【鏡中夢幻】 第4話
鶏の声で沙羅は目覚めた。 アレクは後ろからしっかりと沙羅を抱いている。今はまだ眠っているようだ。 流れるような黒髪が沙羅の肌を撫で、乳房にかかった。 彼の方を向くようにし、その顔 ...
【鏡中夢幻】 第3話
翌朝、沙羅は早くに目が覚めた。 風景はやはり小さなシャンデリア、虎と龍の絵。 ここは夢じゃない、と言った崎本――エドガー・フィンチと名乗っていた――の言葉が思い出される。 「それは ...
【鏡中夢幻】 第2話
長髪を後ろで束ねた先ほどの男性は、植物で染めた緑色の着物を着ていた。 見た目から年齢は30代といったところだろうか。年上に見える。 彼が案内したのは洋風建築だったが、米俵も見た沙羅はここが日本で ...
鏡中夢幻
寄稿文の翻訳・校閲担当の沙羅は「NO」と言えない性格が災いし、周囲から仕事を押し付けられ過労気味…… そんな気弱な性格を直したいと思いながら、休暇で訪れた不思議な骨董店で出会った店主・崎本に銀で出来た ...
【鏡中夢幻】 登場人物
守屋 沙羅 出版社で翻訳家としても働く努力家で真面目な現代の女性。 NOと言えない性格が災いして社畜気味。 休暇を取るよう言われ、訪れた骨董店で鏡をもらい受ける。 この鏡から別の世界へ行 ...
【鏡中夢幻】 第1話
月の下で樹々が風に揺られてざあざあと音を立てていた。 朱に塗られた鳥居、参道を照らす松明の火。 下駄をからころ鳴らして石畳を歩き、近づいてくる祭囃子を聞く。 誰かと手をつないでい ...
【コキュートス -月下のバレリーナー】最終話
「コキュートス。ギリシャ神話の冥府に流れる川。裏切者を許さぬ氷地獄のこと」 薄いシフォンを重ねたロングスカートという衣装に着替えた旬果は、外に出た。 夜の気配が強くなる ...
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【コキュートス -月下のバレリーナー】第18話
「コキュートス。ギリシャ神話の冥府に流れる川。裏切者を許さぬ氷地獄のこと」 「アウグストが東京に?」 夕食時だが高梨は対応した。ネイサンの話を聞くと彼は眉間にしわを寄せ、 ...
【コキュートス -月下のバレリーナー】第17話
「コキュートス。ギリシャ神話の冥府に流れる川。裏切者を許さぬ氷地獄のこと」 旬果が聞いたのは、ネイサンは捜査のためまだイタリアへ残るということだけだった。 細かい情報な ...