「黒豹とかたつむり」最終話 もうひとりじゃない
2021/7/31 恋愛小説
棚田の部屋に越してから、早くも1ヶ月が過ぎた。 棚田の時間の不規則さは相変わらずだが、副業がなくなった分かなり身軽に動いているふしがあった。 紗矢はカレントで働く一方、新しく開いた店”K”に足を ...
「黒豹とかたつむり」第19話 本心と本能 *官能シーンあり
薄く唇を開くと、棚田の舌が入り込んでくる。じっくりと感触を確かめるように。 紗矢も舌を出し、表面をなぞり合うと腹の底にまで官能が走り抜ける。膝を立ててそれを逃がし、棚田の首に腕を回して髪の生え際を ...
「黒豹とかたつむり」第18話 望むこと
2021/7/31 恋愛小説
土曜の夜にも棚田は演奏のためアンダンテに向かった。 紗矢は彼を見送り、ホテルで待った。 夜遅くになるだろう。帰りは翌日である。 ホテルでの生活はもう終わるのだ。紗矢は起きて彼を待つ。 造花を ...
「黒豹とかたつむり」第17話 決意
2021/7/24 恋愛小説
紗矢はカレントのキッチンでケーキを作っていた。 バニラビーンズを取り出し、クリームに混ぜる。こっくりとした甘い香りに独特のクセ。 狭く、どうしてか薄く感じるカレントのキッチンは太陽光がよく差し込 ...
「黒豹とかたつむり」第16話 十字路の真ん中にいる
2021/7/17 恋愛小説
朝食を一緒に摂る。 前にもこうしたことがあるが、今はよっぽど落ち着いている。 紗矢は自分自身にあった違和感を受け入れることで、その違和感を軽く出来ていた。 これからも同性や異性を羨む日がきっと ...
「黒豹とかたつむり」第15話 一つの壁
2021/7/10 恋愛小説
日曜の夜は土曜と違い、落ち着いた雰囲気である。明日への活力を求めて、私生活と社会の場への中間で一休みといった所だろうか。 元々アンダンテの持つ雰囲気は深く落ち着くものであったため、日曜を好む常連客 ...
「黒豹とかたつむり」第14話 一週間の約束
2021/7/3 恋愛小説
9月半ばというのにまだまだ暑い。 夏休みが終わり、実家に戻ると言った美羽を見送ったのは数日前。 彼女の擦れたように赤い目元が気になったが、気づかないふりをした。ごまかすように厚化粧していたのが分 ...
「黒豹とかたつむり」第13話 影の中
2021/6/26 恋愛小説
紗矢に別れを告げられた後、棚田はそれを誰に話すでもなく休暇を取った。 母親が体調を崩したらしく検査入院となり、会いに行くためだ。 久しぶりに浴びる北海道の日差し。 広々とした牧場をタクシーで過 ...
「黒豹とかたつむり」第12話 織姫と秘密
2021/6/19 恋愛小説
配信生ライブのその日がやってきた。 夕方、6時半。紗矢は一人、部屋でパソコンを開いてその時を待った。 いくつかに別れた画面。確か気になるカメラを選んで、大画面に出来るのだったか。 編曲を手がけ ...
「黒豹とかたつむり」第11話 君の好きなところ 後編 *官能シーンあり
部屋につくなり棚田は紗矢の背中を壁におしつけた。 腰を抱いて口づけると、紗矢の手が腹から胸を撫でてくる。血流まで促されたかのように全身がぽっと温かくなる。 飯塚の家でしばらく過ごしたため、紗矢と ...