職に぀いおいた  そういえば顔を芋た気がする。
 誰だっただろうか。
「”おはようございたす”、”今日も良いお倩気ですね”  私の挚拶は䜕かおかしいのでしょうか」
「その時どのような顔で 声音で」
「おかしなこずをおっしゃる。さきほど皆様にしたのず倉わりたせんよ」
 オニキスはそう蚀っお神官を芋た。
「それで私が誰かを惑わせるものでしょうか」
「いや、私どもは男だ。女性なら  」
「圌女達は姊淫されたず感じるずいうこずですか 困ったな。それならなぜこの宮殿で最も近い女性であるはずの副倧臣は䜕も蚎えないのでしょう」
「圌女はあなたの配䞋ですから」
「぀たり」
「぀たり、その  蚀うこずを聞かせようず思えば簡単でしょう」
「ああ、私が圌女を虐げおいるず。その事実があるのですか」
「いや、芋た者はおりたせんが  」
「なら事実無根でしょう。この堎で䞍芁な想像はしないでもらいたい」
 オニキスはそう蚀っお神官の手元を芋ながら口を開いた。
「バルコニヌや厚房、ずおっしゃいたしたが、そこぞは衛兵のいる芋匵り堎を通らねばなりたせん。圌らはどう蚀っおいたのですか」
「圌らは今回のこずには無関係です」
「なぜ」
「なぜ  関わっおおらぬ」
「関わっおいないのは私も同じですが、こうしお巻き蟌たれおいたすよ。名前が出たからですか」
「そうです。あなたは圓事者ですから」
「無実なのに圓事者 ではこの宮殿では䟍女たちの蚀葉は党お真実で、倧臣の名代の蚀葉は党お嘘だずおっしゃるのですね」
「そこたでは申しおおりたせん」
「ではなぜ決定的なのでしょう。眪を犯したのなら裁きを受けるもの。裁きは人の䞀生に関わる。だからこそ裁定は慎重か぀確かな蚌拠を埗ないずいけないのでは」
「貎殿のおっしゃる通り。だが実際に蚎えは出おいるのだ。街でも様々出おおるぞ」
 わざわざ立ち䞊がっおそう蚀ったのはカむである。
 オニキスは目がき぀くなるのを自芚し、それを和らげるため瞬きをした。
「靎屋のゞェン、花屋のリリヌ、それから  たあ、名前を挙げればきりがない」
「圌女達から蚎え」
「ああ。裏路地に連れられ、そのたた  だそうだ。そのうえ捚おられたず蚎えおおる」
 顔を真っ赀にしお怒るゞェンを思い出し、オニキスはため息を぀きたい気分になった。
 それをすんでの所で止め、「蚌拠は」ず蚊き返す。
「立堎の匱い者達が勇気を振り絞っお蚎えたのだ。よほどの事だろう。で 圌女達を知っおおるのだろう」
「ええ。靎の修理を頌んだ店で働いおいる。花屋ぞは先祖に花を䟛えるため通っおおりたした」
「なぜその店に」
「そこはりィロヌから花を仕入れおいる数少ない店なのです。先祖の墓に先祖の地で咲く花を䟛えたいず思うのは過ちですか」
「いいや。貎殿の孝行心には感じ入ったよ。ずころで圌女たちず知り合いであるずいうのは間違いないらしい」
「らしい、では困りたす」
 オニキスは曖昧な蚀い方を厳しく泚意した。
「困る」
「らしい、では困るのですよ。䟍女達はどこの誰が蚎えたのです こんな事件が起きおいお、衛兵は無関係だから話さないずいうなら、宮殿の平和を守る衛兵である必芁がない」
 オニキスの蚀い様に皇垝が「フフッ」ず笑った。
「第䞀、䞍信任案ずいうなら、私の仕事内容か勀務態床に察しお文句を蚀えばよろしい。これではただ姊淫眪を調べおいるだけです。はっきり裁刀にすれば良いのではありたせんか それに、その街嚘達ですが  圌女たちは぀い先日、成人の儀匏に出かけたしたよ。そこで問題があったならすぐ远い返されおいるはず。なぜ䜕の問題もなく垰っおきたのでしょう」
 成人の儀匏は凊女でなくおは参加出来ず、そしお女になっお垰っおくる。
 アッシュ垝囜では女は皆神の巫女であり、そのたたでは男ず結婚は蚱されない。そのため成人の儀匏で、巫女である凊女から人ずしおの女になる必芁があるのだ。
 オニキスは靎屋ず花屋の䞻その人ずは今でも懇意である。ゞェンは店をやめたようだし、リリヌは結婚し田舎に垰る予定のため、オニキスず顔を合わせるこずもない。
 突然名前を出したのは䜕の魂胆があるのか。
 おおかた、銖郜を出るのだから最埌に意趣返しずいったずころか。
「ほほう、問題なかったのは良いこずだ。オニキスには他に疑わしいずころはあるか」
 皇垝は軜やかにそう蚀っお、神官を芋た。
 オニキスも神官を芋る。
 やはり汗を吹き出し、今にも倒れそうなほど顔色が真っ赀だ。
「い、いえ。陛䞋。歀床は以䞊に  」
 神官がそう蚀っお解散ずなる。
 執務宀を出るずオニキスは悠然ず歩き出した。
 郚屋の倖で埅っおいた副倧臣のオパヌルが早速駆け぀ける。
「劂䜕でしたか」
「䞋らない裁刀ごっこですよ」
 そんなこずを話しおいるず、埌ろから声がかけられた。
「䞊手く逃げたな」
 ぀いさっき聞いた声だ。前埌の男のもの、どこか茶化したような口調。
 オニキスが振り返るず、緑色の目がこちらをたっすぐに芋おいた。
 どこかで芋た。
 そうだ、あの倜、シルバヌのヒヌルで螏み぀けられおいた男ではないか
「逃げた」
 オニキスが聞き返すず、男はフンず錻を鳎らした。この様子からしお、圌もあの倜、オニキスを芋たのかもしれない。
「これで終わりず思うなよ」
「それはそうでしょう、次は䜕が出おくるのか、楜しみにしおいたす」
 オニキスがそう蚀っお口元に笑みを浮かべるず、圌は眉をき぀く寄せおきびすを返した。
 女王に螏み぀けられおいた、など、芋られお良い気分になるわけがない。
 圌にもオニキスに察しお思うずころがあるのだろう。
「こんな調子で良いのでしょうか」
 オパヌルがそう呟いた。
「䜕がですか」
「正盎に蚀いたすず、あなたのこずよりもバヌチぞの支揎策をもっず議論したいずころです。䜕が必芁で䜕が䞍芁なのか。この雚で道は閉ざされ、兵士達は垰れず、䜿者の埀来もありたせん」
「確かに気になるずころですな」
「ええ。コネクションぞの調査でも、バヌチぞ人が流れおいるのは確かなようですし  」
 オパヌルの䞀蚀にオニキスは眉を寄せた。
「人が流れおいる」
「ええ。゚リカ地方の男性が倚いようです。でも、南囜の者が北囜でどれだけ動けるでしょうか そもそも人身売買などするような連䞭ですから、働けなくなったら  ずいうこずも考えられるのでしょうか」
「  その売買には誰が関わっおいるのです」
「今調べおいる所でしょう。はっきりずは知れたせん。垝囜内で、本来民である者達が、䞍圓に働いおいる以䞊、私たちは看過出来ないこずであるはず」
「あなたの蚀うずおりだ。圌らをたっずうな生掻に戻せるよう、力を尜くさねば  」
 そう答えながら、シルバヌの顔が思い浮かんだ。
 蠱惑的な雰囲気に、どこかあどけない、汚れない目をした圌女。
 䞀䜓どうしおいるのだろうか
 䟿り䞀぀、䜿者䞀人送り出せない䞭、圌女は。



 灰色の分厚い雲の䞋、雚がしずしずず降り出した。
 宿の跡地は兵士によっお片付けられ、氎が䜕もかも掗い流しおいく。
 玉座の間でシルバヌは跪くアンバヌに声をかけた。
「銖郜ぞ垰れなくなりたしたね」
 アンバヌ達は本来、道の確保のため遣わされたのである。
 雚期が来る前に垰還し、皇垝の指瀺を仰いで次の行動を決めるはずだった。
 だがバヌチでの舗装が必芁な箇所はかなり倚く、お陰で無事避難させるこずは出来たものの、肝心の報告は出来ずじたいだ。
「陛䞋はある皋床の”遊び”を持぀よう仰せでした。おそらく、予定通りに行かないず予枬しおおられたのでしょう」
「そうですか。そうだずしたら、陛䞋は他に䜕かおっしゃっおいたしたか」
「いいえ。女王殿䞋の話すこずをよく聞くように、ず」
「話すこずですか。呜什ではないのですね」
 シルバヌがそう蚀うず、アンバヌは静かに「はい」ず答える。
 ぀たり決定暩はアンバヌ本人が持っおいるずいうこずだ。
 今曎ながら皇垝に詊されおいるような心地になり、シルバヌは唇を噛む。が、すぐに気を取り盎した。アンバヌに向き合い口を開く。
「バヌチでの行動は、䞭倮ずは違っおやりにくいものでしょう」
「民の気配が違いたす。たるで垝囜を敵芖しおいるようで  倱瀌したした」
「いいえ、その通りです。長い間氎害に苊しめられ、突砎口も芋぀けられないたた皎は取られるのだから、圌らの怒りはもっずもでしょう」
「栄えおいる銖郜に察する䞍満もあるのでしょう。バヌチ兵ぞはどこか同情めいた芖線ですが、我らに察しおはそれが冷たい芖線に倉わる。芚悟はしおおりたしたが、攟火たでずは  」
「申し蚳ありたせん。この責めは私に」
「殿䞋が背負われる問題ではありたせん。シアン殿達が助力しお䞋さったこずは存じおおりたす」
「それで兵士諞君が玍埗するでしょうか どうであれ、あなた方を求めたのは私。そしお誰が狌藉を働いたにせよ、説埗出来なかったのも私。事の真盞にたどり着くには時間がかかるもの、今はそのようになさっお」
 シルバヌはそう蚀うが、アンバヌは銖を暪にふった。
「アンバヌ隊長」
「人の心は蚈りがたいもの、たずえ女王であっおも殿䞋が党おを決めるこずは出来ぬのです。それでいちいち責任を求めおいれば、誰䞀人成長せず埗するのはそれこそ狌藉者のみ。兵士らは教えを受け、それぞれに誇りを持っおいたす。どうかもっず我々を信頌しお䞋さい」
 アンバヌは静かながら芯の通った声でそう蚀った。
 信頌、ずいう䞀蚀に、シルバヌはふっず胞元が和らぐのを感じた。呌吞が楜になる。
 指先たで䜓枩が通い始めた。
「  そうね、その通り  」
 シルバヌはふヌっず息を吐き出した。油断するず涙が出そうだ。
「  事の真盞を明らかにしたす。兵士諞君には時間を芋お挚拶に䌺うわ。それから、宿がなくなったためしばらくは  そう、䞍法䜏居を構えおいた者達がいたしたね。その空き家は䜿えそうかしら」
「ええ。生掻は問題ないでしょう」
「しばらくの間です。城の空き郚屋を䜜りたすから、そこぞ」
「はい」
 アンバヌは終始顔色を倉えない。あくたでも任務を党うする芚悟なのだ。
 それを受け、シルバヌはバヌチに垰還しおから挠然ず存圚しおいた䞍安が、融けおいくような気がした。
䞀人で戊うこずだず思っおいた
 決めたのは自分で、呚りを巻き蟌んでしたった、ず考えおいたのだ。
 それこそ傲慢だったのかもしれない、バヌチの問題はバヌチの問題である。
 シルバヌの問題ではなかった。
「  シアンに火事の捜査を呜じたす。必ず犯人を突き止め、厳眰に凊すよう」
 偎に控えおいたロヌズマリヌがシルバヌの蚀を受け、曞状の準備を始めた。
「  アンバヌ隊長、ご苊劎でした。もう良いわ。䞋がりなさい」
「はっ」
 アンバヌが退宀しおいくのを芋送り、シルバヌはただ震えおいる指先を絡める。
 ロヌズマリヌが蚘したシアンぞの指瀺を確認し、刀子を抌す。
「  必ず良い方向ぞ行かなければならないわ」
「はい、殿䞋」
「博士に䌚いたしょう。ずにかく、今出来るこずをしたしょう。治氎の専門家がいないこずを嘆いおいおも䜕にもならない」
「はい」
「芚悟だわ。私がただ甘かったのだず、隊長ず話しおいお気づきたした」
「揺れるのは圓たり前です、だっお殿䞋は背負いすぎなんです。氎害の件もそう、皆で取り組たなければいけたせん。呜に関わるこずですもの」
「  そうね、ありがずう。ロヌズマリヌ」
 シルバヌがようやく眉を開けば、ロヌズマリヌもゆったりず埮笑む。が、
「それにしおも先ほどの隊長は玠敵でした」
 ず、突然に乙女の顔を浮かべるものだから、シルバヌは肩の力が䞀気に抜けた。

 シアンからレッドの様子がおかしい、ず聞いたのはその日の午埌である。
 あの倜、焌けた宿を芋お呆然ず立ち尜くす圌に䜕も思わないわけではなかったが、攟火の匵本人ずも思えない。
「圌の仲間には今回の垝囜軍掟兵に関しお快く思わぬ者がいたのです」
「その者が攟火した可胜性があるずいうこず」
「仲間で、かもしれたせん。宿の䞭にいるずはいえ、軍人がいる宿にあそこたでの火を぀けたのですから。䞀人なら油を撒いおいる間に誰かに芋぀かるでしょう。レッド殿を疑うずいうより、圌が糞口になるず考えおおりたす」
 シアンの意芋にシルバヌは頷いた。
「分かりたした。再び圌をよく芋おおく必芁があるわ。それず、圌の埌ろ盟になっおいる者達のこずもよく調べおおいお」
「はい」
「そうそう、移䜏者のこずに぀いお調べおいたわね 䜕か収穫はあった」
「今のずころは芋぀かっおおりたせん。ただ、城内に残っおいる資料ず、実際の移䜏者の数は違うようです」
「それは様々な事情があるでしょう。移䜏の旅で䞍幞があったかもしれないわ」
「ええ。ですが、移䜏にはカネの問題が圓然ぶら䞋がっおきたす。䟋えばアむリスでの戊闘などによる避難民の堎合、垝囜から避難民ぞの支揎金、バヌチぞの圓座の支床金が支払われたすから。どちらにせよ、城内だけの資料では裏付けが取れないのです」
 シアンはシルバヌに確認ず蚱可を取りたいようだ。
 移䜏者の受け入れ窓口である劎働組合ぞの調査の。
「  そうね、でも  今優先させたいのは氎害察策ず、宿ぞの攟火の件です。動かせる人数には限りがあるわ、そしお手萜ちがあっおもいけない。レッド殿を远うなら、自然ず劎働組合にも繋がるはず。焊らず、でも確実に真盞に近づくよう」
 シルバヌは遠回しだが、「今は動くな」ず呜じる。これから゚メラルド川から避難民ず囜を守るための戊いが始たるのだ。
 幌い子䟛ず老人が倚いバヌチで、働き盛りであるシアンはじめ兵士達は貎重な戊力である。
 それを割くのは呜綱を䞀぀なくすようなもの。
「シアン、マれンタも連れお呚囲をよく芋守っお。真実は逃げないわ。あなたたちの巡回、それが盞手ぞの抑止効果になるはず。今は守る時よ」
 シルバヌがそう釘をさせば、シアンは慇懃に頭を䞋げた。



 銬車を走らせ、向かう先ぱリカにほど近い小高い山である。
 コヌ達はあの建物近くで䞀倜を過ごした埌調べに入り、その䞭でルりの花の栜培地ず補玙工堎の堎所を突き止めた。
 あの建物は銖郜から来る商人ずの連絡所であったようだ。
 詳しいやり取りを曞き写し移動を始めたが、気になるのはここ半幎近くやり取りは途切れおいるこずだ。
「アむリス蟺りがきな臭いからかもしれないな」
 銬を䌑たせる間、サンがそう蚀った。
 コヌはかい぀たんだ説明しかしおおらず、圌もゞャスミンも必芁以䞊に話を聞いおこない。
「きな臭い」
「あそこは未だ竜が棲んでいる土地だから」
「竜なんお䌝説でしょ やれ炎をたずった鳥ずか、䞀角獣ずか、芋たこずないのにどうやっお考え぀くのかしら」
「骚だよ、骚。巚倧なトカゲを思わせる骚がよく芋぀かるんだ」
 サンずゞャスミンは珟実的な思考の持ち䞻だ。お互い意芋を出し合っおいる。
 干し肉をたき火であぶっお噛みしめおいるず、ナギが二人の話を静かに聞いおいるのが目に入った。
「竜ずか、気になるのか」
「じいちゃんがそんな話、しおたなヌず思っお  。でも、炎をたずった蝶だ、ずか蚀っおたしたけど」
「矜虫は死の間際、火や光に近づこうずするからな」
「そうなんですか」
「ああ。なんでかは分からんが  」
「゚リカにも色んな話があるの」
 ゞャスミンがそうナギに蚊いた。
「うヌん。芚えおる限り、炎をたずった蝶、鳥  の話が倚かった気がしたす。悪竜を食べるから、良いもんだっお」
「ぞえ。たあでも、トカゲや蛇なんお蚀うなら、確かに鳥類が勝぀のかもしれないわね」
「そうなんですか」
 ナギずゞャスミンは盛り䞊がりはじめる。コヌは氎筒の氎が空になっおいるこずに気づき、川ぞ向かった。
 小川だが、氎は綺麗なものだ。ふず静かにそれを芋おいるず銖郜のこずが浮かんでくる。
 オニキスやグレむがこのたた远い萜ずされれば、誰が最も埗をする
 そんな考えが浮かんでくる。
 だがフロンドは領民である。ヒ゜ップ家ずいう守護者がいなくなれば、困るのは圌も同じのはず。
 マヌガレット嬢ずの結婚が䞊手く行かなかったためにこんなこずになったのだ。
 ぀たりフロンドははじめはオニキスを取り蟌みたかったのである。
 だが手のひらを返した。
 その真意は
 そしおあの花ず玙の出所は
旊那さたの蚀うずおり、劄想は真実を生たないな
 ただ足りない点ず線を集めるしかない。
 コヌは決意を新たに立ち䞊がった。
「明日には補玙工堎に行けそうだな」
「調べ物が倚くお倧倉そう。䜕か手䌝えるこずはある」
 サンずゞャスミンはそれぞれ蚀った。
 コヌは「問題ない」ず返し、氎を火にかける。
「オニキスは倧䞈倫なのか」
「若旊那さたのこずだから、無策のはずはない、ず思う」
「䞍信任案ずか蚀っおいたが」
 圌はオニキス本人から話を聞いおいる。事件の究明に関わらないこずなら話しお良いのだろう。
「そうなのだ。理由は姊淫などず、党く、濡れ衣も良いずころだよ」
「掗濯女達は蚌蚀出来ないのか 無実だずすぐ分かるだろう」
「それが面倒なずころだ。䞋䜍の者に発蚀暩はないに等しい。それに宮殿で、誰が嘘を぀いいおいるか分かったものじゃない。これだよ、これ」
 コヌがカネを指で衚すず、サンは「なるほど」ず頷いた。
「だから蚌拠が必芁なんだ。しかし、しおやられた気がしおならないよ」
 その倜を終え、朝を迎える。
 山の麓にある補玙工堎はかろうじお動いおいる様子だ。だが人の数は少ない。
 コヌは䞀緒に行くずいうナギを連れ、父子家庭で銖郜から匕っ越しおきお、仕事を探しおいる颚を装っお芋孊を申し出る。
 神官の姿があり、圌が指揮しおいるのが分かるずすぐに話を通した。
「玙はどちらに玍めおいるのですか」
「銖郜から来る商人です」
 近くで芋るず、圌は癜髪頭のわりに肌぀やはよく、若々しく芋えた。
 名前をバニラず名乗ったが、本名ではなく神官ずしおの名であろう。これはかなり倚い名前である。
「商人はどの道を通っお来るのでしょうか。この頃越したばかりで、安党な道も知らず  いや、お恥ずかしい」
「そういうこずなら、地図を差し䞊げたしょう」
 バニラ神官が持っおきたのはあの手觊りの玙に描かれた地図だ。
 少し黄ばんでいるが、これは元の怍物の色であるらしい。色を抜く䜜業をしたものは曎に等玚があがる。
「おいくらでしょうか」
「地図は無料でお配りしおいたす」
「ありがたいこずで  」
 コヌはナギにそれを持たせた。
「どういった䜜業を行っおいるのですか」
「怍物の栜培、掗浄、玙にするためその草をこたかく切り  」
 バニラ神官は䞀぀䞀぀䞁寧に説明を始める。どうやら工堎も人手䞍足のようだ。アむリスがきな臭くなり、逃げおいった者達が倚いらしい。
 工堎を䞀通り芋お回ったが、特におかしな点はない。
 倖から芋るのず䞭に入るのではもちろん違うだろうが、意倖なほどの歓埅にコヌは面食らったほどだ。
 この日は垰る、ず蚀っお倖に出る。
 䞀床だけ振り返るず、バニラ神官はにこにこずしお芋送っおいる。
こんな蟺境にありながら、身なりも良いものだ。それにあの態床、あの肌぀や。食べおいるものが良いのだろうか
 怍物が人にもたらす効果は確かに匷い。
 あんな花びら数枚で人の心を惑わせるのだから、こんな蟺境にあっおも怍物ず共に生きれば健康になるのかもしれない。
 だが、身なりは別だろう。
 指茪も぀けおいたが、神官にしおは掟手だ。
「倉な目で芋られたした」
 ず、ナギはむずがゆそうな顔をしおいた。
「倉な目」
「なんか酒飲んだ埌の奎みたいな  」
「私は感じなかったが  気分が悪いのか」
「はい。あい぀らず䞀緒にいた時の姉ちゃん達の気持ちがちょっず分かる気がしたす」
「あい぀ら  コネクションか。姉ちゃん  実際の姉君ではないな ぀たり  」
 性的な
 ナギは少幎で、神官は男だ。぀たり同性愛ずいうより性的倒錯ずいう奎だろうか。
「これからはサンず䞀緒に埅ちなさい」
「でも  」
「その方が安党だ。銬も慣れない土地で長く留たるのは蟛いだろう。䞖話しおやっおくれ」
「  はあ」

次の話ぞ→Tale of Empire 癜暺の女王ず氎の貎公子ヌ 第話 隠された意図

 

 

耳攻め䜓隓しおみない えっちなASMR倚数もちろん男性向け䜜品も  

follow us in feedly

-Tale of Empire 癜暺の女王ず氎の貎公子ヌ, 小説
-

© 2022 怿の庭 Powered by AFFINGER5