あなたが目指しているのは何ですか?成功、それとも失敗の許可ですか?
「失敗してもいい」は本当に優しい言葉なのか?
最近、日本のテレビ番組や自己啓発的な発信では、「失敗してもいい」「どんどん失敗してほしい」「失敗を許せる環境であってほしい」といったメッセージが頻繁に登場します。
一見すると温かく、前向きな言葉に思えます。けれど、私はこのような言い回しに、強い違和感を覚えます。
本来伝えたいのは「失敗を恐れず、チャレンジしよう」なのかもしれません。
しかし、「失敗」という言葉自体には強いイメージが伴います。
その結果、「失敗」という単語を使った瞬間に、無意識はそのイメージに引きずられてしまうのです。
たとえば、自転車教室や車の教習で「電柱にぶつかっちゃだめだよ」と言われた瞬間、脳はその電柱を「目標物」としてロックオンしてしまい、かえってぶつかることがある。
これは心理学で「カリギュラ効果」と呼ばれる現象に近く、「たんぽぽの花を思い浮かべないで」と言われたら即座に黄色の花が思い浮かぶのと同じです。
スポーツでも、前の選手のミスが連鎖してチーム全体のパフォーマンスが落ちることがあります。
これが、言葉とイメージがいかに強力に脳に作用するかを示す典型例です。
つまり、「失敗してもいい」という言葉が、知らず知らずのうちに“失敗そのもの”を脳内に強調してしまい、本来目指すべき「成功」や「前進」のイメージから遠ざけてしまう恐れがあるのです。
「失敗は成功の母」とは言うけれど……
しかしそれは、「このやり方ではうまくいかないと分かった。だから別の方法を試して、必ず成功にたどり着く」という強い意志と行動があってこそ成り立つ話です。
言い換えると、成功を生むのは「失敗」ではなく「改善」といったところでしょうか。
失敗をただ繰り返すだけでは、何も変わりません。アインシュタインも言いました。
「同じことを繰り返して、違う結果を期待すること、それこそが狂気である」と。
成功を生むのは、失敗そのものではありません。失敗から学び、改善を繰り返すとても根性のある人だけが、失敗を糧に成功に近づいていったのです。
ただしこれは本当に根性と研究熱心な方だけが持つ情熱のパワーであり、正直真似をするのはとても難しい。
しかしどんな人でも、小さくても「成功体験」を積み上げれば徐々に前進する力を身につけていけます。
私自身の成功体験:アトピーとの向き合いから得たこと
私は子どもの頃からアトピーや湿疹に悩まされてきました。現在は完治しない病気と考えられていますが、試行錯誤の末に「楽に生きられる方法」は少しずつ見えてきました。
1. 触らない努力
まずは「なるべく掻かない」「触らない」を意識することで一時的に症状は軽減しました。とはいえ、根本的な解決にはなりません。寝ている間に無意識に掻いてしまうのです。
2. ホルモン治療と内側からのアプローチ
病気治療のためにホルモンに影響を与える投薬治療を受けた際、皮膚が一時的に綺麗になった経験がありました。ここで「身体の中から整える」ことの重要性に気づきました。以降、イソフラボンや食事改善などを意識するように。
3. 薬膳と食事
生理痛や皮膚のかゆみの緩和に「五味(甘・辛・酸・苦・鹹)」の意識が役立ちました。体の状態に合わせて、食事の中で必要な味覚を調整するという知恵が、少しずつ私の身体を助けてくれました。
4. 肌に合う化粧品とスキンケア
ある美容科学者の言葉に従って基礎化粧品を見直すと、驚くほど不快症状が減りました。自分に合う石鹸を知り、化粧や香りを楽しむ余裕も出てきました。
こうやって「成功体験」を重ねたことで一体何が起きたでしょうか?肌だけではない部分での変化が起きたのです。
成功体験が思考と行動を変える
こうした経験を重ねたことで、私は「必ず改善策はある」と自然に考えるようになりました。これが、私にとっての「成功体験」の積み重ねです。
人によって成功体験の影響は違うと思いますが、少なくともそれが「だから私はダメなんだ」という思考につながることは、ほとんどないでしょう。
◎レオ・バーネットの言葉
「星に向かって手を伸ばせば、つかめないかもしれない。でも、泥をつかむことはない。」
この言葉は、「目指す方向性があること」が人を前進させるという真理を表しています。
失敗を恐れないことは時には大切ですが、失敗を目的にしてはいけないのです。
言霊と脳科学の視点から
日本文化に根ざす「言霊(ことだま)」の思想、そして現代の脳科学の研究、どちらも「言葉が脳に与える影響」を語っています。
言葉が持っているイメージ、それが与える脳や心、身体への影響。
たとえば「夏の太陽」といえば、ギラギラした熱さを身体が思い出すのではなでしょうか?
「冬の星」というと、澄んだ星空、シリウスの青白い光を思い出し、少しロマンチックな気分になるかもしれません。
どんな言葉を使うか、どんな言葉で自分を励ますか。
それは、思っている以上に深く人の行動に影響します。
だからこそ、「失敗してもいい」ではなく、「一歩進めた自分、えらい!」「やってみようと思った自分を誉めよう!」という言葉を大事にしたいのです。
算数の問題なども、誰かに教えてもらいながらやったり、「答えを見て解説を読みながら問題に向き合うと理解が早くなる」と言われています。
超簡単でいいので、「成功させる」ことが成功へのカギなのです。
だから今日は新しい髪形を試してみるのはいかがでしょう?そのチャレンジと「やってみようと思った私」「できた私」がどれだけあなた自身を勇気づけるでしょうか。
最後に:どこに向かいたいのかを忘れずに
ネガティブなことが悪いわけではありません。ネガティブは時として命を救う思考でもあります……赤信号はわたってはいけない、というように。
成功や失敗の定義も、人によって違います。
でも本当に大切なのは、「自分がどこへ向かいたいか」ということです。
たどり着きたい場所があるなら、たどり着くための方法を探し、試し、進めばいいのです。
一歩ずつ進むことは簡単です。
その連続なのです。
その途中で嵐に遭っても、穴に落ちても、それは「旅の途中の普通の出来事」。
失敗かどうかなんて、どうでもいいことなのです。